2024年版|M&A業界の最新動向!業務内容業界別


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事業承継M&A業界の最新動向と中小企業の相談先の選び方

事業承継M&A業界の需要拡大、支援機関の二極化、制度改革、オンライン化、手数料比較、相談先選びを中小企業オーナー向けに解説します。会社売却を検討する際に、譲渡価格、個人保証、買い手確認で何を見るべきか、相談前に準備する資料も丁寧に整理します。

目次

  1. 事業承継M&A業界は選別期に入った
  2. 会社売却で支援機関が担う実務
  3. 中小企業で需要が続く構造要因
  4. 業種別の見方は買い手の狙いで変わる
  5. 制度改革で見るべき支援品質
  6. 相談先を選ぶ前に確認したい基準
  7. まとめ
2024年版|M&A業界の最新動向!業務内容業界別

事業承継M&A業界は選別期に入った

M&A(合併・買収)は、後継者不在の会社を第三者へ引き継ぐ手段として、中小企業にも広く使われるようになりました。ただし、件数が増えたからといって、どの支援機関に相談しても同じ結果になるわけではありません。

2025年度の日本のM&A市場は、公表ベースで件数も取引金額も過去最高水準となりました。大企業の大型案件だけでなく、事業承継を目的とする中小企業の会社売却も増えています。一方で、支援機関の数が増えたことで、実務力、手数料説明、買い手確認、利益相反への対応に差が出やすくなりました。

業界全体は活況です。しかし、経営者から見ると「相談先が多すぎて選べない」という難しさもあります。M&A実務では、最初の相談先選びで譲渡価格、交渉相手、情報管理、個人保証の整理まで変わることがあります。

大手化、地域特化、個人化が同時に進む

支援機関は、大きく見ると二極化しています。上場している大手支援会社は、金融機関や会計事務所とのネットワーク、1名の担当者が一貫して進める体制、財務や会計に強い体制、AIやDXを使った候補先探索など、それぞれ異なる強みを打ち出しています。

一方で、地域密着型の支援機関、業界特化型の専門家、個人アドバイザーも増えています。地方の中小企業では、買い手企業が全国にいるとは限りません。地域金融機関、顧問税理士、業界内の取引先との接点をどう使うかが成否に影響します。

小規模案件はオンライン化が進む

年商規模が小さい会社や個人事業に近い事業では、M&Aプラットフォームの利用も増えています。候補先を広く探せること、費用を抑えやすいこと、初期の反応を早く見られることは利点です。

ただし、プラットフォームは万能ではありません。譲渡価格の妥当性、買い手の資金力、契約条件、従業員説明、金融機関対応は、画面上のマッチングだけでは判断しにくい部分です。安価なオンライン型と、専門家が深く関与する人的支援は、案件の大きさやリスクに応じて使い分ける必要があります。

会社売却で支援機関が担う実務

M&Aの支援業務は、単に買い手を紹介することではありません。むしろ、買い手が見つかった後に、論点を整理できるかどうかが重要です。

支援機関の主な役割は、初期相談、譲渡可能性の確認、企業価値の簡易評価、候補先探索、秘密保持契約、企業概要書の作成、条件交渉、基本合意、デューデリジェンス、最終契約、クロージング支援です。デューデリジェンスとは、買い手が財務、税務、法務、労務などを調べる買収監査のことです。

初期相談では売却理由と優先順位を整理する

初期相談で重要なのは、会社を売るかどうかを急いで決めることではありません。経営者が何を守りたいのかを整理することです。

例えば、創業者利益を重視するのか、従業員の雇用を最優先するのか、取引先との関係を守りたいのか、金融機関の借入や個人保証をきれいに整理したいのかで、選ぶ買い手は変わります。ここが曖昧なまま進むと、条件交渉の途中で判断が止まることがあります。

企業価値評価は希望価格ではなく交渉の出発点

企業価値評価は、会社の価値を決める作業です。中小企業では、営業利益、役員報酬、不動産、借入金、退職金、在庫、得意先の安定性などを調整して考えます。

希望価格だけで候補先に打診すると、買い手から根拠を問われたときに説明できません。逆に、低すぎる価格で話を始めると、後から引き上げるのは難しくなります。評価は、最終価格そのものではなく、交渉を始めるための地図です。

税務と手取り額も同時に見る

株式譲渡と事業譲渡では、税金や手続が異なります。株式譲渡は、会社の株式を売る方法です。事業譲渡は、特定の事業や資産を会社が売る方法です。

同じ譲渡価格でも、税負担、残る資産、残る借入、消費税、従業員や契約の引継ぎで手取り額は変わります。税務に弱いままスキームを選ぶと、契約直前に想定外の負担が見つかることがあります。意外と多い落とし穴です。

契約とクロージングでは個人保証を曖昧にしない

中小企業の会社売却で特に注意したいのが、経営者保証です。経営者保証とは、会社借入について経営者個人が返済責任を負う保証のことです。

買い手が「引き受けます」と口頭で言っても、金融機関の承諾や契約書上の整理がなければ、保証が残ることがあります。最終契約では、借入金、担保、保証、役員退任、退職金、未払金、役員貸付金などを一つずつ確認します。M&A成立後に経営者だけがリスクを負う形は避けるべきです。

中小企業で需要が続く構造要因

後継者不在率は改善傾向にあります。それでも、事業承継M&Aの需要が弱まっているわけではありません。

2025年調査では、全国の後継者不在率は50.1%とされています。前年より改善していますが、依然として約半数の企業で後継者がいない、または未定です。特に小規模企業では、後継者対策が遅れやすい傾向があります。

高齢経営者の引退期が重なっている

日本では、経営者の高齢化が進んでいます。親族内承継が難しい会社、従業員に株式を買い取る資金がない会社、後継候補はいても借入や個人保証を引き継ぎにくい会社は珍しくありません。

事業承継・引継ぎ支援センターでは、2024年度の第三者承継の成約件数が2,132件となり、過去最高を更新しました。公的窓口の実績が伸びていることは、中小企業にとってM&Aが特別な手段ではなく、現実的な選択肢になってきたことを示しています。

廃業より承継を選ぶ判断が増えている

黒字でも後継者がいなければ、廃業を選ぶ会社があります。従業員、取引先、仕入先、地域の顧客に影響が出るため、経営者にとってはつらい判断です。

M&Aで第三者に引き継げれば、会社名、従業員、取引先、技術、店舗、設備を残せる可能性があります。もちろん、すべての会社が希望通りに売却できるわけではありません。それでも、廃業届を出す前に譲渡可能性を確認する価値はあります。

第三者承継支援総合パッケージ以降の流れ

国は、後継者不在の中小企業が第三者へ事業を引き継ぐ流れを後押ししてきました。第三者承継支援総合パッケージでは、黒字廃業の防止、地域雇用の維持、経営資源の引継ぎが重視されました。

その後も、事業承継・引継ぎ支援センター、M&A支援機関登録制度、中小M&Aガイドラインなどが整備され、支援の量だけでなく質も問われる段階に入っています。

業種別の見方は買い手の狙いで変わる

業界別のM&A動向を見るときは、「その業界で案件が多いか」だけでは不十分です。買い手が何を欲しがっているのかを見る方が、会社売却の判断に役立ちます。

IT業界は人材と開発体制が評価されやすい

IT業界では、エンジニア、顧客基盤、保守契約、開発ノウハウが評価されやすい傾向があります。創業者がそのまま経営している会社も多く、初めての事業承継としてM&Aを検討する場面が増えています。

ただし、売上が特定の取引先や創業者個人に依存していると、評価は下がりやすくなります。担当者の退職リスク、ソースコードや契約の整理、外注先との関係も確認されます。

医療・介護は許認可と人材確保が重要になる

医療・介護業界では、高齢化により需要がある一方、人材不足や運営規制への対応が重い課題です。買い手は、利用者数や診療圏だけでなく、許認可、指定、施設基準、職員の定着、レセプトや請求体制も確認します。

医療法人や介護事業は、一般の会社と同じ感覚で進めると手続を誤ることがあります。早い段階で、法務、税務、行政手続を分けて整理することが大切です。

製造、物流、建設は現場力と資格者が見られる

製造業では、設備、技術者、取引先、品質管理、図面や金型の管理が重要です。買い手は、自社の製造機能を補う目的や、サプライチェーンを強くする目的で検討します。

物流業では、ドライバー、車両、営業所、荷主との契約、労務管理が見られます。建設業では、許可、資格者、施工管理体制、安全管理、下請け構造が重要です。資格者が退職すると許可や受注に影響するため、キーマンの処遇は交渉上の大きな論点になります。

業界特化の実績は価格だけでなく安心感に関わる

同じ利益水準でも、業界によって買い手の見方は違います。建設、物流、医療、介護、IT、製造などは、商習慣や規制が異なるため、過去に近い業種を扱った経験がある担当者の方が、買い手への説明が具体的になります。

「どの業界でも対応できます」という説明だけでは足りません。自社と近い規模、地域、業種で、どのような論点が出たかを確認すると、相談先の実力が見えやすくなります。

制度改革で見るべき支援品質

事業承継M&A業界は、拡大期から制度的な選別期に入りつつあります。これは、相談する経営者にとって悪いことではありません。

市場が広がると、経験の浅い事業者、強引な営業をする事業者、手数料を十分に説明しない事業者、不適切な買い手を見抜けない事業者も出てきます。制度改革は、こうした不安を減らし、安心して相談できる市場に近づけるためのものです。

中小M&Aガイドラインでは説明責任が重くなった

中小M&Aガイドライン第3版では、手数料、業務内容、営業や広告、利益相反、最終契約のリスク、不適切な買い手への対応などが整理されています。

売り手にとって特に大切なのは、手数料と利益相反です。仲介では、売り手と買い手の双方を支援する形になるため、どの場面で誰の利益を優先するのかを確認しなければなりません。説明があいまいなまま契約しないことが重要です。

登録制度と情報提供窓口を確認する

M&A支援機関登録制度では、登録された支援機関の情報を確認できます。最低手数料、報酬の基準額、所在地、業務開始時期などを比べる材料になります。

また、不適切な対応について情報提供する窓口も設けられています。過去に問題のある対応があったか、注意喚起や登録取消しの対象になっていないかを確認する姿勢は、会社を守るうえで大切です。

個人の知識と倫理観も見られる時代へ

支援人材個人の知識や倫理観を見える化する流れも進んでいます。今後は、会社単位の登録だけでなく、担当者個人の実務力も見られやすくなります。

経営者が確認すべきなのは、資格の有無だけではありません。財務、税務、法務、労務、交渉、PMI(M&A後の統合プロセス)まで、どの範囲を自ら説明でき、どの範囲を専門家と連携するのかです。ここを隠さず説明する担当者は信頼しやすいと言えます。

相談先を選ぶ前に確認したい基準

会社売却は、相手を見つける前に準備で差がつきます。相談先を選ぶときは、知名度や営業資料だけで判断しない方が安全です。

手数料は総額と計算基準を確認する

「成功報酬」と聞くと、成約しなければ費用がかからないと思いがちです。しかし、着手金、中間金、月額報酬、最低報酬、資料作成費、専門家費用が別に発生することがあります。

レーマン方式とは、譲渡価格などを基準に段階的に報酬率を掛ける方法です。ただし、基準が株式価値なのか、移動総資産なのか、オーナーの受取額なのかで金額が大きく変わります。小規模案件では、最低報酬の方が実質的な負担になることもあります。

買い手の資金力と信用確認を任せきりにしない

買い手候補が現れても、すぐに安心してはいけません。資金力、買収目的、過去のM&A実績、金融機関との関係、反社会的勢力との関係、従業員や取引先への姿勢を確認する必要があります。

特に、譲渡対価の後払い、退職慰労金の後払い、個人保証の解除予定がある場合は慎重に進めます。後から支払われる条件は、買い手の信用に強く依存します。契約書に書くだけでなく、実行可能性を見ることが大切です。

担当者の説明が税務、法務、実務にまたがるかを見る

中小企業のM&Aは、財務だけで完結しません。株主構成、相続、役員貸付金、退職金、従業員の雇用契約、取引基本契約、許認可、金融機関対応が一つにつながっています。

よい担当者は、分からないことを無理に断定しません。税理士、弁護士、社会保険労務士などと連携しながら、経営者が判断できる言葉に直して説明します。専門用語を並べるより、社長が何を決めればよいかを示せるかが重要です。

相談前に準備しておく資料

初回相談では、直近3期分の決算書、月次試算表、借入金一覧、株主名簿、役員や親族との貸し借り、主要取引先、従業員数、許認可、固定資産の一覧があると話が進みやすくなります。

すべてそろっていなくても相談はできます。ただ、資料があるほど、譲渡可能性、想定価格、買い手候補、事前に直すべき論点を早く把握できます。早めの準備は、価格を上げるためだけでなく、交渉で慌てないためにも役立ちます。

相談時に聞くべき質問

相談時には、過去の同業種案件、想定される買い手像、手数料の総額、最低報酬、担当者の人数、税務や法務の連携体制、買い手審査の方法、個人保証の整理方針を聞いてください。

返答が一般論だけで終わる場合は注意が必要です。自社の決算書や業界事情を踏まえた説明があるかどうかが、相談先を見極める材料になります。

まとめ

事業承継M&A業界は需要拡大と制度改革が同時に進み、相談先の選び方が以前より重要になっています。会社売却では、価格だけでなく手数料、買い手の信用、個人保証、税務、従業員対応を早めに整理することが大切です。早期に動けば、廃業以外の選択肢を残しやすくなります。まずは自社の資料をそろえ、複数の視点で譲渡可能性を確認しましょう。

著者:竹川 満 マネージャー / M&Aアドバイザー 

野村證券にて、法人・個人富裕層の資産運用を支援した後、本社企画部署では全支店の営業支援・全国の顧客の運用支援、新商品の導入等に携わる。みつきグループでは、教育機関・介護施設等へのM&Aを含む経営支援に従事

編集:M&A事業承継アドバイザーズ 編集部|運営:みつき税理士法人


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