合同会社のM&Aや売却は可能ですが、株式会社とは異なる手法が必要です。本記事では、合同会社の特徴や売却方法、事業譲渡のメリット・デメリットなどを詳しく解説します。
目次

▶目次ページ:第三者承継とは(小規模会社のM&A)
合同会社は、2006年に導入された比較的新しい会社形態です。出資者と経営者が同一である点が特徴で、アメリカのLLC(Limited Liability Company)を参考に作られました。そのため、「日本版LLC」とも呼ばれています。
合同会社は、株式会社とは異なる仕組みを持っており、その特徴を理解することが重要です。以下、合同会社の主な特徴、持分会社の概要、そして株式会社との違いについて詳しく見ていきます。
合同会社には、以下のような特徴があります。
持分会社とは、会社の所有と経営が一致している会社形態を指します。具体的には以下の3種類があります。
これらの会社では、株式会社の「株式」に相当するものを「持分」と呼びます。出資者の権利は持分として表現されます。
持分会社の中でも、合同会社は他の2つとは異なる特徴を持っています。特に、債権者に対する社員の責任範囲が異なります。
全社員が有限責任
合同会社と株式会社には、いくつかの重要な違いがあります。
1. 所有と経営の関係
合同会社
所有者(社員)と経営者が同一
株式会社
所有者(株主)と経営者(代表取締役)が分離可能
2. 意思決定
合同会社
原則として社員全員の合意が必要
株式会社
株主総会や取締役会で決定
3. 出資者の責任
合同会社
全社員が有限責任
株式会社
株主が有限責任
4. 設立手続
合同会社
比較的簡単で費用も低い
株式会社
手続がやや複雑で費用も高い
5. 資金調達
合同会社
株式発行ができないため、資金調達に制限がある
株式会社
株式発行による資金調達が可能
これらの違いを理解することで、事業の目的や規模に応じて適切な会社形態を選択することができます。
合同会社のM&A(売却)は可能です。しかし、株式会社とは異なるスキームや手続が必要となるため、注意が必要です。合同会社の売却には一定の困難さがあり、その理由を理解することが重要です。
合同会社の売却が困難とされる主な理由は以下の通りです。
合同会社の持分譲渡には、原則として全社員の同意が必要です。これは、株式会社が株主総会や取締役会の承認で株式譲渡ができるのとは大きく異なります。社員数が多い場合、全員の同意を得ることは容易ではありません。
合同会社を株式会社に組織変更すれば、株式譲渡による売却が可能になります。しかし、この組織変更自体に困難が伴います。
事業譲渡は、合同会社のM&Aを進める際に比較的採用されやすいスキームです。しかし、これにも社員の過半数の同意が必要です。複数の社員がいる場合、社内の合意形成に時間を要することがあり、買い手側にとっては事業譲渡の実現可能性が不確実になる可能性があります。
合同会社の持分は、株式会社の株式と比べて評価が難しい場合があります。これは、合同会社の財務情報が株式会社ほど公開されていないことや、持分の流動性が低いことが理由として挙げられます。
合同会社は株式会社と比べて知名度や信用力が劣る場合があります。そのため、買い手側が合同会社の買収に慎重になる可能性があります。
これらの理由から、合同会社の売却は株式会社と比べて困難を伴うことがあります。しかし、適切な方法を選択し、慎重に進めることで、合同会社のM&Aも実現可能です。
合同会社を売却する方法には、主に以下の4つがあります。それぞれの方法について、具体的な手続と注意点を説明します。
事業譲渡は、企業の一部または全部の事業を他の企業に譲渡する方法です。合同会社のM&Aにおいて、比較的採用されやすい手法です。
手続
注意点
持分譲渡は、保有している持分を第三者に譲渡する方法です。
手続
注意点
合同会社を株式会社に組織変更した後、保有する株式を買い手に譲渡する方法です。
手続
注意点
吸収合併は、合併する会社のうち1社が存続会社となり、消滅する会社の権利義務のすべてを承継する方法です。
手続
注意点
これらの方法のうち、どれを選択するかは、合同会社の状況や買い手の意向、売却の目的などによって異なります。専門家のアドバイスを受けながら、最適な方法を選択することが重要です。
合同会社の売却方法の中でも、特に事業譲渡は比較的採用されやすい手法です。ここでは、合同会社が事業譲渡を行う際のメリットとデメリットについて詳しく説明します。
これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自社の状況に照らし合わせて検討することが重要です。また、専門家のアドバイスを受けながら、慎重に進めることをお勧めします。
合同会社のM&Aは可能ですが、その特徴ゆえに株式会社とは異なる手法や手続が必要になります。事業譲渡、持分譲渡、組織変更後の株式譲渡、吸収合併など、複数の選択肢がありますが、それぞれにメリットとデメリットがあります。特に事業譲渡は比較的採用されやすい手法ですが、手続の複雑さや税金の問題など、慎重に検討すべき点があります。合同会社の売却を検討する際は、専門家のアドバイスを受けながら、自社の状況に最適な方法を選択することが重要です。
著者|竹川 満 マネージャー/M&Aアドバイザー
野村證券にて、法人・個人富裕層の資産運用を支援した後、本社企画部署では全支店の営業支援・全国の顧客の運用支援、新商品の導入等に携わる。みつきグループでは、教育機関への経営支援等に従事