M&Aによる事業承継を考える中小企業経営者の方へ。
本記事では、M&Aの準備から実行、そして譲渡後の選択肢まで、経営者が知っておくべき重要なポイントを詳しく解説します。円滑な事業承継の実現に向けて、ぜひご活用ください。
目次
中小企業の事業承継問題が深刻化しています。帝国データバンクが実施した全国・全業種約27万社を対象とした調査によると、全国の中小企業における後継者不在率は57.2%に達しています。これは、半数以上の企業で後継者が決まっていない状況を示しています。
この調査結果から、事業承継の手段としてM&A(合併・買収)を選択する経営者が増加していることも明らかになりました。M&Aなどによる事業承継は20.3%と、調査開始以来初めて2割を超える結果となりました。
このデータは、後継者不在に悩む経営者にとって、M&Aが現実的な選択肢として認識されつつあることを示しています。特に、家族や従業員への承継が難しい場合、M&Aは事業を存続させるための有効な手段となり得ます。
中小企業の経営者の皆様は、この現状を踏まえ、早期に事業承継の計画を立て、必要に応じてM&Aも含めた選択肢を検討することが重要です。
▶目次ページ:事業承継とは(第三者への承継)
M&Aによる事業承継には、さまざまなメリットとデメリットがあります。経営者の皆様がM&Aを検討する際には、これらを十分に理解し、自社の状況に照らし合わせて判断することが重要です。
1. 事業継続の実現: 後継者が不在でも、M&Aにより事業を継続させることができます。これにより、従業員とその家
族の生活を守ることができます。
2. 企業価値の向上: 買収側の企業は通常、被買収企業よりも規模が大きいため、M&Aによって企業規模が拡大し、経
営基盤が強化される可能性があります。
3. 従業員の待遇改善: 規模拡大に伴い、財政的な余裕が生まれることで、従業員の労働条件が向上する可能性があり
ます。
4. 新たな成長機会: 買収側企業のリソースや技術を活用することで、新たな事業展開や市場拡大のチャンスが生まれ
る可能性があります。
1. 経営権の喪失: M&Aにより会社を譲渡すると、これまでの経営権を手放すことになります。長年築き上げてきた会
社への思い入れから、喪失感を感じる可能性があります。
2. 権限の縮小: 会社に残る場合でも、買収先の企業方針に従う必要があり、これまでよりも権限が小さくなる可能性
があります。
3. 収入の変化: 会社を離れる場合、これまで得ていた継続的な収入がなくなります。M&Aの対価として得た利益や貯
蓄で生活できるか、慎重に検討する必要があります。
4. 従業員への影響: M&Aに伴う組織変更や文化の違いにより、従業員のモチベーションが低下したり、退職者が増加
したりする可能性があります。
5. 統合の難しさ: 買収側企業との文化や経営方針の違いにより、円滑な統合が難しくなる場合があります。
これらのメリットとデメリットを十分に理解し、自社の状況や経営者自身の将来設計を踏まえて、M&Aによる事業承継が最適な選択肢かどうかを慎重に検討することが重要です。また、専門家のアドバイスを受けながら、デメリットを最小限に抑え、メリットを最大化する戦略を立てることが、成功的なM&Aによる事業承継につながります。
事業承継を円滑に進めるためには、計画的なアプローチが不可欠です。中小企業庁が作成した「事業承継ガイドライン」を参考に、M&Aによる事業承継を成功させるための5つのステップをご紹介します。
事業承継の準備は、経営者が60歳頃を目安に開始することをおすすめします。M&Aによる事業承継は、一朝一夕には実現できません。準備には数年程度かかることを念頭に置き、早めに取り掛かることが重要です。
準備内容としては、以下のような項目が挙げられます:
1. 自社の経営状況の分析
2. 業界動向の把握
3. 後継者候補の有無の確認
4. M&Aの可能性の検討
5. 専門家への相談
自社の経営状況や直面している課題を明確にすることが、円滑な事業承継の鍵となります。
以下の点について、詳細に分析し、可視化しましょう:
1. 財務状況(売上高、利益率、負債状況など)
2. 人材・組織の状況
3. 取引先との関係
4. 事業の強み・弱み
5. 市場における位置づけ
6. 将来の成長可能性
これらの情報を整理することで、M&Aの際に買収側企業に対して自社の価値を明確に示すことができます。
M&Aによる事業承継を有利に進めるためには、企業価値を高めることが重要です。
以下のような取り組みを通じて、自社の魅力を向上させましょう:
1. 収益性の改善
2. 業務効率化
3. 新規事業の開発
4. 人材育成
5. 財務体質の強化
6. ブランド力の向上
これらの取り組みは、M&Aの実現可能性を高めるだけでなく、より良い条件での譲渡につながる可能性があります。
M&Aによる事業承継を具体化するために、詳細な計画を立てましょう。
計画には以下の要素を含めることをおすすめします:
1. M&Aの目的と期待する効果
2. 譲渡の対象(全株式、一部株式、事業部門など)
3. 希望する買収企業の条件
4. 譲渡価格の目安
5. 従業員の処遇に関する要望
6. M&A後の自身の役割
7. タイムライン(準備開始から譲渡完了まで)
また、この段階で「マッチング」を開始し、適切な譲受側企業を探し始めることも重要です。
最後に、実際のM&A手続きを進めていきます。
この段階では以下のようなプロセスを踏むことになります:
1. 譲受側企業との基本合意
2. デューデリジェンス(買収監査)の実施
3. 最終的な条件交渉
4. 契約書の作成と締結
5. クロージング(株式譲渡や代金支払いなど)
6. PMI(統合作業)の実施
なお、M&Aを進める過程で社会状況や経営環境が変化する可能性もあります。そのため、計画を柔軟に修正・改善しながら進めていくことが大切です。
これら5つのステップを着実に実行することで、M&Aによる円滑な事業承継の実現可能性が高まります。各ステップにおいて、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることで、より確実に進めることができるでしょう
M&Aを成功させるためには、経営者自身が十分な準備を行うことが不可欠です。ここでは、M&Aに向けて経営者が行うべき主な準備について説明します。
M&Aは事業承継の一つの選択肢ですが、必ずしもすべての企業に適しているわけではありません。以下の点を考慮しながら、自社にとって最適な事業承継方法を選定しましょう。
1. 親族への承継の可能性
2. 従業員への承継(MBO)の可能性
3. M&Aのメリット・デメリット
4. 自社の経営状況と将来性
5. 業界動向と市場環境
これらの要素を総合的に検討し、M&Aが最適な選択肢であるかを判断します。早い段階で専門家に相談し、客観的な意見を聞くことも有効です。
M&Aを選択した場合、次は具体的な条件を検討します。以下のポイントについて、自社の状況や希望を明確にしておきましょう。
1. 売却価格の希望
2. 従業員の雇用継続の要望
3. 取引先との関係維持の条件
4. 自社ブランドの存続の可否
5. 経営理念や企業文化の継承の程度
6. M&A後の自身の役割(退任、顧問就任など)
7. 知的財産権の取り扱い
8. 債務の引き継ぎ方法
これらの条件を明確にしておくことで、譲受側企業との交渉がスムーズに進みやすくなります。また、専門家のアドバイスを受けながら、より詳細な条件を詰めていくことをおすすめします。
M&A契約の締結に至るまでには、いくつかの重要なステップがあります。以下にその流れを説明します。
1. 秘密保持契約(NDA)の締結: 譲受側企業との情報交換を開始する前に、秘密保持契約を結びます。これにより、
企業情報の漏洩を防ぐことができます。
2. 基本合意書の作成: M&Aの基本的な条件(譲渡対象、価格の目安、スケジュールなど)について合意し、文書化し
ます。
3. デューデリジェンス(買収監査)の実施: 譲受側企業が自社の財務内容、法的リスク、事業の状況などを詳細に調
査します。正確な情報提供と協力が重要です。
4. 最終的な条件交渉: デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な譲渡条件を交渉します。価格や従業員の処遇な
ど、重要な事項を確定させます。
5. 最終契約書の作成と締結: 弁護士などの専門家の助言を受けながら、最終的な契約書を作成し、締結します。
これらのプロセスは専門的な知識が必要となるため、M&A仲介会社や弁護士、税理士などの専門家のサポートを受けることが不可欠です。彼らの助言を得ながら、慎重に進めていくことが重要です。
M&Aの準備は時間とエネルギーを要する作業ですが、綿密な準備を行うことで、より良い条件での事業承継が実現できる可能性が高まります。経営者の皆様は、これらの準備を計画的に進めることで、自社と従業員の未来を守ることができるでしょう。
M&Aを成功させるためには、専門家のサポートが不可欠です。中小企業の経営者をサポートする主な専門家について、その役割と重要性を解説します。
M&A仲介会社は、M&Aのプロセス全体をサポートする重要な存在です。
主な役割は以下の通りです:
1. マッチング支援: 適切な譲受側企業を探し、紹介します。豊富なネットワークを活用し、最適な買い手を見つけ出
します。
2. 価値評価: 自社の企業価値を適切に評価し、妥当な譲渡価格の設定をサポートします。
3. 交渉サポート: 譲受側企業との交渉をサポートし、有利な条件を引き出すことを助けます。
4. プロセス管理: M&Aの全プロセスを管理し、スムーズな進行をサポートします。
5. アドバイス提供: M&Aに関する様々な疑問や懸念に対して、専門的なアドバイスを提供します。
M&A仲介会社は、中立的かつ客観的な立場で両者をサポートするため、公平な取引の実現に寄与します。経験豊富な仲介会社を選ぶことで、M&Aの成功確率を高めることができます。
会計士や税理士もM&Aにおいて重要な役割を果たします。
主なサポート内容は以下の通りです:
1. 財務デューデリジェンス: 自社の財務状況を詳細に分析し、問題点や改善点を洗い出します。
2. 企業価値算定: 適切な手法を用いて自社の企業価値を算出し、適正な譲渡価格の設定をサポートします。
3. タックスプランニング: M&Aに伴う税金の影響を分析し、最適な税務戦略を提案します。
4. 財務報告書の作成: 譲受側企業に提出する財務報告書の作成をサポートします。
5. M&A後の会計・税務サポート: 統合後の会計システムの構築や税務申告のサポートを行います。
会計士・税理士のサポートにより、財務面でのリスクを最小限に抑え、税務面で最適な取引構造を構築することができます。
これらの専門家と連携することで、M&Aのプロセスをより確実に、効率的に進めることができます。専門家の選定は慎重に行い、自社の状況や希望を十分に理解してくれる信頼できるパートナーを見つけることが重要です。
また、弁護士や社会保険労務士など、他の専門家のサポートも必要に応じて受けることをおすすめします。それぞれの専門家が持つ知識と経験を最大限に活用することで、M&Aの成功確率を高めることができるでしょう。
M&Aを検討する際、費用面の理解は非常に重要です。ここでは、M&Aに関わる主な費用と、経営者が知っておくべき注意点について解説します。
M&A仲介会社の報酬体系は一般的に以下のような構成になっています:
1. 相談料・着手金:
• 契約時に発生する初期費用です。
• 多くの仲介会社では着手金無料のサービスを提供しています。
2. 月額報酬:
• M&Aの成立までに毎月支払う費用です。
• 月額報酬を請求しない会社もあります。
3. 中間報酬:
• 譲受側企業が見つかり、基本合意を結んだ際に発生する費用です。
4. 成功報酬:
• M&Aが最終的に成約した際に発生する費用です。
• 一般的に譲渡金額が高額になるほど、報酬率も上がる傾向にあります。
多くのM&A仲介会社は、完全成功報酬制を採用しています。つまり、M&Aが成約した場合にのみ費用が発生する仕組みです。この場合、成約までの過程で発生する諸経費は仲介会社が負担します。
注意点:
• 成功報酬の料率は譲渡金額によって異なるため、事前に詳細な説明を受けることが重要です。
• 契約内容をよく確認し、不明点があれば必ず質問してください。
• 複数の仲介会社の報酬体系を比較検討することをおすすめします。
M&Aに伴う主な税金について解説します:
1. 株式譲渡の場合:
• 譲渡所得税が課税されます。
• 税率は20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)です。
• 他の所得と分離して課税されるため、比較的低い税率となっています。
2. 事業譲渡の場合:
• 法人税と消費税が課税されます。
• 譲渡益が法人の利益として認識され、法人税が課されます。
• 課税資産の譲渡には消費税が課されます。
注意点:
• 税金の計算は複雑になる場合があるため、税理士など専門家のアドバイスを受けることが重要です。
• 株式譲渡と事業譲渡では課税方法が異なるため、税務面から最適な手法を検討する必要があります。
• M&Aの形態によっては特例措置が適用される場合もあるため、詳細な確認が必要です。
M&Aに関わる費用は、取引の規模や複雑さによって大きく変動します。また、M&A仲介会社や専門家への報酬以外にも、デューデリジェンスの費用、契約書作成費用、登記費用などが発生する可能性があります。
経営者の皆様は、これらの費用を事前に把握し、M&Aによって得られる利益と比較検討することが重要です。また、M&Aの過程で予期せぬ費用が発生する可能性もあるため、ある程度の余裕を持って資金計画を立てることをおすすめします。
費用面での不安や疑問がある場合は、躊躇せずに専門家に相談してください。適切なアドバイスを受けることで、より効率的かつ経済的なM&Aの実現が可能となるでしょう。
M&Aを成功させるためには、経営者の役割が非常に重要です。ここでは、M&Aを成功に導くために経営者が果たすべき責務について詳しく解説します。
M&Aの成功には、適切なタイミングでの実施が欠かせません。以下のポイントを参考に、最適なM&A実施時期を見極めましょう。
1. 業績が好調な時期:
• 会社の業績が好調な時期は、高い評価額での譲渡が期待できます。
• 財務状況が良好なほど、譲受側企業にとっても魅力的な案件となります。
2. 業界動向を考慮:
• 業界全体が成長している時期は、買い手が積極的になりやすいです。
• 一方、業界再編の動きがある場合も、M&Aの好機となる可能性があります。
3. 経営者の年齢:
• 一般的に、経営者が60歳前後になったら事業承継の検討を始めるのが理想的です。
• 体力や意欲が十分にある段階でM&Aを進めることが重要です。
4. 後継者不在の状況:
• 親族や従業員への承継が難しいと判断した場合、速やかにM&Aの検討を始めましょう。
5. 大きなトラブルがない時期:
• 訴訟問題や労務問題などの大きなトラブルがない時期を選びましょう。
適切な時期を逃すと、譲渡条件が不利になったり、最悪の場合、廃業のリスクが高まる可能性があります。常に自社の状況と外部環境を注視し、最適なタイミングでM&Aを実施できるよう準備を整えておくことが重要です。
M&Aにおいて、従業員の処遇は非常に重要な問題です。経営者は以下の点に注意して、従業員の雇用と待遇を守るよう努めましょう。
1. 雇用継続の交渉:
• M&Aの条件として、従業員の継続雇用を譲受側企業と交渉することが重要です。
• 可能な限り全従業員の雇用継続を目指しましょう。
2. 待遇維持の確認:
• 給与や福利厚生など、現在の待遇が維持されるよう交渉しましょう。
• 場合によっては、待遇向上の可能性についても確認するとよいでしょう。
3. 退職金の取り扱い:
• 特に事業譲渡の場合、退職金の取り扱いに注意が必要です。
• 勤続年数が引き継がれるよう交渉することが重要です。
4. 従業員への説明:
• M&Aの進捗状況や今後の見通しについて、適切なタイミングで従業員に説明しましょう。
• 不安を払拭し、モチベーションを維持するためのコミュニケーションが重要です。
5. 個別相談の機会提供:
• 従業員の個別の不安や質問に対応できる相談窓口を設けましょう。
経営者が従業員の雇用と待遇に真摯に向き合うことで、M&A後の事業の円滑な継続と発展につながります。
PMI(Post Merger Integration)は、M&A成立後の統合プロセスを指します。この段階での経営者の役割は非常に重要です。円滑なPMIの実現に向けて、以下の点に注力しましょう。
1. 情報の適切な引き継ぎ:
• 経営に関する重要な情報を漏れなく譲受側企業に引き継ぎます。
• 顧客情報、取引先との関係、業務プロセスなど、細部にわたる情報共有が重要です。
2. 従業員のサポート:
• 従業員の不安を軽減し、新体制への円滑な移行をサポートします。
• 必要に応じて、個別面談やカウンセリングの機会を設けることも検討しましょう。
3. 企業文化の融合促進:
• 自社と譲受側企業の企業文化の違いを認識し、互いの良い点を活かす方法を模索します。
• 両社の従業員が交流する機会を設けるなど、文化の融合を促進する取り組みを行います。
4. 業務プロセスの調整:
• 両社の業務プロセスの違いを把握し、最適な方法への移行をサポートします。
• 必要に応じて、業務改善の提案や助言を行います。
5. 顧客・取引先への対応:
• 主要な顧客や取引先に対して、M&A後の変更点や今後の方針を丁寧に説明します。
• 良好な関係性を維持するため、必要に応じて譲受側企業との橋渡し役を務めます。
6. アドバイザーとしての役割:
• 譲受側企業の経営陣に対して、自社の強みや課題について適切なアドバイスを提供します。
• 長年の経験を活かし、事業発展のための提言を行います。
7. モニタリングと調整:
• 統合プロセスの進捗状況を定期的にモニタリングし、問題があれば早期に対処します。
• 譲受側企業と密接に連携し、必要に応じて計画の調整を提案します。
円滑なPMIの実現は、M&A後の事業の成功に直結します。経営者は自身の経験と知見を最大限に活用し、新たな体制下での事業の発展に貢献することが求められます。
M&Aで会社を譲渡した後、経営者にはいくつかの選択肢があります。ここでは、主な選択肢とそれぞれのメリット・デメリットを解説します。
M&A後も会社に残り、何らかの形で事業に関わり続ける選択肢です。
メリット:
1. 長年培ってきた経験や人脈を活かせる
2. 従業員や取引先との関係を維持できる
3. 事業の継続性を確保できる
4. 一定の収入を得続けられる
デメリット:
1. 経営者としての権限が縮小する
2. 新しい企業文化や方針に適応する必要がある
3. 収入が減少する可能性がある
具体的なポジションの例:
• 子会社の社長
• 顧問や相談役
• 特定部門の責任者
• 技術顧問(経営者が技術者の場合)
この選択肢を選ぶ場合は、譲受側企業と十分に話し合い、自身の役割や権限、報酬などについて明確に取り決めることが重要です。
M&A後に会社を完全に退任し、新たな人生のステージに進む選択肢です。
メリット:
1. 自由な時間を得られる
2. 新たなチャレンジができる
3. 家族との時間を増やせる
4. ストレスから解放される
デメリット:
1. 定期的な収入がなくなる
2. 社会とのつながりが薄くなる可能性がある
3. 生きがいを失う可能性がある
この選択肢を選ぶ場合の過ごし方の例:
1. 趣味や旅行を楽しむ
2. ボランティア活動に参加する
3. 新たな事業を立ち上げる
4. 投資家として活動する
5. 後進の育成や講演活動を行う
この選択肢を選ぶ場合は、M&Aで得た資金を適切に運用し、長期的な生活設計を立てることが重要です。また、退任後の生活に向けて、事前に趣味や活動の準備をしておくとよいでしょう。
どちらの選択肢を選ぶにせよ、経営者自身の年齢、健康状態、家族の状況、今後のライフプランなどを総合的に考慮して決定することが大切です。また、選択した後も柔軟に方針を変更できるよう、オープンな姿勢を持つことが重要です。
M&A後の人生は、経営者にとって新たな挑戦の機会でもあります。長年の経営で培った経験と知恵を、どのように社会に還元し、自身の人生をより豊かにするか、じっくりと考えてみてください。
M&Aによる事業承継は、後継者不在の中小企業にとって有効な選択肢の一つです。早期の準備と適切な専門家のサポートを受けることで、円滑なM&Aの実現が可能となります。経営者の皆様は、自社と従業員の未来を見据え、最適な事業承継の方法を選択してください。
著者|土屋 賢治 マネージャー
大手住宅メーカーにて用地の取得・開発業務、法人営業に従事。その後、総合商社の鉄鋼部門にて国内外の流通に携わる傍ら、鉄鋼メーカーの事業再生に携わる。外資系大手金融機関を経て、みつきグループに参画