親族内承継のメリット・デメリットと向いている会社の判断基準

親族内承継のメリット・デメリットを、経営、人、株式・税金、家族関係の4つの視点から解説します。向いている会社のチェック項目、後継者育成や遺留分、自社株の税負担への対策、従業員承継・M&Aとの違いも整理します。

目次

  1. 親族内承継とは
  2. 親族内承継のメリット
  3. 親族内承継のデメリット
  4. 親族内承継のデメリットへの対策
  5. 親族内承継が向いている会社・向いていない会社
  6. 親族内承継・従業員承継・M&Aを比較する
  7. 親族内承継では自社株と税金を早めに確認する
  8. 事業承継税制を使うなら期限と要件を確認する
  9. 親族内承継を進める前に確認する順番
  10. 親族内承継だけに固執しないことも大切
  11. まとめ

親族内承継のメリットとデメリット事業承継手順を徹底解説

会社を子どもや親族に継がせる親族内承継には、経営理念や取引先との関係を引き継ぎやすいというメリットがあります。一方で、後継者の力量不足、自社株にかかる税金、兄弟姉妹など他の相続人との不公平感、個人保証などが問題になることもあります。

そのため、「親族がいるから親族内承継」と決めるのではなく、後継者本人の意思、育成に使える期間、自社株の評価額、家族関係、会社の借入金などを確認して判断することが大切です。

この記事では、親族内承継を選ぶべきか迷っている経営者に向けて、メリットとデメリット、問題への対策、向いている会社の判断基準を整理します。

親族内承継とは

親族内承継とは、経営者の子ども、配偶者、孫、兄弟姉妹、甥・姪、娘婿などの親族に会社の経営を引き継ぐ方法です。

後継者は長男や長女である必要はありません。重要なのは血縁の近さではなく、本人に会社を継ぐ意思があり、将来の経営者として成長できるかどうかです。

また、親族内承継で引き継ぐのは社長という役職だけではありません。代表権、自社株、事業用資産、取引先との関係、技術やノウハウ、金融機関との関係などを次の世代へ移していく必要があります。

親族への承継が当たり前という状況でもなくなっています。帝国データバンクの「全国『後継者不在率』動向調査(2024年)」では、2024年に代表者交代が行われた企業のうち、同族承継は32.2%、役員・社員を登用する内部昇格は36.4%でした。

親族が後継者候補にいる会社でも、従業員承継やM&A(合併・買収)を含めて比較したうえで決めることが重要です。


出典:株式会社帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2024年)」

https://www.tdb.co.jp/report/economic/succession2024/

公表:2024年11月22日

親族内承継のメリット

親族内承継のメリットは、単に「家族に会社を残せる」ということだけではありません。経営、人、株式、家族関係という4つの面から整理すると、自社に合っているか判断しやすくなります。


視点 主なメリット 判断するときのポイント
経営 経営理念や会社の文化を引き継ぎやすい 後継者が会社の歴史や強みを理解しているか
人 従業員や取引先に早い段階から後継者を紹介できる 後継者が社内外から信頼を得られるか
株式・財産 生前贈与・相続・株式譲渡など複数の方法を検討できる 株価と後継者の資金力を確認できているか
家族関係 経営者の意思を家族と共有しながら承継を進められる 他の相続人にも納得できる説明ができるか

経営理念や会社の文化を引き継ぎやすい

親族内承継では、後継者が幼い頃から会社や経営者の仕事を見ていることがあります。創業の経緯や経営理念、地域との関係など、書類だけでは伝えにくいものを共有しやすいことがメリットです。

特に、創業家への信頼が強い会社や長年の取引先が多い会社では、親族への承継が取引先や従業員に受け入れられやすい場合があります。

ただし、「親の仕事を見てきたこと」と「会社を経営できること」は別です。承継前に実務経験を積ませる必要があります。

後継者を早く決めて育成を始めやすい

子どもなどの後継者候補が早い段階で決まれば、営業、製造、経理、人事、資金繰りなどを計画的に経験させられます。

事業承継は、代表者を交代した日だけで完了するものではありません。中小企業庁は、後継者育成を含めると事業承継の準備には5~10年程度かかるとして、早めの準備を促しています。


出典:中小企業庁「事業承継診断~10年先の会社を考えてみませんか?~」

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/shoukei_sindan.html

2026年10月1日確認


後継者候補には、会社の良い部分だけではなく、借入金、業界の先行き、働き方、従業員との関係なども伝えたうえで、本人の意思を確認します。

取引先や金融機関へ段階的に引き継げる

親族内承継では、正式な代表交代より前から後継者を取引先や金融機関へ紹介できます。

例えば、重要な商談への同行、金融機関との面談、幹部会議への参加などを少しずつ増やせば、周囲も次の経営者を理解する時間を持てます。

現経営者の人脈を後継者へ引き継ぎやすい点は、親族内承継の大きな利点です。

株式を移す方法を時間をかけて検討できる

親族内承継では、生前贈与、相続、株式譲渡などによって自社株を後継者へ移すことができます。

早めに検討を始めれば、「いつ、どの方法で、どれだけの株式を移すか」を株価や後継者の資金力、他の相続人との関係を踏まえて計画できます。

ただし、税金だけを理由に方法を決めるのではなく、最終的に後継者が安定して経営権を持てるかまで確認する必要があります。

親族内承継のデメリット

親族内承継では、「親族だから話が早い」とは限りません。会社と家族の問題が重なるため、かえって調整が難しくなる場合があります。


視点 主なデメリット 特に注意する会社
経営 後継者の能力にかかわらず親族を優先してしまう 後継者候補を客観的に評価していない会社
人 従業員から後継者への反発が起きることがある 古参幹部と後継者の関係ができていない会社
株式・税金 自社株の評価額によって贈与税・相続税の負担が問題になる 利益や純資産が大きい会社
家族関係 後継者と他の相続人の間で不公平感が生じることがある 財産の多くを自社株が占める会社

後継者として適任とは限らない

子どもや親族が会社にいることと、その人が経営者に向いていることは同じではありません。

本人に承継する意思がなかったり、経営に必要な経験が不足していたりする場合があります。それでも「親族だから」という理由で承継を進めると、代表交代後に経営判断が滞る可能性があります。

まず本人の意思を確認し、その後に能力や経験を確認する順番が大切です。

従業員から反発されることがある

後継者が十分な実績を積まないまま社長になると、長年会社を支えてきた役員や従業員が「なぜこの人が社長なのか」と感じることがあります。

特に、社内に経験豊富な幹部がいる場合は注意が必要です。

後継者を早くから社内へ紹介し、部署責任者やプロジェクト責任者など具体的な役割を持たせ、実績を積む機会を作ります。

自社株の税負担が大きくなることがある

非上場会社の自社株は、上場株式のように市場価格が表示されているわけではありません。税務上の方法によって評価する必要があります。

会社の利益や純資産などの状況によっては評価額が高くなり、株式を贈与・相続するときの税負担が大きな問題になることがあります。

会社は順調でも、後継者個人が十分な現金を持っているとは限りません。株式を移す前に、自社株の評価額と納税資金を確認することが重要です。

他の相続人との不公平感が生じやすい

会社を安定して経営するためには、後継者へ自社株を集中させたい場合があります。

しかし、経営者の財産の大部分が自社株であれば、会社を継がない子どもなどから見ると「後継者だけが多くの財産を受け取った」と感じる可能性があります。

相続では遺留分にも注意が必要です。遺留分とは、一定の相続人に法律上保障されている最低限の取り分です。

後継者に株式を集中させる場合は、他の相続人へ預金や不動産などを残せないか、代償金を準備できないかなども一緒に検討します。

個人保証が後継者の負担になることがある

中小企業では、会社の借入金について経営者が個人保証をしている場合があります。

親族内承継を行っても、代表者の変更と同時に保証が自動的に解除されるわけではありません。後継者が保証を引き受けることへの不安から、承継に消極的になる場合もあります。

中小企業庁も、経営者保証が後継者候補の確保の障害になっていることを踏まえ、事業承継時の保証解除に向けた施策を設けています。

金融機関には承継直前になって初めて相談するのではなく、財務改善や後継者育成と並行して、保証の扱いを確認しておくことが大切です。


出典:中小企業庁「事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策」

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/hosyoukaijo/

2026年10月1日確認

親族内承継のデメリットへの対策

親族内承継のデメリットは、すべて避けられるわけではありません。ただし、問題が起きそうな場所を承継前に把握すれば、対策できるものは多くあります。


デメリット 主な対策 確認すること
後継者の力量不足 早期の育成、他社勤務や外部研修、外部人材の活用 代表交代まで何年あるか
従業員の反発 早めの紹介と権限移譲 幹部社員が後継者を認めているか
兄弟姉妹などとの不公平感 遺言、代償金、別の財産の配分などを検討 後継者以外へ渡せる財産があるか
自社株の税負担 株価評価、移転時期・方法、事業承継税制などを検討 現在の株価と将来の変動可能性
株式の分散 遺言や株式移転計画などを検討 現在の株主と持株割合
個人保証 財務改善と金融機関との早期協議 現在の保証内容
前経営者が実権を持ち続ける 退任後の役割と権限を明確にする 誰が最終決定するのか

後継者は社内だけで育てない

後継者育成というと、現経営者のそばで仕事を覚えることを想像しがちです。

しかし、それだけでは現経営者と同じ考え方に偏ることがあります。他社での勤務、外部研修、業界団体での活動、金融機関との面談などを通じて、自社以外の視点を身につけることも有効です。

社内では営業、製造、経理、人事など複数の仕事を経験させ、徐々に重要な意思決定を任せます。

家族には決定後ではなく検討中から説明する

親族間の問題を防ぐためには、会社を継ぐ本人だけでなく、他の相続人にも方向性を共有することが重要です。

例えば、「長男に会社を継がせ、自社株も長男に集中させる」とすべて決めた後で他の家族へ伝えると、内容そのもの以上に「自分には何の説明もなかった」という不満が残る場合があります。

誰を後継者候補にするのか、なぜその人なのか、株式をどうするのか、他の相続人には何を残すのかを段階的に整理します。

現経営者の退任後の役割を先に決める

親族内承継では、代表交代後も前経営者が会長や相談役として会社に残ることがあります。

経験を生かして後継者を支えること自体は問題ありません。ただし、従業員が何でも前経営者へ確認する状態が続けば、後継者に実質的な経営権が移りません。

前経営者は大口取引先の紹介や金融機関との橋渡しなどに役割を絞り、採用、価格交渉、設備投資などの日常的な経営判断をいつから後継者へ任せるか決めておくことが大切です。

親族内承継が向いている会社・向いていない会社

親族内承継に向いているかは、親族に後継者候補がいるかだけでは判断できません。

次の10項目を確認してみてください。


確認項目 はいの場合
1. 後継者候補本人に会社を継ぐ意思がある 親族内承継を検討しやすい
2. 後継者候補が事業に関心を持っている 育成を進めやすい
3. 代表交代まで十分な育成期間がある 段階的な権限移譲がしやすい
4. 後継者が従業員との関係を築けている 社内の理解を得やすい
5. 主要取引先へ後継者を紹介できる 取引関係を引き継ぎやすい
6. 自社株の評価額を把握している 株式移転の方法を比較しやすい
7. 納税や株式取得に必要な資金を検討している 資金不足を早期に把握できる
8. 他の相続人へ配分できる財産がある 家族間の調整をしやすい
9. 借入金と個人保証の状況を把握している 金融機関との協議を始めやすい
10. 現経営者が権限を後継者へ渡す意思がある 実質的な経営交代を進めやすい


「はい」が多いほど親族内承継を進めやすい条件がそろっていますが、数だけで決めるものではありません。

特に重要なのは、後継者本人の意思です。ほかの条件がそろっていても、本人が望んでいなければ無理に承継させるべきではありません。

反対に、後継者に強い意思があっても、自社株の税負担や個人保証、家族間の対立が大きければ、それらの問題を解決できるか確認してから進めます。

親族内承継・従業員承継・M&Aを比較する

親族内承継が難しいからといって、すぐに廃業を選ぶ必要はありません。社内の役員や従業員へ引き継ぐ方法や、M&Aによって第三者へ承継する方法があります。


比較項目 親族内承継 従業員承継 第三者承継(M&A)
後継者 子どもなどの親族 役員・従業員 外部の企業・個人など
経営の継続性 理念や創業家の考えを引き継ぎやすい 既存の事業を理解している人へ引き継ぎやすい 買い手によって経営方針が変わる場合がある
後継者育成 長期間かけて行える場合がある 社内での経験を生かせる 原則として親族・従業員を後継者として育成する必要はない
株式取得資金 株式譲渡なら後継者の資金が必要 株式取得資金が課題になりやすい 買い手が株式等の対価を支払う
税金 贈与・相続・譲渡など方法によって異なる 株式取得方法などによって異なる 取引方法などによって異なる
個人保証 金融機関との調整が必要 金融機関との調整が必要 解除・変更の条件を取引時に確認する
主な判断ポイント 本人の意思、育成、税金、家族関係 経営能力、株式取得資金、保証 買い手、譲渡条件、従業員の処遇など


どの方法にもメリットと課題があります。

社内に優秀な幹部がいる場合は、従業員承継も候補になります。ただし、会社を理解していても、株式を取得する資金や個人保証が問題になる場合があります。

親族にも社内にも適切な後継者がいない場合は、M&Aによる第三者承継も選択肢です。株式譲渡などによって会社を第三者へ引き継げれば、事業や雇用を継続できる可能性があります。

後継者候補が親族にいる場合でも、他の承継方法を知っておく意味があります。比較することで、親族内承継で解決すべき問題が明確になるためです。

親族内承継では自社株と税金を早めに確認する

親族内承継で税務上特に重要になるのが、自社株を誰に、いつ、どの方法で移すかです。

主な方法には、生前贈与、相続、株式譲渡があります。

生前贈与

生前贈与は、現経営者が生きている間に自社株を後継者へ贈与する方法です。

代表交代より前から株式を移せるため、経営権の移行を計画しやすい一方、自社株の評価額によっては贈与税が問題になります。

贈与税には暦年課税と相続時精算課税があります。2024年1月1日以後の贈与では、相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が設けられています。

また、相続時精算課税を選択した特定の贈与者から受けるその後の贈与については、暦年課税へ変更できません。単年度の税額だけではなく、将来の相続まで含めて検討する必要があります。


出典:国税庁「参考 相続時精算課税制度のあらまし」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103_sankou.htm

令和8年4月1日現在法令等

相続

相続では、現経営者が亡くなったときに自社株が相続人へ移ります。

後継者が株式の購入代金を用意する必要はありませんが、対策をしないまま相続が発生すると、株式が複数の相続人へ分散する可能性があります。

経営権を安定させるために後継者へ株式を集中させるのであれば、遺言や他の相続財産の配分なども検討します。

株式譲渡

株式譲渡では、後継者が現経営者から自社株を買い取ります。

売買代金を支払うため、他の相続人に対して財産移転の理由を説明しやすい面があります。一方で、後継者には株式を取得する資金が必要です。

現経営者側には譲渡益に対する税金も関係するため、株価だけでなく、納税後にどれだけ資金が残るかまで確認します。

事業承継信託や種類株式を検討する場合

家族構成や株式の保有状況によっては、事業承継信託や種類株式を検討することもあります。

事業承継信託は、株式などを信託の仕組みで管理し、将来の承継先や権利の扱いを設計する方法です。種類株式は、議決権や配当などについて普通株式とは異なる内容を設定した株式です。

ただし、会社法や税務上の検討が必要になるため、「便利そうだから」という理由だけで導入するものではありません。現在の株主構成と家族関係を整理したうえで判断します。

事業承継税制を使うなら期限と要件を確認する

自社株の贈与税・相続税が大きな負担になる場合は、法人版事業承継税制を検討することがあります。

法人版事業承継税制とは、一定の要件を満たして非上場会社の株式等を後継者が贈与または相続等で取得した場合に、その株式等に対応する贈与税・相続税の納税を猶予し、一定の場合に免除する制度です。

特例措置では、対象となる非上場株式等について贈与税・相続税とも納税猶予割合は100%です。一方、一般措置では贈与税が100%、相続税が80%で、対象株式数にも違いがあります。

2026年10月1日時点で国税庁が案内している特例措置では、特例承継計画の提出期間は2027年9月30日まで、対象となる贈与・相続等の期間は2027年12月31日までです。


項目 特例措置 一般措置
事前の計画 特例承継計画の提出が必要 不要
対象株式数 全株式 総株式数の最大3分の2
納税猶予割合 贈与税100%・相続税100% 贈与税100%・相続税80%
特例措置の期限 対象となる贈与・相続等は2027年12月31日まで 期限なし


出典:国税庁「No.4148 非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除の特例等(法人版事業承継税制)」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4148.htm

令和8年4月1日現在法令等


出典:国税庁「No.4439 非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例等(法人版事業承継税制)」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4439.htm

令和8年4月1日現在法令等


注意したいのは、「納税猶予」と「最初から税金がかからないこと」は同じではない点です。

制度の適用後も一定の要件があり、要件から外れた場合などには猶予されていた税額の納付が必要になることがあります。

そのため、「税金を減らせそうだから使う」と決めるのではなく、後継者が承継後も会社を経営していく計画を踏まえて判断することが大切です。

親族内承継を進める前に確認する順番

親族内承継を検討するときは、いきなり株式を贈与するのではなく、会社、人、株式、家族、金融機関の順に問題を見えるようにすると整理しやすくなります。

まず、決算書、借入金、役員借入金、事業に使っていない資産、株主名簿などを確認し、会社の現状を整理します。

次に、後継者候補へ会社を継ぐ意思があるか確認します。本人に配偶者がいる場合は、生活への影響や個人保証なども含めて理解してもらう必要があります。

その後、自社株を評価し、生前贈与、相続、株式譲渡などの方法を比較します。現在の株価だけでなく、今後の業績によって評価額が変わる可能性も考えます。

さらに、他の相続人との関係を整理します。誰が会社を継ぐのか、自社株を誰に集めるのか、会社を継がない相続人にはどの財産を残すのかを検討します。

最後に、代表交代の時期、後継者育成、自社株の移転、税金、個人保証、前経営者の退任後の役割などを事業承継計画として整理します。

中小企業庁も、親族内承継について、経営状況や承継課題の把握、関係者の理解、後継者育成などを円滑な引継ぎのための要素として案内しています。


出典:中小企業庁「事業承継を実施する」

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/implement_business_succession.html

2026年10月1日確認

親族内承継だけに固執しないことも大切

親族内承継は、家族に会社を残したい経営者にとって有力な方法です。しかし、親族へ承継すること自体が目的になってしまうと、後継者本人や会社に無理が生じる場合があります。

後継者本人に意思がない、育成する時間が足りない、自社株の取得や税負担が重い、個人保証の問題が大きい、家族内の対立を解決できないといった場合は、従業員承継やM&Aも並行して検討します。

大切なのは、「親族に継がせるか、継がせないか」だけで考えることではありません。

会社の事業、従業員、取引先、技術、信用などを将来へ残すために、誰への承継が現実的なのかという視点で判断することが重要です。

まとめ

親族内承継には、経営理念や取引関係を引き継ぎやすく、時間をかけて後継者を育成できるメリットがあります。一方で、後継者の力量、自社株の税負担、他の相続人との公平性、個人保証などが問題になることがあります。まず後継者本人の意思を確認し、自社株の評価、借入金、家族関係まで整理したうえで、親族内承継が自社に適しているか判断しましょう。難しい課題が残る場合は、親族内だけに限定せず、従業員承継やM&Aも比較して、会社を将来へ残せる方法を検討することが大切です。

著者:竹川 満 マネージャー / M&Aアドバイザー 

野村證券にて、法人・個人富裕層の資産運用を支援した後、本社企画部署では全支店の営業支援・全国の顧客の運用支援、新商品の導入等に携わる。みつきグループでは、教育機関・介護施設等へのM&Aを含む経営支援に従事

編集:M&A事業承継アドバイザーズ 編集部|運営:みつき税理士法人