M&A小説から学ぶ企業戦略:おすすめ書籍15選と選び方ガイド

M&Aの基礎知識から実務まで学べる小説・参考書を紹介します。初心者向け、譲渡側向け、譲受側向けの書籍を厳選し、M&Aの理解を深めるための効果的な選び方も解説します。

目次

  1. 小説や参考書を通じてM&Aを学ぶ利点
  2. M&Aの世界を探る おすすめ小説3選
  3. M&A初心者におすすめの参考書4冊
  4. 会社を譲渡する側のためのM&A参考書4選
  5. 会社を譲受する側のためのM&A参考書3選
  6. M&Aに関する書籍選びのポイント
  7. まとめ

小説や参考書を通じてM&Aを学ぶ利点

M&A(合併と買収)について理解を深めるには、小説や参考書を活用することが効果的です。これらの書籍を通じてM&Aを学ぶことには、以下のような利点があります。

M&A成功に必要な知識の獲得

M&Aは単に実施すれば成功するものではありません。成功には、M&Aに関する基礎知識から実務的な知識まで、幅広い理解が求められます。小説や参考書は、M&Aの成功事例や失敗事例、戦略的なアプローチなどがわかりやすくまとめられているため、効率的に知識を習得できる優れたツールです。これらの書籍を通じて、M&Aを成功に導くために必要な知識を効果的に身につけることができます。

M&Aプロセスの全体像の理解

M&Aの全体像を把握することは、実務を進める上で非常に重要です。小説や参考書を読むことで、M&Aの一連の流れを体系的に理解することができます。特に、ストーリー形式でM&Aのプロセスを説明している書籍では、各段階の意味や重要性を具体的に理解しやすくなります。プロセスを順を追って学ぶことで、M&Aの全体像をより明確に把握し、実際の場面での適切な判断につなげることができます。

多様なM&A手法の習得

M&Aには、株式譲渡、合併、事業譲渡など、さまざまな手法があります。それぞれの手法には固有のメリットとデメリットがあり、状況に応じて適切な手法を選択することが重要です。M&Aの手法を幅広く紹介している書籍を読むことで、各手法の特徴や適用場面を比較しながら学ぶことができます。これにより、自社の状況に最適なM&A手法を選択するための判断力を養うことができます。

M&A失敗を回避するポイントの学習

M&Aは複雑なプロセスを伴うため、失敗のリスクも少なくありません。小説や参考書では、実際のM&A事例における失敗の原因や、それを防ぐためのポイントを学ぶことができます。成功事例だけでなく失敗事例も学ぶことで、実際にM&Aを行う際に起こりうるリスクを予測し、適切な対策を講じることができるようになります。これは、M&Aを成功に導くための重要な知識となります。

M&Aの世界を探る おすすめ小説3選

M&Aを題材にした小説には、リアリティに富んだ作品が数多くあります。ここでは、ストーリーを楽しみながらM&Aについて学べる、おすすめの小説を3作品紹介します。

『企業買収』で学ぶM&Aの実態

木俣貴光著・中央経済社刊の『企業買収』は、大手食品メーカーが中堅水産物商社を買収するまでのストーリーを描いた実務小説です。著者が実際に手がけた複数のM&A案件をベースにしたリアル・フィクション作品となっています。

本書では、M&Aを進める上で重要なのは法律や会計だけでなく、「人間関係や感情」であることが強調されています。M&Aで成約を目指すプロフェッショナルの姿を通じて、読者は実務上の重要なポイントを学ぶことができます。

『王の家』に見る後継者問題

江上剛著・光文社刊の『王の家』は、日本一の家具店を一代で築いた「家具王」宝田壮一の物語です。壮一の後継者として登場する三姉妹の思いと野心が、不協和音を生み出すストーリーが展開されます。

本作では、後継者選びに揺れる複雑な心情が描かれており、M&Aにおける後継者選定や家族経営の複雑な問題をリアルに表現しています。経営承継に興味のある読者にとっては、特に考えさせられる作品といえるでしょう。

『小説M&Aのファンタジー』が描く経済ドラマ

田口宏雄著・創英社刊の『小説M&Aのファンタジー』は、経済と金融のグローバル化を背景に、「M&A」抗争の渦中に巻き込まれた男女の数奇な生涯を描いた作品です。

物語は、日本とフランスを舞台に、「M&A」と「男女」の狭間に生まれる愛憎劇から始まります。経済の常識である「M&A」と、2人の男女の運命が絡み合い、過酷な試練と困難に立ち向かう姿が描かれています。M&Aをドラマチックに描いた小説として、経済と人間ドラマの両面から楽しむことができます。

M&A初心者におすすめの参考書4冊

M&Aには様々な手法や手続があるため、何から学べばよいか迷う人も少なくありません。ここでは、これからM&Aを学ぶ人に向けて、M&Aの基礎を学べる参考書を4冊紹介します。

『図解でわかるM&A入門』で基礎を学ぶ

桂木麻也著・翔泳社刊の『図解でわかるM&A入門』は、M&Aについて基礎から詳細な内容まで、わかりやすく解説された入門書です。図解を多用しているため、複雑なM&Aの概念も視覚的に理解しやすくなっています。

特筆すべき点として、クロスボーダーM&Aをはじめとする国際間のM&Aに関する情報も含まれています。グローバル化が進む現代のビジネス環境において、国際的なM&Aの基礎知識を得られる点は大きな魅力です。

『まんがでわかる オーナー社長のM&A』でビジュアル学習

大山敬義著・すばる舎刊の『まんがでわかる オーナー社長のM&A』は、M&Aに関する知識をまんがで学べる独特の書籍です。視覚的な情報と物語形式の展開により、M&Aの概念を直感的に理解することができます。

本書では、相続や事業承継など、中小企業オーナーが直面する多くの課題について、M&Aが解決策となり得ることをわかりやすく説明しています。中小企業のオーナーや家族経営の会社を経営している人にとって、特に有益な内容となっています。

『M&A入門 2024年版』で最新動向をキャッチ

日本経済新聞出版社著・刊の『M&A入門 2024年版』は、中小企業の出口戦略としてM&Aを考えている経営者や、事業承継に関心のある人向けの入門書です。最新版であるため、現在の経済環境や法制度を反映した内容となっています。

本書の特徴は、現代の中小企業が直面する課題に焦点をあてている点です。M&Aを活用した事業継続の重要性を強調しており、実践的な知識を得ることができます。

『Q&Aでよくわかる 中小企業のためのM&Aの教科書』で実践的知識を得る

篠田康人著・総合法令出版刊の『Q&Aでよくわかる 中小企業のためのM&Aの教科書』は、M&Aに関する理解を深めるのに役立つ、中小企業向けの参考書です。Q&A形式で構成されているため、疑問点を効率的に解決できます。

本書の特徴は、会社を譲渡する側や譲受する側、そしてM&Aに興味を持つ中小企業に特化した情報を提供している点です。実務に直結する具体的な知識を得ることができ、M&Aの実践に向けた準備に役立ちます。

会社を譲渡する側のためのM&A参考書4選

M&Aにおいては、会社を譲渡するのか譲受するのかによって、理解するべきポイントが異なります。ここでは、譲渡側の立場でM&Aを学びたい人におすすめの書籍を4冊紹介します。

『M&Aで創業の志をつなぐ』で実例から学ぶ

中村悟著・日経BP刊の『M&Aで創業の志をつなぐ 日本の中小企業オーナーが読む本』は、地域、業種、規模が異なる10人の中小企業オーナーがM&Aを選んだ経緯と、M&A後のストーリーが詳細にまとめられています。

本書の特徴は、多様な事例を通じてM&Aの実態を学べる点です。複数の実例を学ぶことで、自社に適したM&Aの進め方のヒントが得られるでしょう。特に、創業者の志を次の世代に引き継ぐという観点からM&Aを捉えている点が、多くの中小企業オーナーの共感を得られる内容となっています。

『小さな会社のM&A』で会社の価値を高める方法

岡本行生著・ダイヤモンド社刊の『小さな会社のM&A あなたの会社は高く売れます』は、経営者向けのM&A解説書で、特に中小企業に焦点をあてています。

著者はM&Aの実態を、豊富な経験と実際の事例から本音ベースで詳細に解説しています。本書の特徴は、単にM&Aの手順を説明するだけでなく、会社の価値を高めるための具体的な方法にも言及している点です。譲渡市場の現状を踏まえた実践的なアドバイスが得られるため、M&Aを検討している中小企業経営者にとって貴重な情報源となるでしょう

『損をしない会社売却の教科書』で戦略的M&Aを学ぶ

江野澤哲也著・ビジネス社刊の『損をしない会社売却の教科書~中小企業のためのM&A戦略~』は、事業承継M&Aにおいて、失敗を避けて最良の結果を得るための情報を提供しています。

著者はオーナー経営者に向けて、M&Aの進め方を正しく理解し、会社の譲渡プロセスを成功させる方法を伝えています。本書の特徴は、単なる手続の解説にとどまらず、戦略的なM&Aの進め方に焦点を当てている点です。会社の価値を最大化しつつ、円滑な事業承継を実現するための具体的な戦略を学ぶことができます。

『会社売却とバイアウト実務のすべて』で全プロセスを理解

宮崎淳平著・日本実業出版社刊の『会社売却とバイアウト実務のすべて』は、中小・中堅企業やベンチャー企業に向けて、譲渡のプロセスや譲渡価格など、譲渡側の視点からM&Aを詳細に解説しています。

本書の特徴は、会社売却の全プロセスを網羅的に解説している点です。譲渡価格の算定方法や交渉のポイント、デューデリジェンスへの対応など、実務上重要な事項について具体的に説明しています。また、経営者によるバイアウト(MBO)についても詳しく解説しており、幅広い選択肢の中から最適な譲渡方法を検討する際の参考になるでしょう。

会社を譲受する側のためのM&A参考書3選

M&Aにより会社を譲受する側においては、様々な手続きが生じます。ここでは、譲受側の立場でM&Aを学びたい人に適した書籍を3冊紹介します。

『企業買収の実務プロセス』で最新の実務を学ぶ

木俣貴光著・中央経済社刊の『企業買収の実務プロセス(第3版)』は、M&Aにおけるディール遂行上のポイントを、時系列で解説するロングセラーの実務書です。

本書の特徴は、令和元年の会社法改正や税制改正などの最新の制度変更に対応している点です。M&A戦略の立案やバリュエーションの論点が加筆・修正されており、最新の実務動向を踏まえた知識を得ることができます。特に、企業価値評価や買収スキームの選択など、譲受側にとって重要なトピックスについて詳細な解説がなされています。

『この一冊でわかる!M&A実務のプロセスとポイント』で要点を押さえる

大原達朗著・中央経済社刊の『この一冊でわかる!M&A実務のプロセスとポイント(第2版)』は、M&Aの実務プロセスをわかりやすく解説しています。

本書の特徴は、譲渡側と譲受側の両方の視点から情報を提供している点です。これにより、譲受側の立場にありながら、譲渡側の考え方や行動も理解することができ、より効果的な交渉や意思決定につながります。また、M&A担当者が把握すべき要点を簡潔にまとめているため、実務の全体像を効率的に理解することができます。

『買い手の視点からみた中小企業M&AマニュアルQ&A』で実践的アプローチを学ぶ

横井伸著・中央経済社刊の『買い手の視点からみた中小企業M&AマニュアルQ&A(第2版)』は、中小企業の譲受において、実務の現場をリアルに再現し、成功への効率的なアプローチ方法に焦点をあてた参考書です。

本書の特徴は、Q&A形式で構成されており、実務上の疑問点を効率的に解決できる点です。中小企業特有の課題や注意点にも触れており、大企業のM&Aとは異なる中小企業M&Aの特性を理解するのに役立ちます。また、最新の実務動向に対応した内容となっているため、現在の経済環境下でのM&A実務に即した知識を得ることができます。

M&Aに関する書籍選びのポイント

M&Aに関する書籍は多数存在します。ここでは、効果的に学習を進めるための書籍の選び方について解説します。

M&Aの基本概念と用語の理解

M&Aには多くの専門用語が存在し、初学者にとっては理解が難しいことがあります。そのため、まずは初心者向けの書籍を活用して、基本用語や大まかな定義を学ぶことをおすすめします。

基礎知識を身につけてから、実際の事例が掲載された書籍を読むことで、より深い理解につながります。また、M&Aの基本的な流れを理解することで、書籍に記載されている事例が自社にどのように適用できるかを判断しやすくなります。

自分に適した難易度と目的の書籍選択

M&Aを題材にした小説や参考書は多数ありますが、自身のレベルや目的に合った書籍を選ぶことが重要です。初めから難しい書籍を選んでも、用語や内容が理解できず、実務に活かせるほどの知識は身につきません。

これからM&Aについて学ぶ人は、初心者向けの本でM&Aの基本概念や流れを把握し、基礎知識を理解することから始めることをおすすめします。その後、自分の立場(譲渡側か譲受側か)や業界に特化した書籍、より専門的な内容の書籍へと段階的に学習を進めていくことで、効果的にM&Aの知識を深めることができます。

まとめ

M&A(合併と買収)に関する知識を習得する手段として、小説や参考書は非常に有効です。これらの書籍を通じて、M&Aの流れを把握し、失敗しないためのポイントを学ぶことができます。初心者向け、譲渡側向け、譲受側向けなど、多くの書籍の中から自分のレベルに合ったものを選び、段階的に学習を進めることで、M&Aに関する理解を深めることができます。

著者|土屋 賢治 マネージャー

大手住宅メーカーにて用地の取得・開発業務、法人営業に従事。その後、総合商社の鉄鋼部門にて国内外の流通に携わる傍ら、鉄鋼メーカーの事業再生に携わる。外資系大手金融機関を経て、みつきグループに参画

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