キャピタルゲインの税金の計算方法と確定申告を解説

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キャピタルゲインの税金|資産別の税率と会社売却の手取り

キャピタルゲインの税金は、株式・投資信託・不動産など資産の種類で税率と申告方法が変わります。20.315%の株式課税、不動産の長期・短期区分、NISA、損益通算を整理し、M&Aによる自社株売却で手取り額を見誤らない計算実務まで分かりやすく解説します。

目次

  1. キャピタルゲインの税金は売却資産で決まる
  2. 株式・投資信託の売却益にかかる税金
  3. 不動産の売却益は所有期間と特例が重要
  4. FX・暗号資産は株式と課税方法が異なる
  5. 売却損が出たときの損益通算と繰越控除
  6. 確定申告が不要な場合と申告した方がよい場合
  7. 会社売却で生じるキャピタルゲインの計算
  8. 税引後の手取りを増やす売却前の確認手順
  9. まとめ

キャピタルゲインの税金の計算方法と確定申告を解説

キャピタルゲインの税金は売却資産で決まる

「利益が出たら一律20%程度」と思われがちですが、実際の税率や計算方法は、何を売却したかで変わります。キャピタルゲイン税という独立した税目があるわけではなく、株式、不動産、FX、暗号資産などの区分ごとに所得税・住民税を計算する仕組みです。

キャピタルゲインとは、資産を売却した金額から取得費や売却に直接かかった費用を差し引いた利益を指します。単に入金額へ税率を掛けるのではありません。取得費の資料が見つからない、売却費用を計上していないといった小さな見落としが、納税額を大きく左右することもあります。

インカムゲインとの違い

キャピタルゲインは、株式や不動産、自社株などを売却して確定する利益です。一方、インカムゲインは、株式の配当、預金の利息、不動産の賃料など、資産を保有している間に受け取る収入をいいます。同じ資産から得た利益でも、売却益と保有収益では課税区分が異なる場合があります。

株式・投資信託の売却益にかかる税金

個人が株式や一定の投資信託を売却した利益は、給与や事業の利益とは分けて計算する申告分離課税が基本です。税率は、所得税・復興特別所得税15.315%と住民税5%を合わせた20.315%です。上場株式だけでなく、中小企業のオーナーが保有する非上場株式の譲渡益も、原則として同じ税率で計算します。

株式の税額は売却額ではなく譲渡益で計算する

基本の計算式は、次のとおりです。


 譲渡益=売却額-取得費-売却手数料など

 税額=譲渡益×20.315%


取得費には、株式を取得した際の払込代金や購入代金、その取得に直接必要だった費用が含まれます。同じ銘柄を複数回取得している場合は、原則として総平均法に準ずる方法で1株当たりの取得価額を求めます。

上場株式と非上場株式の損失は別区分

税率が同じでも、上場株式等と一般株式等は別の区分です。一般株式等には、通常、非上場会社の株式が含まれます。上場株式の損失を非上場株式の譲渡益から差し引くことや、その逆は原則としてできません。会社売却を予定する経営者にとって、意外と多い落とし穴です。

NISAの売却益は非課税だが損失も使えない

NISA口座で購入した対象商品の売却益や一定の配当・分配金は非課税です。ただし、上場株式の配当を非課税にするには、証券会社の口座で受け取る株式数比例配分方式を選ぶ必要があります。発行会社から直接受け取る方式などでは課税されるため、受取方法を確認しましょう。

2024年からのNISAは非課税保有期間が無期限となり、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。ただし、NISA口座で損失が出ても、課税口座の利益との損益通算や繰越控除はできません。

特定口座の源泉徴収ありは申告の手間を減らせる

上場株式や投資信託を特定口座の源泉徴収ありで取引すると、証券会社が税額を計算して源泉徴収します。その口座の利益を申告不要とすることも可能です。

ただし、別の証券会社の損失と相殺したい場合や、損失を翌年以降へ繰り越したい場合は、確定申告が必要になります。

不動産の売却益は所有期間と特例が重要

不動産では、買った日から売った日までの単純な年数だけを見てはいけません。長期譲渡か短期譲渡かは、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかにより判定します。

5年以下は39.63%、5年超は20.315%

土地・建物の課税譲渡所得は、売却額から取得費、譲渡費用、適用できる特別控除を差し引いて計算します。所有期間が5年以下の短期譲渡所得は39.63%、5年を超える長期譲渡所得は20.315%が基本です。

たとえば、2021年中に取得した不動産は、2026年中に売却しても、2026年1月1日時点では5年を超えていない場合があります。長期譲渡となる時期は取得日だけで判断せず、売却年の1月1日基準で確認する必要があります。「実質的には6年目の1月1日以後」と説明されるのは、このためです。

マイホームは最高3,000万円の特別控除を検討する

自分が住んでいた家屋やその敷地を売却した場合、一定の要件を満たせば、所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。ただし、自動的に適用される制度ではありません。

親族への売却では使えないなどの要件があり、原則として確定申告も必要です。

売却時期だけで節税を決めない

長期譲渡になるまで待てば税率が下がる可能性はあります。しかし、その間に市場価格が下がる、修繕費や固定資産税が増える、買い手を逃すといった負担もあります。

税率差だけでなく、売却価格と保有コストを含めた手取り額で判断することが大切です。

FX・暗号資産は株式と課税方法が異なる

「投資の利益」という共通点があっても、すべてが株式と同じ20.315%になるわけではありません。資産の名称ではなく、税法上の所得区分を確認します。

FXは申告分離課税が基本

国内の一般的なFX取引で生じた為替差益やスワップポイントは、先物取引に係る雑所得等として申告分離課税の対象となり、税率は20.315%が基本です。必要経費や損失の通算範囲は株式とは別に扱われます。

暗号資産は原則として雑所得

暗号資産を売却した場合だけでなく、商品購入に使用した場合や別の暗号資産と交換した場合にも、利益が確定することがあります。

個人の利益は、事業所得などに該当する例外を除き、原則として雑所得となり、他の所得と合算する総合課税です。そのため、利益が大きい年は株式より税負担が重くなることがあります。

売却損が出たときの損益通算と繰越控除

損失は、どの利益からでも自由に差し引けるわけではありません。利益よりも損失の区分を先に確認した方がよいケースもあります。

上場株式等の損失は配当と通算できる場合がある

上場株式等の譲渡損失は、確定申告により、同じ年の上場株式等の譲渡益や、申告分離課税を選択した一定の配当所得等と損益通算できます。

通算しても残った損失は、一定の手続を行うことで翌年以後3年間繰り越せます。

繰越期間中は利益がない年も申告を続ける

繰越控除を続けるには、損失が生じた年だけでなく、その後も連続して確定申告を行う必要があります。取引がなかった年に申告を止めると、翌年以降に控除できなくなる可能性があります。

非上場株式と不動産の損失は範囲が狭い

非上場株式の譲渡損失は、原則として上場株式の利益や給与所得から差し引けません。不動産の譲渡損失も、原則として給与所得や事業所得との通算はできず、同じ土地・建物の譲渡所得内での扱いが中心です。

マイホームの譲渡損失には一定の例外があるため、要件を個別に確認します。

確定申告が不要な場合と申告した方がよい場合

税金が源泉徴収されているからといって、何もしないことが最も有利とは限りません。申告不要と、申告してはいけないことは別です。

確定申告が不要になりやすいケース

NISA口座内の売却益や一定の配当・分配金は非課税であり、通常は確定申告が不要です。上場株式の配当については、株式数比例配分方式を選んでいるか確認しましょう。

上場株式等を特定口座の源泉徴収ありで取引した場合も、その口座の利益を申告不要とできます。また、給与所得者で給与以外の所得が20万円以下など、一定の場合は所得税の確定申告が不要になることがあります。ただし、住民税の申告が別に必要となる場合があります。

申告により税金が戻る可能性があるケース

複数の証券会社に利益と損失が分かれている場合、損失を翌年へ繰り越す場合、源泉徴収された配当と株式損失を通算する場合などは、確定申告によって税負担が減る可能性があります。

申告前にそろえる資料

株式・投資信託では年間取引報告書や取得時の資料、不動産では売買契約書、購入時と売却時の諸費用の領収書、登記事項証明書などを確認します。

会社売却では株式の払込資料、過去の株式移動の記録、M&A支援に関する契約書・請求書も重要です。資料を後から探すと、取得費を十分に証明できないことがあります。

会社売却で生じるキャピタルゲインの計算

M&A(合併・買収)で会社を売却するときは、譲渡価格の大きさより、誰が何を売るのかを先に確認します。株式譲渡と事業譲渡では、代金を受け取る人も、税金のかかり方も異なるためです。

個人株主の株式譲渡は20.315%が基本

個人オーナーが自社の非上場株式を譲渡した場合、譲渡益は一般株式等に係る譲渡所得等として申告分離課税となり、税率は原則20.315%です。

会社売却の譲渡益の計算式

 譲渡益=株式の譲渡価格-株式の取得費-譲渡に直接かかった費用


創業時から保有する株式の取得費は、会社の現在の資本金ではなく、株式を取得した際に実際に払い込んだ金額などを基礎に確認します。増資、相続、贈与、株式分割などがあると取得費の計算が変わるため、株主名簿だけでは判断できないこともあります。

M&A支援報酬は契約内容を確認する

株式譲渡のために直接必要となったアドバイザー報酬などは、売却手数料等として譲渡益から控除できる可能性があります。一方、経営相談や相続対策など複数の業務が一体となっている場合は、全額を譲渡費用にできるとは限りません。

契約書と請求内容を分けて確認します。

事業譲渡では売却代金を会社が受け取る

事業譲渡では、会社が事業用資産や契約関係を売却し、代金も会社が受け取ります。売却益は会社の所得として法人税等の対象となり、その資金を個人オーナーへ移す際には、役員報酬、配当、退職金、清算分配などの方法に応じて別の税金が生じます。

株式譲渡の方が常に有利とは限りませんが、譲渡価格が同じでも個人の最終手取りに大きな差が出ることがあります。基本合意前の段階で、株式譲渡と事業譲渡の税引後キャッシュを比較しておくことが重要です。

価格調整条項や権利の扱いも手取りに影響する

最終契約にアーンアウトなどの追加対価があると、入金時期と税務上の扱いを契約前に確認する必要があります。また、ストックオプションや新株予約権が残っている場合は、権利行使、売却、消滅のどの形にするかで株主構成や課税関係が変わります。

会社売却では、税金だけでなく、従業員の雇用、取引先との契約、個人保証、経営者の退任時期も譲渡条件に含まれます。買い手との関係を早期に整え、価格以外の条件も含めて合意することが、最終的な満足度につながります。

税引後の手取りを増やす売却前の確認手順

節税だけを目的に売却時期や方法を決めると、本来得られた価格を逃すことがあります。次の順序で確認すると、税金と取引条件を一体で判断しやすくなります。

手順1 売却資産と納税者を特定する

株式、不動産、事業のどれを売るのか、代金を受け取るのが個人か法人かを確認します。ここを誤ると、税率の比較そのものが成り立ちません。

手順2 取得費と売却費用を証拠資料から集める

契約書、払込証明、通帳、領収書、株式移動の記録を早めにそろえます。取得費が不明なまま売却を進めると、概算取得費を使うことになり、実際より譲渡益が大きく計算されることがあります。

手順3 特例・損失・保有期間を確認する

不動産は売却年の1月1日時点の所有期間を確認し、マイホームの特例も検討します。上場株式等では損失の通算と3年間の繰越、資産運用ではNISAの非課税枠、申告の手間を抑えたい場合は特定口座の源泉徴収ありを検討します。

手順4 税引後の金額で売却条件を比較する

会社売却では、提示された譲渡価格から税金、専門家報酬、借入金の返済、役員退職金、追加対価の条件などを反映し、実際に残る金額を試算します。

税率だけでなく、手取りの時期と確実性まで見て判断することが重要です。

まとめ

キャピタルゲインの税金は、株式、不動産、FX、暗号資産で計算方法が異なります。税率だけでなく、取得費、売却費用、所有期間、損益通算、特例を確認することが大切です。会社売却では株式譲渡と事業譲渡で手取りが変わるため、契約前に税引後の金額を試算し、売却条件と税務を一体で検討しましょう。判断を急がず、必要な資料を早めにそろえることも欠かせません。

著者:竹川 満 マネージャー / M&Aアドバイザー 

野村證券にて、法人・個人富裕層の資産運用を支援した後、本社企画部署では全支店の営業支援・全国の顧客の運用支援、新商品の導入等に携わる。みつきグループでは、教育機関・介護施設等へのM&Aを含む経営支援に従事

編集:M&A事業承継アドバイザーズ 編集部|運営:みつき税理士法人