事業譲渡における債務承継の方法や手続について詳しく解説します。債権者の同意や債務引受契約の締結など、重要なポイントを押さえて、スムーズな事業譲渡を実現しましょう。
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事業譲渡において、債権・債務の承継は重要な課題となります。事業譲渡契約により、売り手(対象会社)から買い手に対して、債権・債務を移転させることは当事者間では可能です。しかし、第三者との関係では、債務の引継ぎや債権の譲渡は、それぞれ債務引受契約や債権譲渡契約を締結することで行われます。
債務の引継ぎには、以下の2種類があります:
1. 免責的債務引受:債務を引き受ける側(譲受)のみが新たな債務者となり、元々の債務者であった側(譲渡)が 債務から解放される仕組みです。
2. 併存的債務引受(重畳的債務引受):元の債務者(譲渡)と引き受ける側(譲受)が連帯して債務を負担します。
債権の引き継ぎには、債務引受契約の締結と、債権者からの個別同意が必要となります。そのため、債務引き受けの際は債権者に承諾を得ることが求められます。事業譲渡案件において債権者の存在はディールブレイカーとなる可能性があるため、早期の確認が必要です。
▶目次ページ:M&Aの種類・方法(事業譲渡)
事業譲渡、株式譲渡、会社分割は、それぞれ債権・債務の移転に関して異なる特徴を持っています。
1. 事業譲渡
2. 株式譲渡
3. 会社分割
税金面でも違いがあります。事業譲渡は消費税・不動産取得税が課税されますが、会社分割では、消費税が非課税、不動産取得税が課税または条件次第で非課税となります。
事業譲渡における債務の承継には、いくつかの重要なポイントがあります。
1. 債務の自動承継はない
2. 債務引受契約の必要性
3. 事業譲渡契約書への記載
4. 債務引受のタイプ a. 免責的債務引受
5. 債権者の同意の重要性
6. 債権者の存在の確認
事業譲渡における債権・債務の承継には、債権者の同意や債務引受契約の締結など、複雑な手続が必要です。事業譲渡契約自体では債権・債務が引き継がれないため、適切な契約と手続を行うことが重要です。債務の承継には債権者との交渉が必要であり、専門性の高い内容となるため、経験豊富なアドバイザーのサポートを受けることが望ましいでしょう。
著者|土屋 賢治 マネージャー
大手住宅メーカーにて用地の取得・開発業務、法人営業に従事。その後、総合商社の鉄鋼部門にて国内外の流通に携わる傍ら、鉄鋼メーカーの事業再生に携わる。外資系大手金融機関を経て、みつきグループに参画