M&Aしたら役員の処遇はどうなる?


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M&A後の役員処遇はどうなる?退職金と法的責任も解説

M&A後に役員は留任するのか退任するのか。報酬・役員退職金・役員借入金・善管注意義務まで、会社売却前に経営者が確認すべき実務論点を分かりやすく解説します。株式譲渡と事業譲渡の違い、手取り額や親族役員への伝え方、契約書で固める条件も整理します。

目次

  1. M&Aで役員処遇が先に論点になる理由
  2. 株式譲渡と事業譲渡で役員の立場は変わる
  3. 留任・退任を決める実務上の判断軸
  4. お金の論点は手取りと精算から逆算する
  5. 取締役がM&Aで負う義務と責任
  6. 役員への伝達時期と契約書で固める事項
  7. まとめ

M&Aによる役員の処遇や報酬への影響を解説

M&Aで役員処遇が先に論点になる理由

M&A(合併・買収)で会社を売却するとき、従業員の雇用だけでなく、役員がその後どうなるかも早い段階で整理しておく必要があります。特に中小企業では、社長の配偶者、子、兄弟、古くからの幹部が役員に入っていることも多く、処遇の話が後回しになると、成約直前に判断が止まることがあります。

役員は、従業員とは立場が違います。従業員は会社との雇用契約に基づいて働きますが、取締役などの役員は会社との委任関係に基づいて職務を行います。委任関係とは、会社から経営上の職務を任される関係のことです。そのため、M&A後も同じ役職、同じ報酬、同じ権限が当然に続くとは限りません。

一方で、役員がすぐに全員退任すればよいわけでもありません。取引先との関係、従業員の安心感、許認可や技術の引継、金融機関対応などを考えると、一定期間は旧役員が残った方が事業が安定することもあります。ここが難しいところです。

買い手企業は、会社を買った後に事業を安定して運営できるかを見ています。売り手側は、譲渡価格や従業員の雇用だけでなく、自分や親族役員、幹部役員の退任時期、留任条件、報酬、退職金、役員借入金の回収まで含めて交渉する必要があります。

従業員よりも役員の方が条件変更を受けやすい

M&A後の待遇という点では、役員の方が従業員よりも変化しやすい立場です。従業員については、株式譲渡であれば雇用契約は原則としてそのまま続きます。安易な解雇や一方的な労働条件の不利益変更もできません。

これに対し、役員は会社の経営を担う立場です。株主が変われば、経営方針も変わります。買い手企業が自社から新しい取締役を派遣したり、旧役員に退任を求めたりすることは珍しくありません。特に、実務に関与していない名目的な役員は、M&A後に役割を見直されやすいです。

ただし、オーナー経営者や営業・製造・技術を支える常勤役員については別です。買い手企業がその知見を必要とする場合、一定期間は代表取締役、取締役、会長、顧問、相談役などの形で残ることがあります。

役員処遇は譲渡価格にも影響する

役員の処遇は、感情面だけの問題ではありません。譲渡価格にも影響します。たとえば、売却時にオーナー経営者へ役員退職金を支給する場合、その分だけ会社の純資産が減り、株式譲渡価格の調整が必要になることがあります。

また、役員が会社に貸し付けている役員借入金が残っている場合、誰が、いつ、どの資金で返済するのかを決めなければなりません。ここを曖昧にすると、売却後に「株式は譲渡したが、貸付金が戻らない」という事態になりかねません。意外と多い落とし穴です。

株式譲渡と事業譲渡で役員の立場は変わる

役員の扱いは、M&Aの手法によって大きく異なります。中小企業の会社売却では株式譲渡が多く使われますが、事業の一部だけを売る場合には事業譲渡も選択肢になります。まず、この違いを押さえることが大切です。

株式譲渡では経営権が買い手に移る

株式譲渡とは、オーナーが保有する株式を買い手に売却し、会社の株主が変わる手法です。会社そのものは存続しますが、経営権は買い手に移ります。そのため、取締役や監査役などの役員体制は、M&Aのクロージングに合わせて見直されるのが一般的です。

クロージングとは、株式の譲渡、代金決済、役員変更などを実行する日のことです。この日に旧役員が辞任し、買い手企業から新しい役員が選任されることがあります。特に、非常勤役員や親族名義の役員は、クロージングと同時に退任するケースが多く見られます。

一方、オーナー社長や事業運営に欠かせない常勤役員は、一定期間残ることがあります。期間は数か月の場合もあれば、1年から数年に及ぶことも。役職名も、代表取締役のまま残る場合、会長や顧問に変わる場合、役員ではなく業務委託契約で関与する場合などさまざまです。

買い手が旧役員の留任を求める場面

買い手が旧役員に残ってほしいと考えるのは、主に事業の連続性を重視する場合です。主要取引先が社長との関係で成り立っている会社、職人や技術者の信頼が社長に集まっている会社、金融機関との関係を急に変えにくい会社では、旧役員の存在がM&A後の安定に直結します。

このような場合、買い手はPMI(M&A後の統合プロセス)を円滑に進めるため、旧役員の協力を求めます。PMIとは、買収後に組織、人事、会計、取引先対応などを統合していく作業です。ここで旧役員が非協力的になると、従業員や取引先に不安が広がることがあります。

買い手が退任を求める場面

反対に、買い手が旧役員の退任を求める場面もあります。買い手企業が自社の管理体制に早く統一したい場合、旧経営陣と方針が合わない場合、親族役員に実務上の役割がない場合などです。

また、買い手が上場企業や大企業の場合、内部統制、稟議、予算管理、労務管理のルールが厳しくなります。これまでオーナーの裁量で進めていた経営が、そのまま通らなくなることも。旧役員が新しい管理体制に適応できないと判断されれば、留任期間は短くなりやすいです。

事業譲渡では会社自体の役員は残る

事業譲渡とは、会社が持つ事業、資産、契約などを個別に買い手へ譲渡する手法です。株式を譲渡するわけではないため、売り手会社そのものの株主や役員は原則として変わりません。

従業員の雇用契約も、事業譲渡によって当然に買い手へ移るわけではありません。本人の同意や個別の手続を踏まえて引き継ぐ必要があります。この点は、会社ごと引き継ぐ株式譲渡との大きな違いです。

したがって、事業譲渡をしても、売り手会社の取締役や監査役の地位が自動的に失われるわけではありません。会社に残った事業や資産の管理、借入金の返済、清算に向けた対応などがあれば、役員としての職務は続きます。

ただし、譲渡対象の事業が会社の主力事業であった場合、役員の実質的な仕事は大きく変わります。買い手側の会社に役員や顧問として招かれる場合には、買い手側との間で新たに報酬や役割を決めることになります。

留任・退任を決める実務上の判断軸

役員を残すか退任させるかは、肩書だけで決まるものではありません。M&A実務では、事業への関与度、社内外への影響、買い手が必要とする役割、本人の意思を見ながら判断します。

常勤役員は引継への貢献度で判断する

常勤役員は、日々の経営や現場運営に関わっているため、買い手にとって重要な存在になることがあります。営業責任者、工場長、管理部門の責任者、技術責任者などが取締役を兼ねている会社では、その人が抜けると業務が回らなくなることもあります。

このような役員については、M&A後も一定期間残ってもらう方が現実的です。たとえば、主要取引先の引継を半年かけて行う、管理資料の作成方法を買い手側へ移す、後任者を育成する、といった役割です。

ただし、留任する場合でも、従前と同じ権限が残るとは限りません。買い手企業の承認が必要な事項が増えたり、報告書の提出が求められたりします。経営者感覚で自由に判断してきた役員ほど、売却後の権限変更に戸惑うことがあります。

非常勤役員や親族役員は役割整理が必要になる

非常勤役員や親族役員は、M&A後に退任するケースが多いです。名義上の役員、節税や社内事情のために登記されている役員、実務にほとんど関与していない役員は、買い手から見ると継続する理由が乏しいためです。

ただし、親族役員であっても、経理、採用、総務、得意先対応などを実際に担っている場合は、単純に退任させると会社運営に支障が出ることがあります。この場合は、役員として残すのか、従業員や顧問として関与を続けるのかを分けて考えます。

名義だけなのか、実務を担っているのか。この確認が重要です。家族だから残したい、家族だから退任させたいという感情だけで決めると、買い手との交渉が難しくなります。

オーナー経営者は退任時期を条件化する

オーナー経営者の処遇は、M&A条件の中でも特に重要です。売却後すぐに完全引退したい人もいれば、従業員や取引先への責任感から数年は残りたい人もいます。どちらが正しいという話ではありません。

買い手企業は、オーナー経営者が抜けた後も会社が回るかを見ています。属人的な営業、社長個人に依存した仕入、社長しか分からない資金繰りがある場合、買い手は一定期間の引継を求めやすいです。

一方で、オーナー経営者が長く残りすぎると、新体制への移行が遅れることもあります。従業員がいつまでも旧社長だけを見てしまい、買い手側の経営方針が浸透しないためです。M&A後に残る期間、役職、出社頻度、決裁権限は、契約前に具体化しておく必要があります。

お金の論点は手取りと精算から逆算する

役員のM&A後の扱いで、最も揉めやすいのがお金です。報酬、退職金、役員借入金は、それぞれ別の論点に見えますが、実務ではオーナー経営者の最終的な手取り額と買い手の買収資金に直結します。

留任後の役員報酬は買い手の基準に近づく

M&A後も役員として残る場合、役員報酬は買い手企業の基準に合わせて見直されることがあります。売却前はオーナー経営者が自分で報酬水準を決めていたとしても、売却後は新しい株主の判断を受ける立場になります。

買い手側から見ると、役員報酬は人件費であると同時に、経営管理上のコストです。同業他社と比べて高すぎる報酬、実務内容に見合わない報酬、親族に支払われている報酬は、見直しの対象になりやすいです。

ただし、報酬を急に下げると、引継への協力意欲が下がることがあります。重要な役員については、一定期間は従前水準を維持し、その後に段階的に見直す設計もあります。M&A実務では、ここで判断が止まることがあります。

役員退職金は手取り額を左右する

オーナー経営者がM&Aを機に退任する場合、役員退職金の支給を検討することがあります。役員退職金は、退職所得として取り扱われる場合、退職所得控除を差し引いた上で、原則として残額の2分の1が課税対象になります。また、他の所得と分けて税額を計算する仕組みです。

そのため、株式譲渡対価の一部を役員退職金として設計することで、オーナー経営者の手取り額が増えることがあります。ただし、常に有利とは限りません。役員としての勤続年数が5年以下の一定の退職金では、2分の1課税が使えない場合があります。株式譲渡益の税率との比較も必要です。

退職金を大きくしすぎるリスク

役員退職金は、いくらでも自由に損金にできるものではありません。損金とは、法人税の計算上、利益から差し引ける費用のことです。支給額が不相当に高額と判断されると、会社側で損金算入が認められないリスクがあります。

実務では、役員退職慰労金規程、功績倍率、在任年数、最終報酬月額、同業他社とのバランスなどを見ながら支給額を検討します。功績倍率とは、退職金の目安を計算する際に使われる倍率のことです。形式だけ整えればよいわけではありません。

また、役員退職金は会社法上の報酬等に当たるため、定款や株主総会決議などの手続も確認します。中小企業では議事録が整っていないことがありますが、M&Aでは過去の手続不備も買い手に見られます。

株式譲渡価格との関係を整理する

役員退職金を支給すると、会社の現預金が減り、純資産も減ります。その結果、株式譲渡価格の調整が必要になることがあります。買い手から見れば、会社の中に残る現金が減るため、その分だけ株価を下げたいという発想になります。

売り手から見ると、株式譲渡対価と役員退職金を合計した金額が重要です。さらに税金を差し引いた後の手取り額で比較しなければ、本当に有利か判断できません。譲渡価格だけを見て判断すると、手取りで損をする可能性があります。

役員借入金は契約書で回収方法を固める

中小企業では、オーナー経営者が会社に資金を貸し付けていることがあります。これが役員借入金です。資金繰りが苦しい時期に社長個人が会社へ入金したもの、役員報酬を未払いのまま会社に残したものなど、発生経緯はさまざまです。

株式譲渡では、会社そのものが存続するため、役員借入金も会社の債務として残ります。何もしなければ、新しい株主のもとで会社が旧オーナーに借入金を返済する関係になります。しかし、返済時期や返済原資が曖昧だと、売却後の回収に不安が残ります。

対応方法としては、クロージング前に会社から返済しておく、譲渡対価の調整で実質的に精算する、クロージング後の返済時期を最終契約書に明記する、状況によっては一部放棄を検討する、といった方法があります。放棄する場合は、会社側に債務免除益が発生し、税務上の影響が出ることもあります。

事業譲渡では、役員借入金が自動的に買い手へ移るわけではありません。売り手会社に残った資産や事業譲渡代金から返済するのか、会社を清算する過程で整理するのかを考える必要があります。

取締役がM&Aで負う義務と責任

M&Aにおける役員の論点は、処遇やお金だけではありません。取締役は、M&Aの意思決定に関わる立場として、会社に対する法的責任を負います。売り手側の取締役も、買い手側の取締役も、この点を軽く見ない方がよいです。

善管注意義務を意識して判断する

取締役は、会社に対して善管注意義務を負います。善管注意義務とは、会社から経営を任された人として、通常求められる注意を尽くす義務です。難しく聞こえますが、要するに「経営者として調べるべきことを調べ、合理的な手順で判断すること」が求められるという意味です。

M&Aでは、買収価格、相手先の信用力、デューデリジェンス(買い手による企業調査)、契約条件、従業員や取引先への影響など、多くの判断が必要になります。十分な資料を確認せずに安易に売却を決めたり、反対に合理的な理由なく好条件の提案を放置したりすれば、後から責任を問われる可能性があります。

買い手側の取締役も同じです。対象会社の財務、税務、法務、労務、事業リスクを調べずに高値で買収し、会社に損害を与えた場合、任務懈怠を問われることがあります。任務懈怠とは、役員として行うべき職務を怠ることです。

結果ではなく判断過程を残す

M&Aは将来の見込みを含む判断です。結果として想定した効果が出なかったからといって、直ちに責任が発生するわけではありません。重要なのは、当時の情報に基づき、必要な調査を行い、専門家の意見を聞き、取締役会や株主との関係で適切な手続を踏んだかです。

そのため、取締役会議事録、検討資料、株価算定資料、デューデリジェンス報告、条件交渉の経緯は残しておくべきです。特に親族株主がいる会社、少数株主がいる会社、役員間で意見が割れている会社では、後から説明できる資料が重要になります。

利益相反取引は慎重に扱う

M&Aでは、役員個人と会社の利害がぶつかる場面があります。たとえば、役員が自分の関連会社へ事業を移す、役員が会社資産を買い取る、役員の親族が関係する会社と取引する、役員借入金の返済条件を自分に有利に決める、といった場面です。

このような取引は、利益相反取引として会社法上の承認手続が必要になることがあります。必要な承認を取らずに進めると、後から取引の有効性や役員の責任が問題になることがあります。

中小企業では「自分の会社だから大丈夫」と考えがちです。しかし、M&Aの相手方、金融機関、少数株主、税務当局など、売却局面では多くの第三者が会社を見ます。身内の感覚で処理してきた取引ほど、売却前に整理しておくことが大切です。

少数株主や親族株主への説明も無視できない

オーナー経営者が大半の株式を持っていても、親族や元役員が少数株主として残っていることがあります。この場合、M&Aに反対されると手続が進みにくくなることがあります。

役員退職金の支給、株式譲渡価格、役員借入金の精算などは、少数株主から見ると「オーナーだけが得をしている」と見える可能性もあります。実際には合理的な設計であっても、説明不足なら不信感が残ります。必要に応じて、価格算定の考え方や退職金の根拠を説明できるようにしておきましょう。

役員への伝達時期と契約書で固める事項

役員の処遇は、決める内容だけでなく、伝え方も重要です。早すぎると社内に不安が広がり、遅すぎると不信感を招きます。秘密保持と納得感のバランスが必要です。

伝達は基本合意後を目安にする

M&Aの検討初期に、すべての役員へ情報を伝える必要はありません。候補先探索の段階では、情報漏えいのリスクが高く、取引先や従業員に広がると会社運営に影響が出ることがあります。

一般には、買い手候補が絞られ、基本合意を締結した後に、必要な役員へ段階的に伝えることが多いです。基本合意とは、M&Aの主要条件を整理した合意書です。最終契約ではありませんが、譲渡価格の考え方、スケジュール、独占交渉、デューデリジェンスなどの前提が固まるため、役員にも具体的な説明がしやすくなります。

ただし、役員がデューデリジェンス対応に不可欠な場合は、基本合意前後で早めに説明することもあります。経理責任者、技術責任者、工場責任者などが資料作成や面談に関わる場合です。伝える範囲と順番を決めておくことが重要です。

基本合意書では方向性を明記する

役員の留任や退任に関する大枠は、基本合意書の段階で整理しておくと安心です。たとえば、オーナー社長がクロージング後1年間は顧問として引継に協力する、常勤役員の報酬水準は一定期間維持する、非常勤役員はクロージング日に辞任する、といった方向性です。

もっとも、基本合意書だけですべてを確定させる必要はありません。デューデリジェンスの結果や買い手側の人員体制によって、条件が変わることもあります。基本合意書では大枠を確認し、最終契約書で具体化する流れが実務的です。

最終契約書では支払条件まで落とし込む

最終契約書では、役員の処遇をできるだけ具体的に定めます。退任日、留任期間、役職、報酬、退職金、役員借入金の返済、辞任届や株主総会議事録の準備、競業避止義務、秘密保持義務などが主な論点です。

特に役員退職金と役員借入金は、金額、支払日、支払主体、税務処理の前提を曖昧にしないことが大切です。口頭で「後で払う」と確認しただけでは不十分です。クロージング日に何を同時に実行するのか、クロージング後に何を履行するのかを分けて書く必要があります。

挨拶状や社内説明との整合性も見る

役員の退任や留任は、社内説明や取引先への挨拶状にも影響します。社長が会長として残るのか、完全に退任するのか、新社長が誰になるのかによって、伝える文面は変わります。

従業員や取引先は、細かな契約条件よりも「これから誰が責任者なのか」「取引や雇用は続くのか」を気にします。役員処遇と外部説明が食い違うと、不安が広がります。契約書の内容、登記変更、社内発表、挨拶状の表現は一貫させましょう。

役員本人の納得も成約後の安定に影響する

買い手との条件がまとまっても、役員本人が納得していなければ、M&A後の運営は不安定になります。特に長年会社を支えてきた役員は、肩書や報酬だけでなく、自分の役割がどう評価されるのかを気にします。

伝える際は、単に退任や留任を通知するだけでなく、なぜその処遇になるのか、いつまで何を担うのか、報酬や退職金はどうなるのかを整理して説明することが重要です。感情面の配慮は、契約書には書きにくいものですが、実務上は成約後の安定に大きく影響します。

まとめ

M&A後の役員処遇は、留任か退任かだけでなく、報酬、退職金、役員借入金、善管注意義務まで一体で考える必要があります。株式譲渡と事業譲渡で前提は異なり、曖昧な合意は成約後の不信につながります。役員本人や親族への説明も含め、早い段階で条件を整理し、必要に応じて専門家に相談しながら契約書と説明内容をそろえて進めることが大切です。

著者:竹川 満 マネージャー / M&Aアドバイザー 

野村證券にて、法人・個人富裕層の資産運用を支援した後、本社企画部署では全支店の営業支援・全国の顧客の運用支援、新商品の導入等に携わる。みつきグループでは、教育機関・介護施設等へのM&Aを含む経営支援に従事

編集:M&A事業承継アドバイザーズ 編集部|運営:みつき税理士法人

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