M&Aにおける営業権の重要性と評価方法を詳しく解説。営業権の定義から算出方法、税務処理まで網羅的に紹介。さらに、営業権を高く評価してもらうための具体的な戦略も提示しています。M&A成功のカギとなる営業権について、深く理解できる内容です。
目次
営業権は、M&A(合併・買収)において非常に重要な概念です。具体的には、将来的に収益を生み出す可能性のある無形固定資産を指します。これは、企業が保有する現金や商品在庫などの有形資産とは異なり、目に見えない価値を表すものです。
営業権に含まれる主な要素は以下の通りです:
• 企業のノウハウ
• ブランド価値
• 取引先とのネットワーク
• 優秀な従業員
• 独自の技術
• 顧客リスト
これらの要素は、直接的な金銭的価値を持つものではありませんが、企業の将来的な成長や収益性に大きな影響を与える可能性があります。
M&Aを実施する際、営業権は取引価格の算定に重要な役割を果たします。一般的に、M&A価格は「時価純資産+営業権」という形で算出されることが多いです。つまり、企業の有形資産の価値に加えて、将来的な収益力や成長性を反映した営業権を考慮することで、より適切な企業価値評価が可能となります。
営業権は目に見えない資産ではありますが、M&Aにおいては非常に重要な要素となります。特に、技術力やブランド力が高い企業、優秀な人材を多く抱える企業、強固な顧客基盤を持つ企業などでは、営業権の評価が取引価格に大きな影響を与えることがあります。
そのため、M&Aを検討する企業は、自社の営業権をどのように評価し、アピールするかを十分に検討する必要があります。同時に、買い手の企業も、対象企業の営業権を適切に評価し、将来的な収益性や自社とのシナジー効果を正確に見極めることが重要となります。
▶目次ページ:M&Aの種類・方法(のれん、法務)
M&Aの文脈で頻繁に登場する「営業権」と「のれん」という2つの用語は、非常に似た概念ですが、厳密には異なる意味を持ちます。ここでは、両者の違いと共通点について詳しく見ていきます。
のれんは、主に会計処理の際に使用される用語です。M&Aにおいては、買収金額と買収される会社の時価純資産との差額を指します。つまり、買い手が支払った金額のうち、買収対象企業の純資産価値を超える部分がのれんとして計上されます。
のれんは、買い手が会計処理を行う際に使用する概念であり、貸借対照表上に資産として計上されます。その後、一定期間にわたって償却されていくことになります。
営業権とのれんは、どちらもM&A価格と純資産の差額を表すという点で共通しています。しかし、その算定過程や使用される文脈が異なります。
• 営業権:M&A価格を算出する際に使用される概念
• のれん:会計上の処理をする際に使用される概念
実務上、営業権とのれんはほぼ同じ金額になることが多いため、同義語として扱われることもあります。しかし、厳密には異なる概念であることを理解しておくことが重要です。
両者の違いを簡単にまとめると以下のようになります:
1. 使用される場面:
o 営業権:M&A価格の算定時
o のれん:会計処理時
2. 計上主体:
o 営業権:主に売り手の視点
o のれん:買い手の視点
3. 計算方法:
o 営業権:将来の超過収益力などを基に算出
o のれん:M&A価格から時価純資産を差し引いて算出
M&Aに関わる際は、これらの違いを理解した上で、適切に対応することが求められます。
M&Aにおいて営業権が存在することは、売り手と買い手の双方にとって重要な意味を持ちます。ここでは、それぞれの立場におけるメリットについて詳しく見ていきます。
営業権を高く評価してもらうことで、売り手は以下のようなメリットを得ることができます:
1. 高い譲渡価格の実現: 営業権が適切に評価されることで、純資産価値以上の価格でM&Aを成立させることが可能
になります。これは特に、技術力やブランド力、顧客基盤などの無形資産が強みの企業にとって大きなメリットと
なります。
2. 企業価値の適正な評価: 財務諸表上の数字だけでは表現しきれない企業の強みや将来性を、金銭的価値として認識
してもらえます。
3. 従業員の貢献の認識: 優秀な人材や組織力も営業権の一部として評価されるため、従業員の努力や貢献が適切に反
映される可能性があります。
4. 事業承継の円滑化: 後継者不在などの理由でM&Aを検討する中小企業にとって、適切な営業権評価は円滑な事業承
継につながる可能性があります。
一方、買い手側にとっても、営業権の存在は以下のようなメリットをもたらします:
1. 将来的な収益力の獲得: 営業権として評価される無形資産は、将来的な収益につながる可能性が高いものです。
これらを適切に評価し取得することで、長期的な企業価値向上が期待できます。
2. シナジー効果の最大化: 買い手の既存事業と、取得する営業権(ブランド、技術、顧客基盤など)を組み合わせる
ことで、より大きなシナジー効果を生み出せる可能性があります。
3. 税務上のメリット: 取得した営業権は「のれん」として資産計上され、一定期間にわたって償却することができま
す。これにより、税務上の利益を減少させる効果があります。
4. 迅速な事業拡大: 新規事業の立ち上げや新市場への参入を、一から始めるのではなく、既存の営業権を活用するこ
とで、より迅速かつ効率的に行うことができます。
5. リスクの分散: 異なる業種や地域の企業の営業権を取得することで、事業ポートフォリオの多様化が図れ、リスク
分散につながります。
このように、M&Aにおける営業権の存在は、売り手・買い手双方にとって重要な意味を持ちます。ただし、その評価には専門的な知識と経験が必要となるため、M&Aを検討する際は、専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。
M&Aにおける企業価値や取引価格を算定する際には、主に3つのアプローチが用いられます。それぞれのアプローチには特徴があり、状況に応じて適切な方法を選択したり、複数の方法を組み合わせたりすることが一般的です。ここでは、各アプローチの特徴について詳しく見ていきます。
コスト・アプローチは、企業の純資産価値を基準に価格を算定する方法です。
1. 主な手法:
o 簿価純資産法
o 時価純資産法
o 時価純資産+営業権法
2. メリット:
o 客観性が高い:貸借対照表上の数値を基に算出するため、誰が計算しても同じ結果になりやすい。
o 計算が比較的簡単:複雑な予測や仮定を必要としない。
3. デメリット:
o 将来の収益性を反映しにくい:特に、時価純資産+営業権法以外の方法では、企業の成長性や将来性を適切に評価
できない可能性がある。
o 継続企業の評価には不向き:清算価値に近い評価になるため、今後も事業を継続する企業の評価には適さない場合
がある。
4. 適している場面:
o 不動産会社など、資産価値が重要な企業の評価
o 赤字企業や業績不振企業の評価
o M&A価格の下限を設定する際の参考値として
インカム・アプローチは、企業の将来的な収益性をベースに価格を算定する方法です。
1. 主な手法:
o DCF(ディスカウンテッド・キャッシュフロー)法
o 配当還元法
2. メリット:
o 将来の収益性を反映:企業の成長性や将来性を評価に組み込むことができる。
o シナジー効果の考慮:売り手と買い手の相乗効果を価格に反映させやすい。
o 企業価値の妥当性把握:将来のキャッシュフローに基づくため、企業価値の妥当性を理解しやすい。
3. デメリット:
o 主観性が高い:将来予測に基づくため、作成者の主観や恣意性が入り込む可能性がある。
o 情報収集に時間がかかる:適切な予測を行うために、詳細な情報収集が必要となる。
4. 適している場面:
o 成長性の高いベンチャー企業の評価
o 安定的なキャッシュフローが見込める成熟企業の評価
o シナジー効果を重視するM&Aの価格算定
マーケット・アプローチは、同業他社の株価や過去の類似取引事例を参考に価格を算定する方法です。
1. 主な手法:
o 類似企業比較法
o 類似取引比較法
o 市場株価法(上場企業の場合)
2. メリット:
o 市場の需要を反映:実際の市場価値や取引事例を基にするため、現実的な評価が可能。
o 客観性が高い:公開されている指標(株価やEBITDAなど)を使用するため、恣意性が入りにくい。
o 計算が比較的簡単:公表されているデータを基に計算式に当てはめるだけで評価できる。
3. デメリット:
o 株式市場の影響を受けやすい:市場全体の動向や短期的な変動に左右される可能性がある。
o 適切な比較対象の選定が難しい:完全に一致する企業や取引事例を見つけるのは困難な場合が多い。
o 特殊要因の影響:純利益額は資本政策や特別損益などの影響を受けやすく、適切な評価が難しい場合がある。
4. 適している場面:
o 上場企業の評価
o 同業他社が多く存在する業界の企業評価
o M&A市場が活発で、類似取引事例が豊富な業界での評価
これら3つのアプローチは、それぞれ長所と短所があります。実際のM&A価格算定においては、対象企業の特性や取引の目的、市場環境などを考慮し、複数のアプローチを組み合わせて総合的に評価することが一般的です。また、各アプローチの結果に重み付けをして最終的な価格を決定することもあります。
適切なアプローチの選択と評価の実施には、専門的な知識と経験が必要となるため、M&Aを検討する際は、M&A専門家や会計士、税理士などの専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。
M&Aにおける営業権の算出には、様々な方法があります。ここでは、主要な6つの算出方法について、その特徴や適用場面を詳しく見ていきます。
DCF(Discounted Cash Flow)法は、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて企業価値を算出する方法です。
1. 特徴:
o 将来の収益性を重視した評価が可能
o 企業の成長性や事業計画を反映しやすい
2. 計算方法:
o 将来のフリーキャッシュフローを予測
o 適切な割引率(加重平均資本コストなど)を設定
o 予測期間のキャッシュフローを現在価値に割り引いて合計
3. メリット:
o 理論的に最も正確な企業価値評価方法とされる
o 長期的な成長性を評価に反映できる
4. デメリット:
o 将来予測の難しさや主観性が入り込む可能性がある
o 適切な割引率の設定が難しい
超過収益法は、無形資産が生み出す将来の超過収益を現在価値に割り引いて評価する方法です。
1. 特徴:
o 無形資産の価値を個別に評価できる
o 営業権の中でも特に技術やブランドなどの評価に適している
2. 計算方法:
o 通常の期待収益を超える部分を超過収益として算出
o 超過収益の将来予測を行い、現在価値に割り引く
3. メリット:
o 個別の無形資産の価値を明確化できる
o 理論的な裏付けがある評価方法
4. デメリット:
o 計算が複雑で専門的知識が必要
o 超過収益の予測や割引率の設定に主観性が入り込む可能性がある
年買法は、企業の年間利益に一定の倍率を掛けて営業権を算出する方法です。
1. 特徴:
o 簡便な方法で、中小企業のM&Aでよく使用される
o 業界や企業の特性に応じて倍率を調整する
2. 計算方法:
o 年間利益×倍率(通常1〜5年)
3. メリット:
o 計算が簡単で理解しやすい
o 業界慣行や企業の特性を反映しやすい
4. デメリット:
o 倍率の設定に恣意性が入り込む可能性がある
o 将来の成長性を適切に反映しにくい
類似企業比較法は、同業他社の株価や財務指標を参考に企業価値を算出する方法です。
1. 特徴:
o 市場の評価を反映した現実的な価値算定が可能
o PER、PBR、EBITDAマルチプルなどの指標を使用
2. 計算方法:
o 類似企業の指標(例:PER)を算出
o 対象企業の財務数値に当てはめて企業価値を算出
3. メリット:
o 市場の実態を反映した評価が可能
o 比較的客観的な評価方法
4. デメリット:
o 適切な類似企業の選定が難しい
o 企業固有の特性や将来性を反映しにくい
企業価値差額法は、算出した事業価値から時価純資産を差し引いて営業権を算出する方法です。
1. 特徴:
o DCF法などで算出した事業価値を基に営業権を算出
o 超過収益法と類似した考え方
2. 計算方法:
o 事業価値 - 時価純資産 = 営業権
3. メリット:
o 事業全体の価値から営業権を導き出せる
o 他の評価方法との整合性を取りやすい
4. デメリット:
o 事業価値の算出方法によって結果が大きく変わる
o 時価純資産の評価に専門的知識が必要
実査査定法は、実際に現場を訪問して企業価値を評価する方法です。
1. 特徴:
o 現場の実態を直接確認して評価を行う
o 中小企業のM&Aでよく使用される
2. 実施方法:
o 買い手の従業員が対象企業の現場を訪問
o 設備、在庫、従業員の様子などを直接確認
o 経営者へのヒアリングも実施
3. メリット:
o 現場の実態を直接確認できる
o 財務諸表には表れない価値を評価できる
4. デメリット:
o 評価者の主観に左右される可能性がある
o 時間と労力がかかる
これらの方法は、それぞれ特徴や適用場面が異なります。実際のM&Aでは、複数の方法を組み合わせて総合的に営業権を評価することが一般的です。適切な評価方法の選択と実施には専門的な知識が必要となるため、M&A専門家や会計士などの助言を受けることが推奨されます。
M&Aにおける営業権の取り扱いは、税務上も重要な問題となります。ここでは、売り手と買い手それぞれの税務処理のポイントと、営業権の償却について解説します。
営業権を含む事業を譲渡した場合、売り手側では主に以下の税務処理が必要となります。
1. 消費税:
o 営業権の譲渡は消費税の課税対象となります。
o 譲渡価額に対して消費税が課されます。
o 買い手から受け取った消費税分を、売り手が納税する必要があります。
2. 法人税:
o 営業権の譲渡益(譲渡価額 - 帳簿価額)に対して法人税が課税されます。
o 譲渡損益は、原則として譲渡した事業年度の益金または損金に算入されます。
3. 注意点:
o 営業権の譲渡が非適格組織再編に該当する場合、時価での譲渡とみなされ、含み益に対して課税される可能性があ
ります。
o 適格組織再編に該当する場合は、譲渡損益の計上が繰り延べられる可能性があります。
営業権を含む事業を譲り受けた場合、買い手側では主に以下の税務処理が必要となります。
1. 消費税:
o 営業権の取得は消費税の課税取引に該当します。
o 譲渡価額に加えて消費税を支払う必要があります。
o 支払った消費税は、一定の条件を満たせば仕入税額控除の対象となります。
2. 法人税:
o 取得した営業権は資産計上し、償却を通じて費用化していきます。
o 償却費は損金算入が可能です。
3. 注意点:
o 営業権の取得が非適格組織再編に該当する場合、時価での取得とみなされます。
o 適格組織再編に該当する場合は、売り手の帳簿価額を引き継ぐことになります。
営業権を取得した買い手側では、以下のような償却の仕組みがあります。
1. 税務上の償却:
o 営業権は、税務上「資産調整勘定」として扱われます。
o 原則として5年間の定額償却が認められています。
o 毎年20%ずつ償却費を計上し、損金算入することができます。
2. 会計上の償却:
o 会計上は「のれん」として計上されます。
o 日本基準では20年以内のその効果の及ぶ期間にわたって償却します。
o 国際会計基準(IFRS)では償却せず、減損テストを行います。
3. 注意点:
o 税務上の償却と会計上の償却期間が異なる場合、申告調整が必要となります。
o 株式取得の場合は、個別財務諸表上で営業権(のれん)は計上されないため、償却もできません。
4. 償却のメリット:
o 毎年の償却費を損金算入できるため、課税所得を減少させる効果があります。
o これにより、法人税等の節税効果が得られます。
営業権に関する税務処理は複雑で、M&Aの形態や取引の内容によって大きく異なる場合があります。また、税制改正により取り扱いが変更される可能性もあるため、M&Aを検討する際は、最新の税制を踏まえた上で、税理士などの専門家に相談することが強く推奨されます。適切な税務処理を行うことで、M&A後の円滑な事業運営と税務リスクの軽減につながります。
M&Aにおいて、営業権を高く評価してもらうことは、譲渡価格を上げるために非常に重要です。ここでは、営業権を高く評価されるための具体的な戦略について解説します。
1. 技術力や知見の向上:
o 特許や独自技術の開発に注力する
o 業界内での専門性を高め、ノウハウを蓄積する
o 研究開発への投資を継続的に行う
2. ブランド力の強化:
o 顧客満足度の向上に努める
o 広告宣伝活動を戦略的に行う
o 社会貢献活動などを通じて企業イメージを向上させる
3. 顧客基盤の拡大:
o 長期的な取引関係を構築する
o 顧客データベースを整備し、活用する
o カスタマーサポートの質を向上
4. 従業員の育成と組織力の強化:
o 社員教育や研修制度の充実
o 優秀な人材の採用と定着率の向上
o 効率的な組織構造の構築
5. 財務管理の徹底:
o 収益性の向上と安定したキャッシュフローの確保
o 適切な財務指標の管理(ROE、EBITDA等)
o 透明性の高い財務報告
6. 将来性のアピール:
o 具体的で実現可能な事業計画の策定
o 成長市場や新規事業への展開計画
o イノベーションへの取り組み
7. 独自の競争優位性の明確化:
o 他社との差別化ポイントの明確化
o 市場シェアや顧客満足度など、具体的な数値での優位性の提示
o 業界内での独自のポジショニングの確立
これらの取り組みを通じて、自社の無形資産の価値を高め、それを効果的にアピールすることが重要です。また、これらの強みを客観的なデータや第三者評価などで裏付けることで、より説得力のあるアピールが可能となります。
M&Aにおいて、複数の企業と交渉を行うことは、営業権を高く評価してもらうための重要な戦略です。以下に、その理由と具体的な方法を説明します。
1. 競争原理の活用:
o 複数の譲受候補企業が存在することで、競争原理が働き、より高い評価を引き出せる可能性が高まります。
o 各企業の提示価格や条件を比較することで、より有利な条件を引き出せます。
2. 多様な視点からの評価:
o 異なる業種や規模の企業と交渉することで、自社の価値が多角的に評価されます。
o 各企業の戦略やシナジー効果の考え方によって、評価ポイントが異なる場合があります。
3. 交渉力の向上:
o 複数の選択肢があることで、交渉における自社の立場が強くなります。
o 一社との交渉が行き詰まった場合のバックアップにもなります。
4. 情報収集の機会:
o 交渉を通じて、業界動向や他社の戦略などの有益な情報を得られる可能性があります。
o これらの情報を基に、自社の強みをより効果的にアピールすることができます。
5. ベストマッチの発見:
o 複数の企業と交渉することで、自社の価値を最大限に評価してくれる最適なパートナーを見つけやすくなります。
o 単に価格だけでなく、企業文化の親和性や将来のビジョンの共有など、総合的な観点から最適な譲受先を選択でき
ます。
6. 具体的な進め方:
o M&A仲介会社を活用し、幅広い譲受候補企業にアプローチする
o 秘密保持契約を結んだ上で、複数社と並行して交渉を進める
o 各社の提案内容を比較検討し、最も有利な条件を引き出す
o 最終的な譲受先を決定する際は、価格だけでなく、相乗効果や従業員の処遇なども含めて総合的に判断する
ただし、複数企業との交渉には時間と労力がかかるため、自社のリソースや時間的制約を考慮しながら進めることが重要です。また、情報管理には十分注意を払い、不必要に社内や取引先に動揺を与えないよう配慮することも必要です。
M&A専門家のサポートを受けながら、戦略的に交渉を進めることで、自社の営業権を最大限に評価してもらい、M&Aの成功につなげることができます。
M&Aにおける営業権は、企業価値評価の重要な要素です。将来の収益を生み出す無形資産として、適切に評価されることで、売り手・買い手双方にメリットをもたらします。営業権の算出方法は複数存在し、状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。また、税務処理においても注意が必要です。営業権を高く評価されるためには、自社の強みを効果的にアピールし、複数企業との交渉を行うことが有効です。M&Aの成功には、専門家のサポートを受けながら、戦略的に進めることが不可欠です。
著者|土屋 賢治 マネージャー
大手住宅メーカーにて用地の取得・開発業務、法人営業に従事。その後、総合商社の鉄鋼部門にて国内外の流通に携わる傍ら、鉄鋼メーカーの事業再生に携わる。外資系大手金融機関を経て、みつきグループに参画