M&A件数の推移|2026年最新データと中小企業の成約動向

日本のM&A件数はどのように推移しているのでしょうか。2025年の年間件数と2026年最新データ、直近10年の推移、中小企業の事業承継・引継ぎ支援センターの成約件数を紹介。統計ごとの集計範囲の違いと、会社売却を考える際の読み方も解説します。

目次

  1. 日本のM&A件数は2025年に5115件で過去最多
  2. 国内M&A件数の直近10年の推移
  3. 中小企業でもM&Aによる第三者承継は増えている
  4. M&A件数の統計は「何を数えているか」で数字が変わる
  5. M&A件数の増加は会社を高く売れることを意味しない
  6. 会社売却を考えるなら件数より自社の準備状況を確認する
  7. M&A件数の最新データは毎年更新して確認する
  8. まとめ

2024年M&A件数と市場動向を数字で読み解く

日本企業が関わるM&A(合併・買収)は、長期的に見ると増加傾向にあります。

レコフデータの集計では、2025年のM&A件数は5,115件となり、2024年の4,700件を上回って過去最多を更新しました。さらに2026年1〜9月は3,883件で、前年同期の3,699件から5.0%増えています。

一方、中小企業のM&Aを考えるときは、この数字だけを見るのでは不十分です。レコフデータの統計は日本企業が関わる公表案件を幅広く集計したものであり、非公表で行われる中小企業の会社売却がすべて含まれるわけではないからです。

この記事では、M&A件数の最新データと直近10年の推移、中小企業の第三者承継の成約件数を分けて紹介します。数字の対象範囲を理解すると、「M&Aは本当に増えているのか」「自社にも関係する動きなのか」を判断しやすくなります。

日本のM&A件数は2025年に5115件で過去最多

レコフデータによると、2025年1〜12月に日本企業が関わったM&Aは5,115件でした。2024年の4,700件から415件、8.8%増加し、2年連続で過去最多を更新しています。

内訳は、日本企業同士のIN-INが4,086件、日本企業が海外企業を買収するIN-OUTが657件、海外企業が日本企業を買収するOUT-INが372件です。特にIN-INは前年比10.4%増となっています。

取引金額も2025年は35.7兆円となり、前年から大きく増えました。ただし、取引金額は大型案件の有無によって大きく変動するため、「件数が増えた割合」と「金額が増えた割合」を同じ意味で捉えないことが大切です。

出典:レコフデータ「2025年のM&A回顧(2025年1-12月の日本企業のM&A動向)」(2026年1月5日公表)

https://www.marr.jp/marr/marr202602/entry/66036


2026年についても高い水準が続いています。レコフデータが2026年10月2日に公表した1〜9月期の集計では、M&A件数は3,883件でした。前年同期の3,699件から184件、5.0%増加し、1〜9月期として3年連続で最多を更新しています。

2026年1〜9月の内訳は、IN-INが3,090件、IN-OUTが467件、OUT-INが326件です。年間の最終件数ではないため2025年の5,115件とは直接比較できませんが、少なくとも2026年もM&Aが高水準で推移していることは確認できます。


出典:レコフデータ「2026年1-9月期のM&A件数、3883件で最多更新。金額は22兆8024億円で21.1%減」(2026年10月2日公表)

https://www.marr.jp/menu/ma_statistics/ma_markettrend/entry/73058/

日本企業が関わるM&A件数を直近10年で見ると、増減を繰り返しながらも長期的には増えています。


年 M&A件数
2016年 2,652件
2017年 3,050件
2018年 3,850件
2019年 4,088件
2020年 3,730件
2021年 4,280件
2022年 4,304件
2023年 4,015件
2024年 4,700件
2025年 5,115件


この10年間で、年間のM&A件数は2,652件から5,115件へと大きく増えました。

2016年から2019年までは増加が続き、2019年には初めて4,000件を超えました。2020年には3,730件へ減少しましたが、2021年は4,280件まで回復しています。2022年は4,304件、2023年は4,015件といったん減少したものの、2024年には4,700件、2025年には5,115件となりました。

この推移を見る限り、M&Aは一時的な流行というより、企業経営や事業承継の選択肢として広く利用されるようになっていると考えられます。


出典:レコフデータ「2016年のM&A回顧」「2017年のM&A回顧」「2021年のM&A回顧」「2023年のM&A回顧」「2024年のM&A回顧」「2025年のM&A回顧」等

https://www.marr.jp/marr/marr201702/entry/6753

https://www.marr.jp/marr/marr201902/entry/7805/

https://www.marr.jp/marr/MAkaiko/entry/33809S

https://www.marr.jp/marr/marr201402/entry/48851/

https://www.marr.jp/marr/marr202502/entry/56991

https://www.marr.jp/marr/marr202602/entry/66036

2020年の減少後もM&A件数は再び増加した

推移を見ると、毎年必ず増えているわけではありません。2020年と2023年には前年を下回っています。

それでも2024年、2025年と過去最多を更新しているため、数年間の流れで見れば市場規模は拡大しています。

件数が増えている背景には、中小企業の事業承継だけでなく、大企業による事業の選択と集中、子会社の再編、成長分野への投資、海外M&Aなど、さまざまな取引が含まれています。

そのため、「M&A件数が増えている理由」を考える際には、中小企業の後継者不足だけで全体を説明しないことが重要です。

中小企業でもM&Aによる第三者承継は増えている

「日本全体のM&Aが増えているとしても、中小企業にも同じことがいえるのか」と疑問を持つ方もいるでしょう。

中小企業については、事業承継・引継ぎ支援センターの成約件数が一つの判断材料になります。

事業承継・引継ぎ支援センターは、全国47都道府県に設置された公的な支援機関です。親族内承継や従業員承継のほか、第三者への会社・事業の引継ぎについても相談やマッチングなどを支援しています。

2026年版中小企業白書に掲載された中小企業基盤整備機構の集計では、センターの第三者承継に関する成約件数は次のように推移しています。


年度 成約件数
2016年度 430件
2017年度 687件
2018年度 923件
2019年度 1,176件
2020年度 1,379件
2021年度 1,514件
2022年度 1,681件
2023年度 2,023件
2024年度 2,132件


2016年度の430件から2024年度の2,132件まで大きく増えており、公的支援機関を通じた第三者承継が拡大していることが分かります。


なお、2021年4月には、それまで第三者承継を支援していた「事業引継ぎ支援センター」と、親族内承継を支援していた「事業承継ネットワーク」の機能が統合され、現在の事業承継・引継ぎ支援センターとなっています。したがって、長期推移を見る際には支援体制の変化も考慮する必要があります。


出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」第1-1-47図「事業承継・引継ぎ支援センターの相談者数及び成約件数」(資料:独立行政法人中小企業基盤整備機構)

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2026/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf


センターの成約件数は中小企業M&A全体の件数ではない

ここで注意したいのは、2,132件という数字が「2024年度に日本で成立した中小企業M&Aの総数」ではないことです。

これは、事業承継・引継ぎ支援センターが関係した第三者承継の成約件数です。民間のM&A仲介会社、FA(ファイナンシャル・アドバイザー)、金融機関などを通じて成約した案件のすべてを集計した数字ではありません。

それでも、センターの成約件数が長期的に増えていることは、中小企業でも第三者承継が実際に利用されるようになっていることを示す材料になります。

M&A件数の統計は「何を数えているか」で数字が変わる

M&A件数を調べると、資料によって数字が異なることがあります。これは必ずしもどちらかが間違っているからではありません。

統計ごとに、集計対象となるM&Aの範囲が違うためです。

公表されたM&Aと非公表のM&Aがある

レコフデータの統計は、日本企業が関わる公表されたM&Aを幅広く捉える代表的な統計です。

一方、中小企業の会社売却では、取引先や従業員への影響を考慮して取引内容を公表しないケースがあります。そのような案件は、公表情報を基礎とする統計には表れない場合があります。

中小企業庁も2023年版中小企業白書で、レコフデータによるM&A件数について、公表されている件数であり、未公表のM&Aも一定数存在すると説明しています。


出典:中小企業庁「2023年版 中小企業白書 第1節 事業承継・M&A」

https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2023/chusho/b2_2_1.html


したがって、年間5,000件を超えたという数字を、そのまま「日本国内の中小企業が5,000社売却された」と読み替えることはできません。

M&Aの定義によっても件数は変わる

M&Aには、会社全体を買収する取引だけでなく、事業譲渡や資本参加などさまざまな形があります。また、統計によっては上場企業の適時開示を中心に集計するものもあります。

そのため、M&A件数を見るときは、少なくとも「対象企業」「対象となる取引」「公表案件だけか」「暦年か年度か」を確認しましょう。

異なる条件で集計された数字をそのまま横に並べると、実態を誤って理解する原因になります。

M&A件数が増えていることは、会社売却を考える経営者にとって重要な市場情報です。ただし、「M&Aが増えているから自社も高く売れる」とは限りません。

買い手は、会社ごとの収益力、財務内容、将来性、リスクなどを見て条件を判断します。

買い手候補が増えても自社の条件によって結果は変わる

M&A市場が活発になれば、買い手企業や金融機関、投資ファンドなどが買収候補を探す機会も増えます。

一方、実際にどの程度の買い手候補が見つかるかは、業種、地域、売上や利益、従業員構成、許認可、主要取引先への依存度などによって異なります。

市場全体の件数は、自社の売りやすさを直接示す数字ではありません。

譲渡価格だけでなく承継条件を比較する

複数の買い手候補が見つかった場合も、最も高い金額を提示した相手が必ず最適とは限りません。

従業員の雇用、社名や屋号、取引先との関係、経営者の退任時期、個人保証の扱いなども確認する必要があります。

特に中小企業では、経営者と従業員、取引先、金融機関の関係が近いため、価格以外の条件がM&A後の事業継続に大きく影響します。

会社売却を考えるなら件数より自社の準備状況を確認する

M&A件数が高水準だからといって、準備をせずに会社を売却できるわけではありません。

買い手は複数の候補企業を比較していることがあります。必要な資料を早く提示でき、会社の強みとリスクを説明できる企業ほど、検討を進めてもらいやすくなります。

決算書と実際の収益力を整理する

中小企業では、決算書に表れる利益と実際の収益力が一致しないことがあります。

役員報酬、親族への給与、保険料、車両費、遊休資産、経営者個人との取引などが影響するためです。

会社売却を検討する場合は、過去3期程度の決算書や月次試算表、借入金一覧、主要取引先別の売上、従業員一覧、契約書、許認可、株主名簿などを整理しておくと、買い手が会社の実態を確認しやすくなります。

経営者保証の扱いも確認する

借入金に経営者の個人保証が付いている場合、株式を譲渡しただけで自動的に保証が外れるとは限りません。

買い手や金融機関と、保証解除や借換えなどについて確認する必要があります。譲渡価格だけでなく、M&A後に経営者個人へどのような義務が残るのかまで確認することが重要です。

税金を含めた手取り額を早めに試算する

買い手から提示される譲渡価格と、最終的に経営者の手元に残る金額は同じではありません。

株式譲渡では、譲渡価額から株式の取得費や専門家費用、税金などを考慮して手取り額を確認します。また、事業譲渡や役員退職金を組み合わせる場合には、税負担の計算方法も変わります。

少数株主がいる場合や、相続などで株式が分散している場合は、株式の整理も必要です。

PMIまで見て買い手を選ぶ

M&Aは契約を締結すれば終わりではありません。成約後にはPMIと呼ばれる経営統合の過程があります。

会計処理、給与制度、ITシステム、社内ルール、取引先への対応などをどのように合わせるかによって、M&A後の会社運営は変わります。

売り手経営者が一定期間残って引継ぎを行う場合は、退任時期、役割、報酬、権限なども事前に確認しておきましょう。

M&A件数の最新データは毎年更新して確認する

M&A件数は、市場環境や大型案件の動向によって毎年変わります。また、暦年の年間集計、年度集計、四半期集計では対象期間も異なります。

この記事では、2026年10月時点で確認できるレコフデータ、中小企業庁、中小企業基盤整備機構の公表情報を基準にしています。今後も年間統計や中小企業白書などの公表に合わせて数値を更新し、同じ集計条件のデータで推移を確認することが重要です。

特に会社売却を検討するときは、「日本全体で何件あるか」だけで判断するのではなく、自社の業種や地域で買い手になり得る企業がいるか、利益や財務内容がどう評価されるか、希望する承継条件を実現できるかを個別に確認しましょう。

まとめ

日本企業が関わるM&A件数は2025年に5,115件となり、過去最多を更新しました。2026年1〜9月も3,883件と前年同期を上回っており、高い水準が続いています。また、事業承継・引継ぎ支援センターの第三者承継の成約件数も2024年度に2,132件となり、中小企業でもM&Aによる承継が広がっています。ただし、統計によって集計対象は異なり、件数の増加が自社の譲渡価格上昇を保証するわけではありません。会社売却を考える場合は、市場全体の数字を参考にしながら、決算書、株主、借入金、経営者保証、税金、従業員の処遇などを早めに整理し、自社に合った承継先を判断することが大切です。

著者:竹川 満 マネージャー / M&Aアドバイザー 

野村證券にて、法人・個人富裕層の資産運用を支援した後、本社企画部署では全支店の営業支援・全国の顧客の運用支援、新商品の導入等に携わる。みつきグループでは、教育機関・介護施設等へのM&Aを含む経営支援に従事

編集:M&A事業承継アドバイザーズ 編集部|運営:みつき税理士法人