M&A事業承継アドバイザーズ|事業承継・M&A・会社売却に関する税務なら、みつき税理士法人

みつきコンサルティングの事業承継実践ガイドブックを経営者限定で無料進呈
みつきコンサルティングに会社売却を無料相談する|相談料0円・秘密厳守

中小企業の定義と判定基準を制度別にわかりやすく解説します

中小企業の定義を業種別の資本金・従業員数から整理し、小規模企業者・中堅企業・みなし大企業との違い、制度ごとの判定ミス、補助金や税務での注意点を解説します。事業承継や会社売却を考える際の確認軸も分かります。

目次:

  1. 中小企業の定義は資本金または従業員数で判定する
  2. 小規模企業者・中堅企業・大企業との違い
  3. 中小企業の判定で間違えやすい確認点
  4. 制度によって中小企業の範囲は変わる
  5. 中小企業が直面する経営課題と承継問題
  6. 事業承継・M&Aでは規模区分の整理が出発点
  7. まとめ

中小企業定義と中堅企業小規模企業の特徴と課題を丸ごと解説

中小企業の定義は資本金または従業員数で判定する

「うちは中小企業なのか」と聞かれると、多くの経営者は売上高や会社の知名度で考えがちです。しかし、法律上の中小企業の定義では、原則として売上高ではなく、資本金の額または常時使用する従業員数で判定します。

中小企業の基本的な範囲は、中小企業基本法で定められています。同法では「中小企業者」という呼び方をしており、業種ごとに資本金の額または出資総額、常時使用する従業員数の基準が分かれています。大切なのは、資本金と従業員数の両方を満たす必要はなく、どちらか一方を満たせばよい点です。

中小企業は、日本の企業数の99.7%を占めるとされるほど、国内経済の中心にあります。地域の工場、建設会社、卸売会社、小売店、サービス業の多くがこの範囲に入ります。会社売却や事業承継を考える場合も、自社の規模を正しく把握することが、相手探しや支援制度の確認の第一歩になります。

製造業・建設業・運輸業などの基準

製造業、建設業、運輸業、その他の業種では、資本金の額または出資総額が3億円以下、または常時使用する従業員数が300人以下であれば、中小企業者に該当します。

たとえば、資本金が5億円でも従業員数が250人であれば、原則として中小企業者に入ります。反対に、従業員数が400人でも資本金が3億円以下であれば、同じく中小企業者に該当する可能性があります。ここを「両方必要」と誤解するケースは珍しくありません。

卸売業の基準

卸売業では、資本金の額または出資総額が1億円以下、または常時使用する従業員数が100人以下であれば、中小企業者に該当します。

卸売業は、メーカーや仕入先から商品を仕入れ、小売業者や事業者に販売する業態です。商社、食品卸、建材卸、部品卸などが典型例です。小売と卸売の両方を行う会社では、どの事業が主たる事業なのかを確認する必要があります。

小売業の基準

小売業では、資本金の額または出資総額が5,000万円以下、または常時使用する従業員数が50人以下であれば、中小企業者に該当します。

地域の店舗、専門店、EC販売を行う会社などが該当しやすい業種です。店舗数が増えると、感覚的には中堅企業に近いように見えることもありますが、法律上の判定では資本金と従業員数を見ます。

サービス業の基準

サービス業では、資本金の額または出資総額が5,000万円以下、または常時使用する従業員数が100人以下であれば、中小企業者に該当します。

サービス業は範囲が広く、飲食、宿泊、教育、介護、IT関連、専門サービスなど、実務では判断に迷うことがあります。中小企業基本法上の業種区分は、主たる事業で判断するため、複数事業を行っている会社は、売上構成や事業実態を整理しておくとよいです。

小規模企業者・中堅企業・大企業との違い

中小企業と似た言葉に、小規模企業者、中堅企業、大企業、大手企業、みなし大企業があります。どれも会社の規模を表す言葉ですが、根拠となる制度や使われる場面が違います。ここを曖昧にしたまま補助金や税制、M&Aを検討すると、後から条件に合わないと分かることがあります。

小規模企業者は従業員数だけで判定する

小規模企業者とは、中小企業の中でも特に規模が小さい事業者を指します。中小企業基本法では、製造業その他では常時使用する従業員数20人以下、商業やサービス業では5人以下がおおまかな基準です。

中小企業者の定義と違い、小規模企業者は資本金ではなく従業員数で見ます。家族経営、少人数の店舗、個人事業に近い会社などが入りやすい区分です。

小規模だから事業承継やM&Aの対象にならない、ということではありません。ただし、経営者本人の営業力や技術に依存している会社では、引き継ぎ後に事業が回る仕組みを示せるかが重要になります。

中堅企業は中小企業を超えた成長段階の企業

中堅企業は、中小企業より大きく、大企業よりは小さい企業群です。現在は、改正産業競争力強化法などにより、中小企業者を除き、常時使用する従業員数が2,000人以下の会社を中堅企業とする整理が進んでいます。

中堅企業になると、営業エリアの拡大、事業の多角化、管理部門の強化、資金調達の高度化などが必要になります。中小企業の延長線というより、組織経営へ移る段階と考えると分かりやすいです。

大企業・大手企業・みなし大企業は意味が異なる

大企業には、中小企業基本法上の明確な定義はありません。一般には、中小企業者にも中堅企業にも該当しない規模の会社を大企業と呼ぶことが多いです。

大手企業は、法律用語というより一般的な呼び方です。知名度、売上高、従業員数、業界内の影響力などから使われます。したがって、「大手」と呼ばれていても、制度上は中小企業に該当する場合があります。

みなし大企業は、補助金や助成金などでよく出てくる考え方です。資本金や従業員数だけを見れば中小企業でも、大企業から一定以上の出資を受けている場合などに、支援対象から外されることがあります。中小企業基本法そのものに一般的なみなし大企業の規定があるわけではなく、制度ごとに扱いが変わります。

中小企業の判定で間違えやすい確認点

中小企業の定義は一見シンプルです。ただ、実務では細かいところで迷います。従業員数の数え方、対象となる法人の範囲、業種の選び方、制度ごとの違い。ここで判断を誤ると、補助金申請や税制優遇、M&Aの準備で手戻りが生じます。

常時使用する従業員に誰を含めるか

常時使用する従業員とは、簡単に言えば、通常の雇用関係のもとで継続して働く人です。中小企業庁の考え方では、労働基準法上、あらかじめ解雇予告を必要とする人が目安になります。

正社員だけではありません。パート、アルバイト、契約社員、派遣社員、出向者なども、働き方や契約内容によっては人数に含まれる場合があります。一方、会社の役員や個人事業主本人は、原則として常時使用する従業員には含まれません。

意外と多い落とし穴です。従業員数を少なく見積もっていた会社が、申請直前に基準超過と分かることもあります。

会社と個人が対象で、法人形態によって扱いが違う

中小企業基本法の中小企業者は、会社と個人を主な対象とします。ここでいう会社には、株式会社、合同会社、合名会社、合資会社、特例有限会社などが含まれます。

一方、医療法人、学校法人、社会福祉法人、NPO法人、一般社団法人などは、中小企業基本法上の会社に該当しないと考えられます。ただし、個別の法律や補助金では別の扱いになることがあるため、制度利用の場面では必ず要件を確認します。

事業承継では、法人形態によって使える手続や税務上の扱いが変わります。会社の規模だけでなく、法人の種類も早めに確認したいところです。

複数事業を持つ会社は主たる事業で見る

製造と小売、卸売とサービス、店舗販売とEC販売など、複数の事業を持つ中小企業は多くあります。この場合、どの業種に当てはめるかは、主たる事業で判断するのが基本です。

主たる事業は、売上高、利益、従業員数、事業の実態などから総合的に考えます。形式的な定款の目的だけで決めると、実態とずれることがあります。M&A実務でも、買い手は定款より実際の収益源を見ます。

判定前に整理しておきたい資料

中小企業かどうかを確認する際は、直近の決算書、株主名簿、従業員一覧、雇用形態の内訳、事業別売上高、会社案内などをそろえておくと判断しやすくなります。

補助金、金融機関対応、事業承継、会社売却のどれを検討する場合でも、これらの資料は後で必要になりやすいものです。早めに整えるだけで、専門家との相談も具体的になります。

制度によって中小企業の範囲は変わる

中小企業基本法の定義は、あくまで中小企業政策の基本となる原則です。実際には、法人税、補助金、助成金、信用保証、共済制度などで、それぞれ中小企業の範囲が異なる場合があります。

同じ会社でも、ある制度では中小企業に該当し、別の制度では対象外になることがあります。少し面倒です。ただ、ここを確認せずに進めると、資金計画や税負担の見込みが狂うこともあります。

税務では資本金1億円以下が一つの目安になる

法人税などの税務では、業種に関係なく、資本金1億円以下かどうかが一つの重要な目安になります。中小法人等として軽減税率や各種特例の対象になるかを確認する場面があるためです。

ただし、大企業との完全支配関係がある会社などは、資本金が1億円以下でも特例の対象外になる場合があります。単に「資本金が小さいから使える」と考えるのは危険です。

会社売却を考えるときも、税務上の中小法人かどうかは、譲渡前の整理や手取り額の試算に関係することがあります。株式譲渡そのものの税率だけでなく、会社側に残る税務リスクや過去の申告内容も確認されます。

補助金ではみなし大企業や業種要件に注意する

補助金や助成金では、中小企業基本法の基準を使いながら、独自の上乗せ要件を置くことがあります。みなし大企業の除外、対象業種、従業員数の数え方、申請時点の基準日などです。

たとえば、大企業から出資を受けている会社、グループ会社を持つ会社、親会社がある会社では、単体の資本金や従業員数だけでは判断できない場合があります。制度の公募要領を確認する必要があります。

会社法では大会社かどうかも見る

会社法では、中小企業という言葉よりも、大会社かどうかが問題になる場面があります。大会社とは、資本金5億円以上または負債総額200億円以上の株式会社を指します。

大会社に該当すると、会計監査人の設置など、会社法上の義務が変わります。M&Aでは、買い手が法務デューデリジェンスを行う際に、機関設計、株主総会、取締役会、公告、計算書類などを確認します。中小企業のつもりでも、負債規模が大きい会社では注意が必要です。

中小企業が直面する経営課題と承継問題

中小企業の定義を確認するだけなら、資本金と従業員数を見れば足ります。しかし、経営者にとって大切なのは、その規模だからこそ起こりやすい課題を知ることです。人手不足、働き方改革、資金繰り、デジタル化、後継者不在。どれも会社の将来価値に直結します。

人材確保と働き方改革への対応

中小企業では、採用担当者が専任でいない、教育制度を整える余裕がない、現場のベテランに仕事が集中している、といった状況がよくあります。人手不足は売上の伸び悩みだけでなく、事業承継の遅れにもつながります。

働き方改革への対応も避けられません。時間外労働、休日管理、有給休暇、賃金体系などを整えていない会社は、M&Aの調査で労務リスクとして見られることがあります。小さな会社ほど「昔からこれでやってきた」が通りやすい反面、第三者承継ではその曖昧さが問題になりやすいです。

経営者の高齢化と引退時期の判断

中小企業では、経営者本人が営業、資金繰り、採用、取引先対応まで担っているケースが少なくありません。そのため、経営者の体力や判断力が落ちると、会社全体の意思決定も遅くなります。

引退時期を決めるのは簡単ではありません。従業員や取引先への責任、借入金、個人保証、家族の意向が絡むためです。それでも、引退の検討を始める時期が遅れるほど、選択肢は狭くなります。

後継者不在は小規模企業ほど深刻になりやすい

親族や社内に後継者がいない場合、会社を残す方法は限られます。廃業、親族内承継、従業員承継、第三者承継としてのM&Aなどを比較する必要があります。

小規模企業では、事業が経営者に依存しやすいため、後継者が見つからないまま時間が過ぎると、会社の価値が下がることがあります。取引先が離れる、社員が不安になる、金融機関が慎重になる。こういうケースは珍しくありません。

新型コロナ後は資金繰りと収益力の見直しが続いている

新型コロナウイルス感染症の影響は、業種によって残り方が違います。売上は戻っていても、借入金が増えたまま、原材料費や人件費の上昇で利益が出にくい会社もあります。

M&Aを検討する場合、買い手はコロナ前、コロナ中、コロナ後の収益を分けて見ます。一時的な落ち込みなのか、構造的に利益が減ったのかを確認するためです。決算書の数字だけでなく、月次試算表や資金繰り表を整理しておくと説明しやすくなります。

事業承継・M&Aでは規模区分の整理が出発点

中小企業の定義は、制度上の線引きに見えます。しかし、事業承継やM&A(合併・買収)では、自社を客観的に説明するための土台になります。会社の規模、従業員数、資本金、株主構成、借入金、個人保証、収益力を整理することで、承継方法の選び方が変わります。

親族内承継・従業員承継では税務と資金負担を見る

親族や従業員に会社を引き継ぐ場合、株式をどう移すかが大きな論点になります。贈与、相続、売買のどれを使うかによって、税金や資金負担が変わります。

中小企業の株式は、上場株式のように市場価格がありません。そのため、税務上の評価額と、経営者が感じている会社の価値がずれることがあります。後継者に資金力がない場合は、株式を買い取れないという問題も起こります。

第三者承継では会社の実態を見える化する

M&Aによる第三者承継では、買い手は会社の規模だけで判断しません。売上、利益、取引先、従業員、借入金、許認可、労務管理、契約書、経営者への依存度を見ます。

中小企業であること自体は、マイナスではありません。むしろ、地域密着の顧客基盤、熟練した従業員、特定分野の技術、安定した取引先が評価されることがあります。ただし、それらが経営者の頭の中だけにあると、買い手に伝わりません。

M&A前に確認したい規模情報

M&Aを考え始めたら、資本金、従業員数、業種区分、株主構成、役員構成、借入金、個人保証、主要取引先、直近3期の決算内容を整理します。小規模企業者に該当する会社では、特に経営者個人への依存度、従業員の引き継ぎ、取引先との関係が重要です。

早めに整理しておくと、親族内承継、従業員承継、第三者承継、廃業の比較がしやすくなります。判断が止まりやすいのは、「誰に継がせるか」ではなく、「いま会社がどう見えるか」を説明できない場面です。

補助金や税制の目的なら個別要件を必ず確認する

中小企業の定義を知りたい理由が、補助金申請、税制優遇、融資、M&A、事業承継のどれなのかによって、確認すべき基準は変わります。

補助金なら公募要領、税務なら法人税法や租税特別措置法、融資なら金融機関や保証制度の要件、M&Aなら買い手が見る実態が大切です。中小企業基本法の定義は出発点であり、最終判断ではありません。

まとめ

中小企業の定義は、業種別に資本金または従業員数で判定するのが基本です。ただし、小規模企業者、中堅企業、税務、補助金、みなし大企業では基準が変わります。事業承継やM&Aを検討する際は、自社の規模、株主構成、従業員数、借入金を整理し、どの制度・選択肢に当てはまるかを早めに確認することが大切です。

著者:竹川 満 マネージャー / M&Aアドバイザー 

野村證券にて、法人・個人富裕層の資産運用を支援した後、本社企画部署では全支店の営業支援・全国の顧客の運用支援、新商品の導入等に携わる。みつきグループでは、教育機関・介護施設等へのM&Aを含む経営支援に従事

編集:M&A事業承継アドバイザーズ 編集部|運営:みつき税理士法人