M&Aの基本概念から実施手順まで、ビジネスパーソンに必要な知識を詳しく解説します。成功事例や注意点も紹介し、効果的なM&A戦略の立案に役立つ情報を提供します。
目次
▶目次ページ:第三者承継とは(経営戦略とM&A)
M&A(Mergers and Acquisitions)は、企業や医療法人などの合併や買収を指す言葉です。ビジネスの世界において、M&Aは企業の成長戦略や事業承継の手段として重要な役割を果たしています。
M&Aには、以下のようなさまざまな手法があります:
• 株式譲渡
• 事業譲渡
• 会社分割
• 新設合併
• 吸収合併
• 第三者割当増資
• 株式移転
• 資本提携
• 業務提携
近年、日本では特に中小企業における事業承継を目的としたM&Aが増加傾向にあります。これは、団塊世代の経営者の引退が進んでいることが大きな要因となっています。今後も、後継者不足の問題を解決するための手段として、M&Aの需要は高まっていくと予想されます。
M&Aは、企業の成長や事業の継続性を確保するための重要な選択肢の一つとなっています。適切に実施されれば、双方の企業にとって大きなメリットをもたらす可能性があります。
買収側の企業がM&Aを選択する主な理由には、以下のようなものがあります:
1. 事業成長の加速:実績のある企業を買収することで、一から事業を立ち上げるよりも短期間で成長を実現できま
す。
2. 新分野・新地域への迅速な参入:既存の事業基盤を活用することで、新たな市場やエリアへのスムーズな進出が可
能になります。
3. 優秀な人材の確保:買収先企業の従業員を受け入れることで、即戦力となる人材を獲得できます。
4. 技術やノウハウの獲得:先進的な技術や業界特有のノウハウを持つ企業を買収することで、自社の競争力を高める
ことができます。
5. シナジー効果の創出:自社の強みと買収先の強みを組み合わせることで、新たな価値を生み出す可能性がありま
す。
これらの目的を達成することで、買収企業は市場での地位を強化し、さらなる成長を目指すことができます。
一方、譲渡側の企業がM&Aを選択する主な理由には、以下のようなものがあります:
1. 事業承継問題の解決:後継者が見つからない場合、M&Aは事業を継続させるための有効な手段となります。
2. 従業員の雇用維持:廃業を避け、M&Aを通じて事業を譲渡することで、従業員の雇用を守ることができます。
3. 経営者の引退資金確保:株式や事業の売却により、引退後の生活資金を得ることができます。
4. 個人保証からの解放:経営者が負っていた借入の個人保証から解放される可能性があります。
5. 事業の発展機会:より大きな企業グループに参画することで、新たな成長機会を得られる場合があります。
6. 財務状況の改善:M&Aによる資金調達で、財務体質を強化できる可能性があります。
7. 不採算事業からの撤退:特定の事業部門を譲渡することで、経営資源を主力事業に集中させることができます。
これらの動機により、譲渡企業は自社や従業員の将来を見据えた選択としてM&Aを検討することがあります。
M&Aには様々な手法がありますが、ここでは主要な4つの方法について詳しく説明します。
株式譲渡は、企業の株式の一部または全部を売却する手法です。この方法の特徴は以下の通りです:
• 経営権の移行手続が比較的簡単
• 多くの中小企業のM&Aで採用されている
• 会社自体は存続するため、事業の継続性が高い
• 譲渡側経営者の個人保証を解除できる可能性がある
株式譲渡は、事業をそのまま継続したい場合に適しており、手続の簡便さから広く利用されています。
事業譲渡は、企業の事業の一部または全部を他の会社に譲り渡す手法です。主な特徴は以下の通りです:
• 譲渡側と譲受側の両社が存続可能
• 譲渡対象には有形・無形の固定資産、流動資産、人材、技術、ノウハウなどが含まれる
• 特定事業の潜在的債務を切り離すことが可能
事業譲渡は、企業が特定の事業部門を手放したい場合や、買収側が特定の事業のみを取得したい場合に適しています。
会社分割は、企業の権利義務の全部または一部を他の会社に承継させる手法です。主な特徴は以下の通りです:
• 権利や契約が譲受側の会社にそのまま引き継がれる
• 新設分割:新会社を設立して事業を引き継ぐ
• 吸収分割:既存会社に事業の権利や資産などを承継させる
会社分割は、大規模な組織再編や事業の独立化を行う際に有効な手法です。
合併は、2つ以上の企業を1つに統合する手法です。主な種類と特徴は以下の通りです:
1. 新設合併:
o 新会社を設立し、既存の会社は全て消滅
o 消滅会社の資産や債務などを新会社に移行
2. 吸収合併:
o 統合する企業のうち1社が存続し、他社を吸収
o 消滅会社の権利・義務はすべて存続会社に引き継がれる
合併は、企業規模の拡大や経営資源の統合を目指す場合に選択されることが多い手法です。
これらの手法は、それぞれ特徴や長所・短所があるため、M&Aを検討する際には自社の状況や目的に合わせて最適な方法を選択することが重要です。
M&Aを実施することで、買収側の企業には様々なメリットがもたらされます。主な利点は以下の通りです:
1. 迅速な事業拡大:
o 特定の事業だけを譲り受けることが可能
o 既存の顧客基盤や取引先をそのまま獲得できる
o 短期間で規模拡大やエリア展開が実現可能
2. 人材と設備の即時獲得:
o 優秀な人材をすぐに確保できる
o 必要な設備や施設をすぐに利用可能
3. 自社の弱点補完:
o 自社の弱い分野に強みを持つ企業を買収することで、事業を強化できる
4. 新規分野への迅速な参入:
o 未経験の分野でも、既存企業の買収により素早く参入できる
5. シナジー効果の創出:
o 買収企業と被買収企業の強みを掛け合わせることで、新たな価値を生み出せる可能性がある
6. 競合の排除:
o 競合企業を買収することで、市場シェアを拡大できる
7. 技術やノウハウの獲得:
o 先進的な技術や業界特有のノウハウを持つ企業を買収することで、自社の競争力を高められる
8. 財務的メリット:
o 税制上の優遇措置を受けられる場合がある
o スケールメリットによるコスト削減が期待できる
これらのメリットにより、買収企業は市場での競争力を強化し、さらなる成長を実現する機会を得ることができます。ただし、メリットを最大化するためには、適切な買収先の選定と統合後のマネジメントが重要となります。
M&Aは譲渡側の企業にも多くのメリットをもたらします。主な利点は以下の通りです:
1. 事業継続の実現:
o 後継者がいない場合でも、M&Aにより事業の存続が可能になる
o 従業員の雇用を維持できる
2. 財務状況の改善:
o M&Aの対価として得られる資金で、財務体質を強化できる
o 借入金の返済や新規投資の原資として活用可能
3. 経営者の引退資金確保:
o 株式や事業の売却により、引退後の生活資金を得ることができる
4. 個人保証からの解放:
o 経営者が負っていた借入の個人保証から解放される可能性がある
5. 事業の発展機会:
o より大きな企業グループに参画することで、新たな成長機会を得られる可能性がある
o 経営資源や販路の拡大につながることも
6. 不採算事業からの撤退:
o 業績が良好で収益が見込めるコア事業に集中できる
o 経営資源の最適配分が可能になる
7. 技術やノウハウの活用:
o 自社の技術やノウハウを、より大きな舞台で活用する機会を得られる
8. リスク分散:
o 単独経営のリスクを軽減し、より安定した経営基盤を築ける可能性がある
9. 従業員のキャリア機会拡大:
o より大きな組織に加わることで、従業員のキャリアアップの機会が増える可能性がある
これらのメリットにより、譲渡企業は自社や従業員の将来を見据えた選択としてM&Aを活用することができます。ただし、譲渡条件や譲渡先の選定には慎重を期す必要があり、専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。
M&Aには多くのメリットがある一方で、買収側の企業が直面する可能性のあるリスクも存在します。主なデメリットやリスクは以下の通りです:
1. 統合の困難さ:
o 無計画なM&Aにより、企業文化や業務プロセスの統合がうまくいかない可能性がある
o 結果として企業価値の低下につながるリスクがある
2. 簿外債務の存在:
o 貸借対照表に載っていない隠れた債務が発覚し、経営に悪影響を及ぼす可能性がある
o デューデリジェンス(企業調査)の重要性が高まる
3. 人材の流出:
o 統合過程で企業風土や人事制度が変わることにより、不満を持った優秀な人材が流出するリスクがある
o モチベーションの低下や組織の不安定化につながる可能性がある
4. シナジー効果の未実現:
o 期待していたシナジー効果が思うように生まれない可能性がある
o 結果として、投資に見合う成果が得られないリスクがある
5. 過大評価による買収:
o 買収先企業の価値を過大評価し、高額での買収となるリスクがある
o 財務的な負担が増大し、経営を圧迫する可能性がある
6. 法的リスク:
o 買収先企業の過去の法令違反や訴訟リスクを引き継ぐ可能性がある
o コンプライアンス上の問題が発生するリスクがある
7. 市場環境の変化:
o M&A後に市場環境が急変し、当初の計画が実現できなくなるリスクがある
o 業界の構造変化や技術革新により、買収した事業の価値が低下する可能性がある
8. 経営資源の分散:
o 既存事業と買収した事業の両立に苦心し、経営資源が分散してしまうリスクがある
o 結果として、両事業ともに十分なパフォーマンスを発揮できない可能性がある
9. 財務リスク:
o 買収資金の調達により、負債比率が上昇するリスクがある
o キャッシュフローの悪化につながる可能性がある
10. 文化的衝突:
o 企業文化や価値観の違いにより、円滑な統合が妨げられるリスクがある
o 従業員の士気低下や生産性の低下につながる可能性がある
これらのリスクを最小限に抑えるためには、綿密な事前調査と計画立案、そして統合後のマネジメントが極めて重要となります。専門家のアドバイスを受けながら、慎重にM&Aを進めることが成功の鍵となります。
M&Aを検討する譲渡側の企業にも、いくつかの課題やデメリットが存在します。主な点は以下の通りです:
1. 雇用条件の変化:
o 買収側の雇用や労働条件、待遇に合わせる必要が生じる可能性がある
o 条件の変更により、従業員のモチベーションが低下するリスクがある
2. 企業文化の変化:
o 買収側の企業文化への適応が求められる
o 急激な変化が組織や事業に悪影響を及ぼす可能性がある
3. 経営の自由度低下:
o 特に部分的な株式譲渡の場合、経営の自由度が制限される可能性がある
o 意思決定プロセスが複雑化するリスクがある
4. ブランドアイデンティティの喪失:
o 長年培ってきた自社ブランドが失われる可能性がある
o 顧客や取引先との関係性に影響を与えるリスクがある
5. 情報漏洩のリスク:
o M&A交渉の過程で、企業秘密や機密情報が漏洩するリスクがある
o 競合他社に情報が渡る可能性もある
6. 譲渡価格の不満足:
o 自社の価値を適切に評価してもらえない可能性がある
o 期待していた譲渡価格を下回るリスクがある
7. 従業員の不安と抵抗:
o M&Aによる変化に対して、従業員が不安を感じたり抵抗したりする可能性がある
o 結果として、業務効率の低下や人材流出につながるリスクがある
8. 取引先との関係変化:
o 長年の取引関係が変化する可能性がある
o 買収側の方針により、一部の取引先との関係が終了するリスクもある
9. 税務上の課題:
o M&Aにより予期せぬ税務上の負担が生じる可能性がある
o 適切な税務計画が必要となる
10. 事業の継続性への不安:
o 買収側の経営方針により、これまで大切にしてきた事業や製品が継続されない可能性がある
o 従業員や顧客に影響を与えるリスクがある
これらの課題を克服するためには、M&Aの目的を明確にし、適切な買収先を慎重に選定することが重要です。また、従業員とのコミュニケーションを十分に取り、変化に対する不安を軽減する努力も必要です。専門家のアドバイスを受けながら、自社にとって最適なM&Aの形を追求することが成功につながります。
M&Aの成功事例を分析することで、効果的な戦略や実施のポイントを学ぶことができます。ここでは、3つの成功事例を紹介します。
1. 株式会社澤村製作所と株式会社カネバン(事業売却)
背景:
• 創業50年のプラスチック射出成型企業、株式会社澤村製作所
• 代表の高齢化に伴い、第三者への事業承継を検討
成功要因:
• 同業種の株式会社カネバンが譲渡先となり、スムーズな統合を実現
• 相互の強みを活かし、製造能力の拡大を実現
• 譲渡後も順調に売上を伸ばしている
学ぶべき点:
• 同業種企業とのM&Aによるシナジー効果の創出
• 譲渡後の事業継続性と成長性の確保
2. 株式会社ライフ・コーポレーションと株式会社日輪(株式譲渡)
背景:
• 施設常駐警備事業を展開する株式会社ライフ・コーポレーション
• 経営者の高齢化と後継者不足により会社売却を検討
成功要因:
• 人材サービスを展開する株式会社日輪が譲受側となる
• 日輪の求人サイトに登録する高齢者の働き先確保という明確な目的
学ぶべき点:
• 異業種間のM&Aによる新たなビジネスモデルの創出
• 双方のニーズを満たすWin-Winの関係構築
3. 株式会社LIGUNAと株式会社ユーグレナ(株式交換)
背景:
• スキンケアや雑貨、食品の企画開発・通信販売を行う株式会社LIGUNA
• 社内に後継者がおらず、外部で後継者を探していた
成功要因:
• 食品や化粧品の販売などを行う株式会社ユーグレナが完全子会社化
• 両社の「持続可能性」という共通の事業理念
• ヘルスケア事業の強化・成長という明確な戦略
学ぶべき点:
• 共通の企業理念や価値観に基づくM&Aの重要性
• 明確な成長戦略に基づいた買収先の選定
これらの事例から、以下のような成功のポイントが浮かび上がります:
1. 明確な目的と戦略に基づいたM&Aの実施
2. 相互の強みを活かしたシナジー効果の創出
3. 業界知識や企業文化の共通点を活かした円滑な統合
4. 従業員や顧客への配慮と事業の継続性確保
5. 長期的な成長ビジョン
を共有すること
M&Aを成功に導くためには、これらのポイントを参考にしながら、自社の状況に合わせた最適な戦略を立案・実行することが重要です。
M&Aを成功させるためには、綿密な戦略立案と適切な実行手順が不可欠です。以下に、効果的なM&A戦略の立案から実行までの手順を示します。
1. 自社分析と目的の明確化:
o 自社の強み・弱みを分析する
o 業界の規模やトレンド、景気動向などを調査する
o M&Aの具体的な目的(事業拡大、技術獲得、シナジー創出など)を明確にする
2. アドバイザリー契約の締結:
o M&Aの専門家や仲介会社と契約を結ぶ
o 専任契約か非専任契約かを選択する
o アドバイザーの支援を受けながら、以降の手順を進める
3. 市場調査の実施:
o M&Aの方向性や需要を探るため、市場調査を行う
o 実施可能なM&Aの手法を検討する
o 潜在的な譲渡・譲受先を洗い出す
4. 企業とのマッチングと合意形成:
o 20~30社程度のロングリストを作成し、優先順位をつける
o 数社~10社程度のショートリストに絞り込む
o M&A仲介会社を通じて、匿名での情報交換を開始する
o 相互に興味がある場合、秘密保持契約を締結し、詳細な情報交換を行う
5. デューデリジェンスの実施:
o 財務、法務、税務、業務、人事など多角的な観点から企業調査を行う
o 潜在的なリスクや価値を評価する
o 調査結果に基づき、取引条件の調整や交渉を行う
6. 基本合意書の締結:
o M&Aの基本的な条件(取引の構造、価格、スケジュールなど)について合意する
o 法的拘束力のある基本合意書を作成し、署名する
7. 最終契約書の作成と締結:
o 詳細な契約条件を詰め、最終的な譲渡契約書を作成する
o 必要に応じて、株主総会の承認を得る
o 最終契約書に署名し、法的に拘束力のある合意を形成する
8. クロージング(取引の完了):
o 契約書に定められた条件を満たす
o 必要な許認可を取得する
o 株式や資産の譲渡、対価の支払いを行う
9. PMI(Post Merger Integration:統合後の経営)の実施:
o 統合計画を策定し、実行する
o 組織、人事、業務プロセス、ITシステムなどの統合を進める
o シナジー効果の実現に向けた施策を展開する
10. モニタリングと評価:
o 統合の進捗状況を定期的にモニタリングする
o KPI(重要業績評価指標)を設定し、M&Aの成果を評価する
o 必要に応じて、統合計画の修正や追加施策を実施する
これらの手順を着実に実行することで、M&Aの成功確率を高めることができます。ただし、各ステップにおいて専門的な知識や経験が必要となるため、外部の専門家や
アドバイザーの支援を適切に活用することが重要です。また、常に長期的な視点を持ち、M&A後の統合や事業発展までを見据えた戦略立案が求められます。
M&Aを成功に導くためには、戦略立案から実行、そして統合後のマネジメントまで、様々な要素に注意を払う必要があります。以下に、M&A成功のための重要なポイントをまとめます。
1. 明確な戦略と目的の設定:
o M&Aの目的を具体的かつ明確に定義する
o 自社の長期的なビジョンとM&Aの整合性を確認する
2. 適切な買収・売却先の選定:
o 業界知識や企業文化の親和性を重視する
o シナジー効果が期待できる相手を選ぶ
3. 適切な価格評価:
o 過大評価や過小評価を避けるため、複数の評価手法を用いる
o 将来の成長性やリスクも考慮に入れる
4. 綿密なデューデリジェンス:
o 財務、法務、税務、業務、人事など多角的な観点から調査を行う
o 潜在的なリスクを洗い出し、対策を検討する
5. 効果的なコミュニケーション:
o 従業員、顧客、取引先など全てのステークホルダーに適切な情報を提供する
o 不安や懸念を払拭するための丁寧な説明を心がける
6. 統合計画の策定と実行:
o 具体的かつ実行可能な統合計画を事前に策定する
o 責任者を明確にし、進捗管理を徹底する
7. 企業文化の融合:
o 双方の企業文化の良い点を活かす努力をする
o 新しい企業文化の構築に向けて、従業員の参加を促す
8. 人材の維持と活用:
o キーパーソンの流出を防ぐための施策を講じる
o 双方の人材の強みを活かす人事配置を行う
9. スピード感のある意思決定:
o 統合プロセスにおける意思決定を迅速に行う
o 必要に応じて、臨機応変に計画を修正する
10. シナジー効果の追求:
o 具体的なシナジー効果の目標を設定する
o 定期的に進捗を確認し、必要な施策を実施する
11. リスク管理の徹底:
o 想定されるリスクに対する対策を事前に準備する
o 統合後も継続的にリスクモニタリングを行う
12. 専門家の活用:
o M&Aの各段階で、適切な専門家のアドバイスを受ける
o 法務、財務、税務など、専門分野ごとに適切な支援を得る
13. 長期的視点の維持:
o 短期的な成果にとらわれず、長期的な価値創造を目指す
o 持続可能な成長戦略の一環としてM&Aを位置づける
14. 法令遵守とガバナンス:
o M&Aのプロセス全体を通じて、法令遵守を徹底する
o 統合後の新体制におけるガバナンス体制を整備する
15. 柔軟性の確保:
o 市場環境の変化に応じて、戦略を柔軟に修正する姿勢を持つ
o 予期せぬ事態にも対応できる余力を持たせる
これらのポイントに注意を払いながらM&Aを進めることで、成功の可能性を高めることができます。ただし、各企業や案件によって状況は異なるため、自社の特性や目的に合わせて、これらのポイントを適切にカスタマイズすることが重要です。
また、M&Aは一度の取引で終わるものではなく、統合後の長期的な取り組みが成功の鍵を握ります。継続的な評価と改善を行いながら、真の企業価値の向上を目指すことが、M&A成功の本質といえるでしょう。
M&Aは企業の成長戦略や事業承継の有効な手段ですが、慎重な計画と実行が不可欠です。買収側と譲渡側それぞれにメリットとリスクがあり、これらを十分に理解した上で進めることが重要です。成功のためには、明確な目的設定、適切な相手の選定、綿密なデューデリジェンス、そして統合後のマネジメントが鍵となります。専門家の支援を受けながら、長期的な視点で取り組むことで、M&Aを通じた企業価値の向上が実現できるでしょう。
著者|土屋 賢治 マネージャー
大手住宅メーカーにて用地の取得・開発業務、法人営業に従事。その後、総合商社の鉄鋼部門にて国内外の流通に携わる傍ら、鉄鋼メーカーの事業再生に携わる。外資系大手金融機関を経て、みつきグループに参画