第三者承継(M&A)の全体像|流れ・方法・企業価値・相談先

第三者承継とは

第三者承継とは、親族や社内の役員・従業員ではなく、外部の第三者へ会社や事業を引き継ぐ事業承継の方法です。中小企業では、株式譲渡や事業譲渡などのM&Aによって第三者へ承継する方法が代表的です。

親族や社内に適切な後継者がいない場合でも、第三者承継によって事業、従業員、取引先との関係などを次の経営者へ引き継げる可能性があります。一方、相手先の選定、譲渡価格、契約条件、従業員の処遇など、事前に整理すべき事項も多くあります。

このページでは、第三者承継(M&A)の基本から、流れ、企業価値評価、M&Aの方法、株式譲渡、企業買収、相談先まで、全体像を体系的に整理します。

 

第三者承継とは

第三者承継では、会社の所有権や事業を外部の法人・個人へ移し、現在の経営者から新しい経営主体へ事業を引き継ぎます。

親族内承継や従業員承継では後継者候補が一定範囲に限られますが、第三者承継では社外まで候補を広げられることが特徴です。本ページでは、その代表的な手段であるM&Aを中心に解説します。

 

第三者承継のメリット

第三者承継の大きなメリットは、親族や社内に後継者がいなくても事業承継を実現できる可能性があることです。

買い手の経営資源を活用することで、事業の継続だけでなく、販路拡大、人材確保、設備投資などにつながる場合もあります。また、株式譲渡では、オーナー経営者が保有株式を譲渡することで、経営から退く選択肢を持つこともできます。

 

第三者承継のデメリット・注意点

希望する条件に合う相手が必ず見つかるとは限らず、相手探しや条件交渉に一定の期間を要する場合があります。

また、譲渡価格だけでなく、従業員の雇用、会社名や事業方針、経営者の引継期間、取引先との関係なども重要な交渉事項です。

情報管理にも注意が必要です。検討段階で会社売却の情報が不用意に広がると、従業員や取引先などに影響する可能性があるため、開示する相手と時期を慎重に管理します。

第三者承継(M&A)を7つのテーマから理解する

第三者承継では、M&Aそのものの基礎知識だけでなく、手続の流れ、会社の価値、譲渡方法、契約、買い手側の視点、専門家の選び方まで理解しておくことが重要です。

以下の7つのテーマから、検討段階に応じて詳しい情報を確認できます。

 

1.第三者承継・M&Aの基礎

まず、第三者承継とM&Aの意味、中小企業がM&Aを利用する目的、会社売却との関係、メリット・デメリットなどを理解しておく必要があります。

M&Aを「会社を売る手続」だけでなく、事業承継や経営戦略の一つとして理解するための基礎テーマをまとめています。

第三者承継・M&Aの基礎を詳しく見る

 

2.M&Aの流れ

M&Aでは、検討開始から相手探し、条件交渉、基本合意、デューデリジェンス、最終契約、クロージングまで複数の段階があります。

各段階で必要となる資料や契約、交渉事項をあらかじめ把握しておくことで、全体の見通しを持って第三者承継を進めやすくなります。

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3.企業価値評価・売却価格

第三者承継を検討する経営者にとって、自社がどの程度の価値を持つのかは重要な関心事項です。

企業価値や株式価値には複数の考え方があり、最終的な譲渡価格は企業価値評価だけで機械的に決まるものではありません。会社の収益力、純資産、将来性、業界環境、買い手との相乗効果なども条件交渉に影響します。

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4.M&Aの種類・方法

M&Aには、株式譲渡、事業譲渡、会社分割、合併など複数の方法があります。

どの方法を選択するかによって、承継する資産・負債・契約、必要な手続、株主や従業員への影響などが異なります。会社の目的や状況に応じて適切な方法を比較する必要があります。

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5.株式譲渡

中小企業の第三者承継では、オーナー経営者が保有する株式を買い手へ譲渡する方法が検討されることがあります。

株式譲渡では会社そのものの株主が変わるため、事業や契約関係を会社に残したまま経営権を引き継ぎやすい一方、株式譲渡契約、譲渡制限、株主名簿、譲渡対価などについて確認が必要です。

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6.企業買収

第三者承継は売り手だけで成立するものではなく、会社や事業を引き継ぐ買い手の存在が必要です。

買い手は、新規事業への参入、人材や技術の獲得、商圏拡大などさまざまな目的から企業買収を検討します。買い手が何を評価し、どのようなリスクを確認するのかを理解することは、売り手にとっても重要です。

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7.M&Aの相談先

第三者承継では、相手探し、企業価値評価、契約、財務・税務・法務など幅広い論点が関係します。

相談先にはM&A仲介会社、金融機関、各種専門家などがあり、それぞれ役割や対応範囲が異なります。自社がどの段階にあり、何を相談したいのかを整理して選ぶことが重要です。

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第三者承継(M&A)の基本的な進め方

第三者承継は、買い手を探し始める前の準備が重要です。会社の現状や経営者の希望を整理せずに交渉を始めると、途中で条件が合わなくなることがあります。

ここでは全体像を把握するため、一般的な検討の順序を簡潔に整理します。

 

1.第三者承継の目的を整理する

まず、なぜ第三者承継を検討するのかを明確にします。

後継者不在への対応、従業員の雇用維持、事業の成長、経営者の引退など、優先する目的によって望ましい相手や条件が変わります。

 

2.会社の現状と企業価値を把握する

財務状況、事業内容、株主構成、主要取引先、従業員、許認可などを整理します。

同時に、自社の強みや課題、企業価値のおおよその水準を把握しておくことで、相手探しや条件交渉の基準を持ちやすくなります。

 

3.承継先の候補を探す

自社の事業を引き継ぐ可能性のある企業や経営者を探します。

譲渡価格だけでなく、事業との相性、従業員の処遇、今後の経営方針なども含めて候補先を検討します。

 

4.条件交渉と調査を進める

候補先との間で譲渡価格や主要条件を協議し、一定の合意に達した後は、財務・事業・法務などについて詳細な確認が行われます。

この段階では、事前に提示した情報と実態に大きな相違がないことも重要です。

 

5.最終契約・引継ぎを行う

最終条件について合意した後、契約を締結し、株式や事業を引き渡します。

成約後も、取引先や従業員への説明、経営者からの引継ぎなどが必要になるため、契約締結だけでなく承継後まで見据えて準備します。

他の事業承継方法とも比較する

第三者承継を検討するときは、最初からM&Aだけに選択肢を限定する必要はありません。

親族に適切な後継者がいる場合には親族内承継、社内に経営を任せたい人材がいる場合には従業員承継も選択肢になります。

それぞれ必要な準備、株式の引継ぎ方、資金面の課題などが異なるため、自社の状況と経営者の希望を踏まえて比較することが重要です。

第三者承継は会社を次の経営者へつなぐ選択肢

第三者承継(M&A)は、親族や社内に後継者がいない企業にとって、会社や事業を存続させるための選択肢の一つです。

一方で、相手先、価格、従業員、経営方針など、経営者ごとに重視する条件は異なります。

まずは第三者承継の全体像を理解し、基礎、流れ、企業価値、方法、株式譲渡、企業買収、相談先という各テーマを順に確認したうえで、自社にとって第三者承継が適切かを判断することが重要です。