事業売却時の税金負担と成功する節税戦略を解説


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事業売却の税金と手取り額を左右する実務ポイントを解説

事業売却の税金は、事業譲渡か株式譲渡か、売り手が法人か個人かで大きく変わります。消費税、譲渡益課税、2027年以後の高所得者課税、役員退職金や繰越欠損金の活用まで、会社売却前に確認すべき手取りの考え方を解説します。

目次:

  1. 事業売却の税金はスキーム選択で変わる
  2. 事業譲渡を選ぶと会社に税金がかかる
  3. 株式譲渡ではオーナー個人の手取りを見る
  4. 法人株主や個人事業主では課税が変わる
  5. 税負担だけで売却スキームを決めない
  6. 手取りを守る売却前の税務準備
  7. 税務調査を招きやすい事業売却の注意点
  8. まとめ

事業売却時の税金負担と成功する節税戦略を解説

▶目次ページ:M&Aの種類・方法(事業譲渡)

事業売却の税金はスキーム選択で変わる

事業売却の相談で最初に迷いやすいのは、「いくらで売れるか」よりも「いくら手元に残るか」です。売却価格が同じでも、選ぶ方法によって納税者、税率、手取額は大きく変わります。

M&A(合併・買収)で事業を売却する場合、代表的な方法は事業譲渡と株式譲渡です。事業譲渡は、会社が事業に関係する資産、負債、契約、従業員などを選んで買い手へ移す方法です。株式譲渡は、オーナー株主が保有株式を買い手へ売却し、会社の支配権を移す方法をいいます。

売り手と課税対象を最初に分ける

税金を考える際は、「誰が売るのか」と「何を売るのか」を分けます。法人が事業を売るなら、譲渡益は会社の利益として法人税等の対象になります。個人株主が株式を売るなら、株式の譲渡所得として所得税、住民税、復興特別所得税がかかります。

同じ「事業売却」という言葉でも、会社が事業を売るのか、オーナーが株式を売るのかでまったく別の税務になります。ここを曖昧にしたまま買い手と話を進めると、基本合意の直前で手取りが想定より少ないと判明することがあります。意外と多い落とし穴です。

主なスキームごとの税負担の目安

法人による事業譲渡では、会社が納税者となり、譲渡益に法人税、法人住民税、法人事業税などが課税されます。税率は会社の規模、所得、所在地で変わりますが、実務上はおおむね30%前後から30%台半ばを目安に試算します。課税対象資産がある場合は消費税も関係します。

個人株主による株式譲渡では、オーナー個人が納税者です。株式の売却益は、給与や役員報酬などとは別に計算する申告分離課税となり、所得税15%、住民税5%に復興特別所得税を加えた20.315%が基本です。

法人株主が株式を売る場合は、売却益が法人の所得に含まれます。そのため、個人株主の20.315%とは異なり、法人税等の枠組みで課税されます。

個人事業主が事業を売る場合は、譲渡する資産の種類ごとに所得区分が変わります。店舗設備、棚卸資産、営業権、不動産などで税務処理が分かれるため、法人の事業譲渡よりも計算が複雑になりやすいです。

手取り比較は税金だけでは終わらない

税率だけを見れば、個人株主の株式譲渡が有利に見えることがあります。しかし、買い手が不要な負債や偶発債務を引き継ぎたくない場合、事業譲渡を求めることも珍しくありません。税負担、買い手の希望、許認可、従業員、金融機関対応を同時に見て判断する必要があります。

事業譲渡を選ぶと会社に税金がかかる

事業譲渡では、売却代金を受け取るのは原則として会社です。オーナー個人ではありません。この違いを見落とすと、「会社にはお金が入ったが、個人の引退資金として自由に使えない」という問題が起こります。

事業譲渡は、会社が特定の事業や資産を切り出して売却する方法です。譲渡対象を細かく選べるため、不採算部門の切り離し、後継者がいない事業の承継、主力事業への集中などに使いやすい反面、税務と手続はやや重くなります。

事業譲渡益は会社の所得に含まれる

法人が事業譲渡を行う場合、基本的な考え方は次の通りです。

事業譲渡益 = 譲渡価額 - 譲渡する資産の帳簿価額 + 譲渡する負債の帳簿価額

実務では、譲渡資産と譲渡負債を1つずつ整理し、帳簿価額と時価を確認します。譲渡価額が帳簿価額を上回る部分は、会社の益金として法人税等の対象になります。本業の利益や赤字とも合算されるため、売却年度全体の所得を見て納税額を試算します。

赤字や繰越欠損金がある場合は相殺できることがある

会社に当期の赤字や過去の繰越欠損金がある場合、事業譲渡益と相殺できることがあります。繰越欠損金とは、過去の税務上の赤字を将来の黒字と相殺できる制度です。一定の要件を満たす青色申告法人では、原則として各事業年度開始日前10年以内に発生した欠損金が対象になります。

ただし、すべての会社で自由に使えるわけではありません。大法人の子会社、グループ通算制度、買収後の事業廃止などが絡むと制限がかかる場合があります。売却直前に「欠損金があるから税金は出ない」と決めつけるのは危険です。

消費税は課税資産と非課税資産を分けて計算する

事業譲渡は、税務上は資産の売買として扱われます。そのため、譲渡対象に棚卸資産、機械、車両、建物、営業権、のれんなどの課税資産が含まれる場合、消費税が発生します。売り手が買い手から消費税を預かり、原則として国に納付します。

一方、土地、有価証券、金銭債権などは消費税の非課税取引に該当します。つまり、売却代金の総額に単純に10%をかけるのではなく、譲渡対象資産を課税資産と非課税資産に分ける必要があります。

消費税を価格交渉で見落とすと手取りがずれる

基本合意書で「譲渡価額1億円」とだけ書き、消費税が内税か外税かを明確にしないと、後で揉めることがあります。売り手は外税で考えていたのに、買い手は税込み総額だと理解していた、というケースです。

M&A実務では、消費税の負担者、請求方法、インボイス対応、資金決済日を早い段階で整理します。消費税は最終的な損得だけでなく、クロージング時の資金繰りにも影響します。短期的には大きな現金移動になるためです。

株式譲渡ではオーナー個人の手取りを見る

会社売却で中小企業オーナーが最もイメージしやすいのは、株式譲渡です。会社そのものを買い手へ引き継ぎ、オーナーは株式の売却代金を個人で受け取ります。

株式譲渡では、事業譲渡と異なり、会社の資産や契約を個別に移す必要が少ないため、手続が比較的シンプルです。従業員との雇用契約、取引先との契約、許認可などは会社に残るため、買い手が法人格ごと引き継ぎます。

株式譲渡所得は20.315%で計算する

個人株主が株式を譲渡した場合、税金は株式の譲渡所得に対してかかります。計算式は次の通りです。

譲渡所得 = 株式の売却価額 - 取得費 - 売却に直接かかった費用

取得費とは、株式を取得したときの金額です。創業者の場合、設立時に払い込んだ資本金相当額などが基礎になります。売却に直接かかった費用には、M&Aアドバイザーへの成功報酬など、株式譲渡に直接関係する費用が含まれる場合があります。

個人株主の株式譲渡益は、原則として20.315%で税額を見積もります。たとえば、売却価額から取得費と譲渡費用を引いた譲渡所得が1億円なら、単純計算では約2,031万円の税負担となります。

取得費が不明な場合は手取りが下がることがある

古い会社では、株式の取得費を示す資料が残っていないことがあります。設立時の払込資料、株主名簿、過去の株式移動の契約書、贈与や相続の資料が不十分だと、取得費の確認に時間がかかります。

取得費を適切に確認できないと、税務上不利な計算になる可能性があります。売却交渉が進んでから慌てて資料を探すと、買い手対応と税務確認が重なり、経営者の負担が急に増えます。売却を検討し始めた段階で、株式の取得経緯を整理しておくことが大切です。

2027年以後は高所得者課税の影響にも注意する

株式譲渡では、原則20.315%で計算するのが基本です。ただし、非常に大きな譲渡益が出る場合は、2027年分以後の所得税から適用される高所得者向けの課税強化にも注意が必要です。

令和8年度税制改正大綱では、特定の基準所得金額の課税の特例について、対象者を基準所得金額が1億6,500万円を超える個人に広げ、税率を30%に引き上げる内容が示されています。現行の枠組みでは3億3,000万円超、22.5%とされているため、大型の会社売却では税額試算が変わる可能性があります。

売却時期だけで判断せず契約条件を確認する

高所得者課税の影響は、売却価額だけで単純に決まりません。株式譲渡益、他の所得、退職金、配当、費用、売却時期などを含めて確認します。特に、2026年から2027年にかけて売却を検討する場合は、契約締結日、クロージング日、対価の受領時期を税務上どの年分に見るかを慎重に確認する必要があります。

法人株主や個人事業主では課税が変わる

中小企業M&Aでは、個人オーナーが株式を持っているとは限りません。親会社、資産管理会社、兄弟会社などの法人が株主になっているケースもあります。個人事業として営んでいる事業を売却するケースもあります。

ここを一律に「株式譲渡なら20.315%」と考えると、判断を誤ります。誰が売り手なのかを株主名簿、登記、決算書、申告書で確認することが出発点です。

法人株主の株式譲渡は法人税等の対象になる

法人が保有する株式を譲渡した場合、譲渡益は法人の所得に含まれます。個人株主のように20.315%で完結するわけではありません。法人全体の所得、他の損益、欠損金、受取配当、グループ内取引などと合わせて税額を計算します。

たとえば、資産管理会社が事業会社の株式を持っている場合、売却代金はいったん資産管理会社に入ります。そこからオーナー個人へ資金を移すには、配当、役員報酬、退職金、清算などの別手段が必要です。ここで二段階の税負担が発生することがあります。

持株会社がある場合は手取りの出口を考える

法人株主の売却では、「売った会社にお金が残る」だけでは経営者個人の目的を達成できない場合があります。引退資金、相続対策、家族への分配、次の投資資金として使うには、売却後の資金移動まで設計する必要があります。

持株会社を使った資本政策は有効な場面もありますが、M&A直前に慌てて組み替えると、税務上の合理性を説明しにくくなることがあります。売却の数年前から出口を意識した設計を行うのが望ましいです。

個人事業主の事業売却は資産ごとに税務が分かれる

個人事業主が事業を売却する場合、会社の株式譲渡のような形にはなりません。事業に使っている設備、車両、棚卸資産、屋号、営業権、不動産、契約などを個別に移す形になります。

棚卸資産の売却は事業所得に近い処理となり、設備や不動産の譲渡は譲渡所得に関係します。営業権やのれんに相当する対価がある場合も、税務区分の整理が必要です。所得税は累進税率のため、利益が大きい年には税率が高くなることがあります。住民税や消費税も含めて、法人の事業譲渡とは違う試算が必要です。

税負担だけで売却スキームを決めない

税金が少ない方法を選びたい。これは自然な考えです。ただ、M&Aでは税率だけでスキームを決めると、買い手が受け入れられず交渉が止まることがあります。

売り手は株式譲渡を希望していても、買い手は事業譲渡を希望することがあります。理由は、簿外債務、未払残業代, 訴訟リスク、不要資産、金融債務、過去の税務リスクなどを引き継ぎたくないためです。買い手の不安を無視すると、価格が下がるか、条件交渉が長引きます。

事業譲渡は対象を選べるが手続が重い

事業譲渡の利点は、売る事業と残す事業を分けられることです。たとえば、製造部門だけを売り、小売部門を会社に残すことができます。不要な不動産や借入金を売却対象から外せる場合もあります。

一方で、契約、許認可、従業員、取引先、債務の移転を個別に確認する必要があります。契約相手の同意が必要になることも多く、株式譲渡より実務負担は重くなります。会社法上も、重要な事業譲渡では株主総会決議が必要になる場合があります。

従業員と取引先の同意が価格に影響する

事業譲渡では、従業員が当然に買い手へ移るわけではありません。雇用条件、勤務地、給与、退職金、社内制度をどう引き継ぐかを丁寧に説明する必要があります。キーパーソンが移籍しないと、買い手が想定した事業価値が下がることがあります。

取引先との契約も同じです。主要顧客が契約を継続しない可能性があるなら、買い手は価格を下げるか、アーンアウトなどの条件を求めます。アーンアウトとは、売却後の業績に応じて追加対価を支払う仕組みです。

会社分割を組み合わせる選択肢もある

一部事業だけを売りたいが、税務や手続の観点から株式譲渡に近い形にしたい場合、会社分割を組み合わせる方法があります。会社分割とは、特定の事業を別会社へ移す組織再編の手続です。

たとえば、売却したい事業を新会社に移し、その新会社の株式を売却する設計が考えられます。これにより、買い手は対象事業だけを取得し、売り手側は株式譲渡に近い形で進められる可能性があります。

ただし、会社分割には会社法、税務、会計、債権者保護、労働契約承継などの論点があります。適格組織再編に該当するかどうかで税務処理も大きく変わります。節税だけを目的に見える設計は、税務調査で説明が難しくなるため注意が必要です。

手取りを守る売却前の税務準備

税金対策は、売却直前に思いつきで行うものではありません。買い手が見つかり、基本合意が近づいてからでは、選べる方法が限られます。準備は早いほど有利です。

特に中小企業の会社売却では、経営者個人の引退、親族への資産承継、金融機関の個人保証解除、役員退職金、残る会社の清算や継続が同時に絡みます。税務だけでなく、生活設計や相続まで含めた手取り管理が必要です。

役員退職金は個人株主の手取り対策になる

オーナー経営者が会社売却に合わせて退任する場合、役員退職金を活用できることがあります。退職所得は、原則として退職所得控除を差し引いた後の金額の2分の1を課税対象にするため、長年経営してきたオーナーにとって税負担を抑えやすい所得区分です。

ただし、役員退職金は無制限に認められるわけではありません。勤務期間、功績、会社の規模、同業他社水準などを踏まえ、過大役員退職給与と判断されない金額にする必要があります。買い手との価格交渉にも影響します。退職金を支給すると会社の純資産が減るため、株式譲渡価格との関係を整理しなければなりません。

株式対価と退職金の配分を事前に試算する

売却対価をすべて株式譲渡代金として受け取る場合と、一部を役員退職金として受け取る場合では、個人の手取りが変わることがあります。さらに、会社側では退職金が損金になるかどうかも重要です。

買い手から見ると、退職金支給後の会社を買うのか、支給前の会社を買うのかで、実質的な買収価格が変わります。売り手だけに有利な設計では合意できません。税務メリットと買い手の納得感を両立させる必要があります。

繰越欠損金は使える時期と制限を確認する

事業譲渡を選ぶ場合、売却益と繰越欠損金を相殺できるかは重要です。過去の赤字が残っていれば、譲渡益に対する法人税等を抑えられる可能性があります。

ただし、繰越欠損金の金額だけでなく、発生年度、青色申告の継続、株主変更、事業内容の変更、グループ関係を確認します。M&Aでは、買い手が赤字会社を利用する形に見える場合、欠損金の利用に制限がかかることがあります。

売却年度の利益予測も合わせて見る

譲渡益だけを見て税額を計算すると、実際の納税額とずれることがあります。本業の利益、役員退職金、貸倒損失、在庫評価、固定資産売却損、賞与引当、決算賞与など、売却年度に発生する損益を合わせて確認するためです。

売却益が大きい年は、決算前に納税資金を確保します。納税はクロージング後すぐではないとしても、決算と申告の時期にまとまった資金が必要です。売却代金を借入返済や新規投資に使い切ると、納税資金が不足することがあります。

のれんと営業権の扱いは価格交渉にも影響する

事業譲渡では、譲渡価額が個別資産の時価純額を上回る場合、その差額はのれんや営業権として扱われることがあります。のれんとは、顧客基盤、ブランド、技術、ノウハウ、収益力など、目に見えない価値を表すものです。

買い手側では、税務上の資産調整勘定として一定期間で損金算入できる場合があります。そのため、買い手にとっては株式譲渡より事業譲渡を選びたい動機になることがあります。売り手は税負担だけでなく、買い手がどの程度価格に反映できるかを確認しましょう。

税務調査を招きやすい事業売却の注意点

事業売却は金額が大きく、通常の決算とは違う処理が多いため、税務調査で確認されやすい取引です。特に、親族間、同族会社間、グループ会社間の売却では、価格の妥当性を説明できる資料が欠かせません。

税金を減らすこと自体は問題ではありません。問題になるのは、実態に合わない価格、説明できない退職金、契約書と会計処理の不一致、消費税区分の誤りなどです。M&A実務では、ここで判断が止まることがあります。

低額譲渡や高額譲渡は課税リスクがある

第三者同士のM&Aでは、交渉で決まった価格が尊重されやすいです。しかし、親族、同族会社、グループ会社など特殊な関係者との取引では、時価とのずれが問題になることがあります。

時価より低い価格で売れば、売り手側で寄附金やみなし譲渡の問題が生じる場合があります。時価より高い価格で買えば、買い手側で寄附金、売り手側で過大な譲渡益などが問題になります。すべてのケースで同じ結論にはならないため、第三者評価や算定資料を残しておくことが重要です。

価格算定資料は交渉用と税務用の両方で使う

価格算定書は、買い手との交渉だけでなく、税務上の説明資料としても役立ちます。純資産、収益力、EBITDA、将来計画、顧客構成、役員依存度などを整理しておけば、価格の根拠を説明しやすくなります。

ただし、過度に楽観的な事業計画で価格を高く見せると、買い手のデューデリジェンスで信頼を失います。デューデリジェンスとは、買い手が財務、税務、法務、労務などを調査する手続です。税務説明と買い手説明の整合性を保つことが大切です。

契約書と会計処理を一致させる

事業譲渡契約書には、譲渡対象資産、譲渡対象負債、譲渡価額、消費税、従業員、取引先契約、表明保証、競業避止義務などを記載します。この契約内容と会計処理がずれていると、後で説明が難しくなります。

たとえば、契約書では営業権を含むと書いているのに、会計上はすべて機械装置として処理している場合、消費税や減価償却の区分に疑義が生じることがあります。譲渡対象の一覧と仕訳は、クロージング前に照合しておくべきです。

消費税区分は資産ごとに確認する

土地、有価証券、債権などは非課税、棚卸資産、設備、建物、営業権などは課税対象になりやすい資産です。譲渡価額を一括で決めた場合でも、資産ごとの内訳を合理的に配分しなければなりません。

内訳が曖昧だと、売り手と買い手で消費税額や取得価額の認識がずれます。買い手の仕入税額控除にも影響するため、最終契約前に税理士と会計処理を確認しましょう。

専門家に相談する時期は売却検討の初期がよい

税務の相談は、買い手候補が出てからでも遅くないと思われがちです。しかし、実際には初期段階で確認した方が、選択肢は広がります。株式譲渡にするか、事業譲渡にするか、会社分割を使うか、役員退職金を検討するかは、交渉が進むほど変更しにくくなるためです。

会社売却は、価格、税金、法務、従業員、金融機関、個人保証がつながっています。1つだけを最適化しても、全体としてよい条件になるとは限りません。経営者が最終判断しやすいように、税引後手取りを複数パターンで試算することが重要です。

まとめ

事業売却の税金は、事業譲渡か株式譲渡か、売り手が法人か個人かで大きく変わります。売却価格だけでなく、消費税、法人税等、株式譲渡所得、役員退職金、繰越欠損金、高所得者課税まで含めて手取りを試算することが大切です。早めに資料を整理し、税務とM&A実務の両面から売却方法を検討しましょう。

著者:竹川 満 マネージャー / M&Aアドバイザー 

野村證券にて、法人・個人富裕層の資産運用を支援した後、本社企画部署では全支店の営業支援・全国の顧客の運用支援、新商品の導入等に携わる。みつきグループでは、教育機関・介護施設等へのM&Aを含む経営支援に従事

編集:M&A事業承継アドバイザーズ 編集部|運営:みつき税理士法人


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