M&Aにおける会社法の役割:手続から特別委員会まで解説

M&Aにおける会社法の役割を徹底解説。各スキームの法的枠組み、関連法規、特別委員会の重要性まで、M&A実務に必要な法的知識をわかりやすく解説します。

目次

  1. 会社法の基本と構成
  2. M&Aにおける会社法の適用場面
  3. 会社法から見るM&Aスキーム
  4. M&Aに関連するその他の法律
  5. M&Aにおける特別委員会の役割
  6. M&A実行におけるコンサルティング会社の機能
  7. まとめ

▶目次ページ:M&Aの種類・方法(のれん、法務)

会社法の基本と構成

会社法は、企業の設立、運営、資金調達、解散などに関する基本的なルールを定めた法律です。2005年に制定され、2006年に施行されました。その後、数回の改正を経て、最新の改正は2023年6月に行われています。

会社法は、企業活動の根幹を支える重要な法律であり、M&A(合併・買収)においても大きな役割を果たします。M&Aを円滑に進めるためには、会社法の基本的な構成と内容を理解しておくことが不可欠です。

8つの条文構造で構成される会社法

会社法は、8つの編から構成されています。各編の内容は以下の通りです:

1. 第1編:総則(第1~24条)

2. 第2編:株式会社(第25~574条)

3. 第3編:持分会社(第575~675条)

4. 第4編:社債(第676~742条)

5. 第5編:組織変更、合併、会社分割、株式交換および株式移転(第743~816条)

6. 第6編:外国会社(第817~823条)

7. 第7編:雑則(第824~959条)

8. 第8編:罰則(第960~979条)

M&Aに特に関連が深いのは、第1編、第2編、第5編です。第1編では会社法の目的や基本概念が定められており、第2編では株式会社に関する詳細な規定が設けられています。第5編は、M&Aの主要な手法である合併や会社分割などの組織再編行為について規定しています。

会社法で定められる主な犯罪

会社法では、企業活動の健全性を確保するために、いくつかの犯罪行為とその罰則を定めています。
主な犯罪と罰則は以下の通りです:

これらの規定は、M&Aを含む企業活動全般において、法令遵守の重要性を示しています。

特別背任罪(第960961条)

発起人、取締役、支配人、検査役、代表債権者、決議執行者などによる背任行為

10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方 (代表債権者、決議執行者の場合は、5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方)

株式などに関する不正行為(第964966条)

虚偽文書の行使、株式の発行における預合い、株式の超過発行

5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方

贈収賄罪(第967条)

取締役、会計参与、監査役、執行役などが不正の請託を受けて行った財産上の利益の収受(収賄)、供与、申し込み、約束(贈賄)

収賄は5年以下の懲役または500万円以下の罰金、贈賄は3年以下の懲役または300万円以下の罰金

商法から会社法へ:改正の経緯

会社法は、それまで商法や有限会社法などに分散していた会社に関する規定を一本化し、現代の企業活動に適した法体系を構築するために制定されました。

2006年の施行以降、会社法は以下のような主要な改正を経ています:

1. 2014年改正:社外取締役や社外監査役の要件見直しなどが行われました。

2. 2021年改正:株主総会での提案議案数に制限が設けられました。

これらの改正は、コーポレートガバナンスの強化や株主の権利保護など、企業を取り巻く環境の変化に対応するものです。

会社法の目的は、会社、株主、取締役、第三者の利益を適切に調整することにあります。M&Aを検討する際には、この基本的な目的を踏まえつつ、具体的な法規定に基づいて手続を進めることが重要です。

M&Aにおける会社法の適用場面

M&A(合併・買収)のプロセスでは、会社法が様々な場面で適用されます。会社法の規定を正しく理解し、適切に対応することが、M&Aを円滑に進める上で非常に重要です。ここでは、M&Aの主要な段階ごとに、会社法がどのように関わってくるかを見ていきます。

M&A交渉時の会社法の役割

M&Aの交渉段階では、会社法の知識が重要な役割を果たします。特に、株式譲渡を伴うM&Aの場合、以下の点に注意が必要です:

1. 株主の権利:会社法では、株式の取得によって得られる権利が明確に定められています。売り手と買い手の双方
   が、これらの権利を十分に理解した上で交渉を進めることが重要です。

2. 株式譲渡の制限:会社法第107条では、定款で株式の譲渡制限を設けることができると規定しています。M&A交渉
   の際には、対象会社の定款を確認し、株式譲渡に制限がないかを確認する必要があります。

3. 株主総会の承認:大規模なM&Aの場合、会社法第467条に基づき、株主総会の特別決議による承認が必要となる場
   合があります。この点を考慮して交渉のスケジュールを立てることが重要です。

M&Aスキーム検討と会社法

M&Aのスキームを検討する際には、各スキームに関連する会社法の規定を理解し、適切な手続を踏む必要があります。
主なM&Aスキームと関連する会社法の規定は以下の通りです:

1. 株式譲渡:会社法第127条~第154条

2. 事業譲渡:会社法第467条~第470条

3. 合併:会社法第748条~第801条

4. 会社分割:会社法第757条~第774条

5. 株式交換・株式移転:会社法第767条~第816条

各スキームによって必要な手続や株主保護の規定が異なるため、スキームの選択時には会社法の規定を十分に検討する必要があります。

デューデリジェンスにおける会社法の重要性

デューデリジェンス(買収監査・企業調査)の段階では、対象会社が会社法に則った適切な会社運営を行っているかをチェックすることが重要です。主な確認ポイントは以下の通りです:

1. 定款の内容:会社法第29条に基づく必要的記載事項が適切に記載されているか

2. 株主総会・取締役会の運営:会社法第295条~第326条に則った適切な運営がなされているか

3. 計算書類の作成・保存:会社法第431条~第444条に基づく適切な会計処理がなされているか

4. 利益相反取引:会社法第356条に基づく適切な手続がとられているか

これらの点を会社法の規定に照らして確認し、法的リスクの有無を吟味することがデューデリジェンスの重要な役割となります。

契約締結とクロージング時の法的手続

M&A契約の締結からクロージングまでの過程でも、会社法に基づいた適切な手続が必要です。主な手続は以下の通りです:

1. 取締役会決議:会社法第362条に基づき、M&A契約の締結には取締役会の承認が必要です。

2. 株主総会決議:事業の重要な一部の譲渡など、会社法第467条に該当する場合は株主総会の特別決議が必要です。

3. 株式譲渡の承認:会社法第136条に基づき、譲渡制限株式の場合は取締役会または株主総会の承認が必要です。

4. 株主名簿の書換:会社法第130条に基づき、株式譲渡後は株主名簿の書換が必要です。

これらの手続を適切に行うことで、M&Aの法的安定性が確保されます。

PMIにおける会社法の適用

PMI(Post Merger Integration:M&A後の統合プロセス)の段階でも、会社法の規定に注意を払う必要があります。
特に以下の点が重要です:

1. 組織再編:合併や会社分割を伴うPMIの場合、会社法第5編の規定に基づいた手続が必要です。

2. 取締役の選任:会社法第329条に基づき、新体制における取締役の選任を適切に行う必要があります。

3. 定款変更:会社法第466条に基づき、必要に応じて定款の変更を行います。

4. 労働契約の承継:会社分割を伴う場合、会社法第759条に基づく労働契約の承継に関する手続が必要です。

これらの点に留意し、会社法に則った適切なPMIを行うことで、M&A後の円滑な統合が可能となります。

以上のように、M&Aのプロセス全体を通じて会社法が深く関わっています。M&Aを成功させるためには、各段階で適用される会社法の規定を正確に理解し、適切に対応することが不可欠です。

会社法から見るM&Aスキーム

M&Aには様々なスキームがありますが、それぞれのスキームに対して会社法は異なる規定を設けています。ここでは、主要なM&Aスキームについて、会社法の観点から解説します。

株式譲渡と関連法規

株式譲渡は、M&Aの中で最も一般的に用いられるスキームの一つです。会社法上、株式の譲渡は原則として自由に行うことができます。

1. 法的根拠: 

 o 会社法第127条~第154条:株式譲渡に関する基本的な規定

 o 会社法第107条1項1号、2項1号:譲渡制限株式に関する規定

 o 会社法第108条1項4号、4項4号:種類株式に関する規定

 o 会社法第122条~第126条:株主名簿に関する規定

2. 主な手続: 

 o 株式譲渡承認の請求(譲渡制限株式の場合)

 o 取締役会または株主総会における承認

 o 株式譲渡の承認通知

 o 株主名簿の書換

3. 留意点: 

 o 譲渡制限株式の場合、定款の規定に基づいて会社の承認が必要です。

 o 上場会社の株式取得で一定の基準を超える場合、金融商品取引法に基づく手続も必要となります。

株式譲渡は、会社の法人格を変更せずに支配権を移転できるため、柔軟性の高いM&Aスキームとして活用されています。

事業譲渡に係る法的手続

事業譲渡は、会社の事業の全部または一部を他の会社に譲渡するM&Aスキームです。会社法では、事業譲渡に関する具体的な定義は設けられていませんが、重要な手続が規定されています。

1. 法的根拠: 

 o 会社法第467条~第470条:事業譲渡に関する規定

2. 主な手続: 

 o 株主総会における事業譲渡契約書の承認(重要な一部の譲渡の場合)

 o 株式買取請求に係る株主への通知・公告

3. 留意点: 

 o 「事業の重要な一部の譲渡」に該当する場合、株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席
   し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成)が必要です。

 o 何が「重要な一部」に該当するかは、個別の状況により判断されます。一般的には、譲渡対象の売上高や資産が会
   社全体の20%を超える場合などが該当するとされています。

事業譲渡は、特定の事業や資産のみを切り出して譲渡できるため、柔軟な事業再編が可能なM&Aスキームとして活用されています。

組織再編行為の法的枠組み

組織再編行為は、会社の組織構造を変更するM&Aスキームです。会社法第5編で詳細に規定されており、主に以下の4つの形態があります。

1. 合併

2. 会社分割

3. 株式交換

4. 株式移転

5. 法的根拠: 

 o 会社法第2条27号~32号:組織再編行為の定義

 o 会社法第743条~第816条:各組織再編行為の手続

6. 主な手続: 

 o 組織再編計画や契約の作成

 o 事前開示書類の備置

 o 株主総会決議(原則として特別決議)

 o 反対株主の株式買取請求への対応

 o 債権者保護手続(異議申述期間の設定など)

7. 留意点: 

 o 合併では、新設合併と吸収合併の2種類があります。

 o 会社分割では、新設分割と吸収分割の2種類があります。

 o 株式交換と株式移転は、完全親子会社関係を創設するために用いられます。

 o 各組織再編行為には、略式手続や簡易手続が設けられており、一定の条件下では株主総会決議を省略できる場合が
   あります。

組織再編行為は、会社の基本的な構造を変更するため、会社法上最も詳細な規定が設けられています。株主や債権者の保護に配慮しつつ、効率的な組織再編を可能にする枠組みとなっています。

以上のように、各M&Aスキームには会社法上の異なる規定が適用されます。M&Aを検討する際には、目的や状況に応じて適切なスキームを選択し、それぞれに必要な法的手続を遵守することが重要です。会社法の規定を正確に理解し、適切に対応することで、法的リスクを最小限に抑えつつ、効果的なM&Aを実現することができます。

M&Aに関連するその他の法律

M&Aを実行する際には、会社法だけでなく、様々な関連法規を考慮する必要があります。これらの法律は、M&Aの手続や結果に大きな影響を与える可能性があるため、十分な理解と適切な対応が求められます。以下、M&Aに関連する主要な法律について解説します。

労働契約承継法の重要性

労働契約承継法(正式名称:会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律)は、会社分割の際に従業員の権利を保護するための法律です。

1. 適用場面: 

 o 会社分割によるM&Aを行う場合

2. 主な規定: 

 o 分割会社は、承継される事業に主として従事する労働者に対し、会社分割に関する情報を通知し、協議する義務が
   あります。

 o 労働者は、一定の条件下で、労働契約の承継を拒否できます。

3. 留意点: 

 o 従業員の同意なく労働条件を不利益に変更することはできません。

 o 会社分割の形式的な利用による労働条件の不利益変更は、濫用として無効となる可能性があります。

労働契約承継法を遵守することで、M&A後の労働紛争リスクを低減し、円滑な事業統合を実現することができます。

独占禁止法とM&A

独占禁止法(正式名称:私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)は、公正かつ自由な競争を促進することを目的とした法律で、一定規模以上のM&Aに適用されます。

1. 適用場面: 

 o 一定規模以上の会社の株式取得、合併、会社分割、事業譲渡等

2. 主な規定: 

 o 事前届出制度:一定の基準を満たすM&Aは、実行前に公正取引委員会に届け出る必要があります。

 o 待機期間:原則として届出受理から30日間は、M&Aを実行できません。

3. 留意点: 

 o 届出基準や審査の詳細は、公正取引委員会のガイドラインを参照する必要があります。

 o 競争を実質的に制限することとなる場合、M&Aが禁止される可能性があります。

独占禁止法への対応は、M&Aの実現可能性や時期に大きな影響を与える可能性があるため、早期の段階から検討が必要です。

金融商品取引法の適用

金融商品取引法は、主に上場会社のM&Aに適用される法律です。投資家保護や公正な取引の確保を目的としています。

1. 適用場面: 

 o 上場会社を対象とするM&A

 o 公開買付け(TOB)を利用するM&A

2. 主な規定: 

 o 公開買付け制度:一定の場合に、公開買付けによる株式取得が義務付けられます。

 o 大量保有報告制度:上場会社の株式を5%超保有することとなった場合、報告が必要です。

 o インサイダー取引規制:未公表の重要情報を利用した取引が禁止されています。

3. 留意点: 

 o 公開買付けには、厳格な手続や情報開示が求められます。

 o M&Aに関する情報の管理や開示のタイミングに注意が必要です。

金融商品取引法は、M&Aの公正性や透明性を確保する重要な役割を果たしています。

法人税法の考慮点

M&Aには様々な税務上の影響があり、法人税法の理解が重要です。

1. 適用場面: 

 o すべてのM&A取引

2. 主な規定: 

 o 適格組織再編税制:一定の要件を満たす組織再編では、課税の繰り延べが認められます。

 o みなし配当課税:自己株式取得などの際に、一定の金額が配当とみなされ課税されます。

 o 繰越欠損金の引継ぎ:合併等で被合併法人の繰越欠損金を引き継げる場合があります。

3. 留意点: 

 o 税務上の取扱いはM&Aのスキームや条件によって大きく異なります。

 o 税法は頻繁に改正されるため、最新の情報を確認する必要があります。

M&Aの税務面での最適化は、取引の経済的メリットに大きな影響を与えるため、専門家との綿密な協議が重要です。

業種別の許認可関連法

M&Aの対象企業が特定の業種に属する場合、その業種特有の許認可や規制に関する法律を考慮する必要があります。

1. 適用場面: 

 o 許認可事業を営む企業のM&A

2. 主な例: 

 o 銀行業:銀行法

 o 保険業:保険業法

 o 建設業:建設業法

 o 医療・介護事業:医療法、介護保険法

3. 留意点: 

 o 許認可の承継や再取得が必要な場合があります。

 o 外資規制のある業種では、外国企業によるM&Aに制限がかかる可能性があります。

業種特有の法規制は、M&Aの実行可能性や手続に大きな影響を与える可能性があるため、早期の段階で確認が必要です。

以上のように、M&Aには会社法以外にも多くの法律が関係しています。これらの法律を総合的に理解し、適切に対応することで、法的リスクを最小限に抑えつつ、効果的なM&Aを実現することができます。複雑な法的要件を満たすためには、各分野の専門家との連携が不可欠であり、慎重かつ戦略的なアプローチが求められます。

M&Aにおける特別委員会の役割

M&Aにおいて、特別委員会(独立委員会や第三者委員会とも呼ばれます)の設置は、取引の公正性を確保するための重要な手段となっています。特別委員会は会社法で明確に義務付けられているわけではありませんが、近年の実務では重要性が高まっています。

特別委員会は、独立した立場から M&A 取引の是非を検討し、少数株主の利益保護や取引の公正性確保を図る役割を担います。主に、利益相反の可能性がある M&A 取引において設置されます。

特別委員会設置の意義

特別委員会の設置には、以下のような意義があります:

1. 利益相反の回避: 

 o 特に支配株主による従属会社の買収(MBO等)の場合、利益相反のリスクが高くなります。

 o 独立した立場の委員による検討により、利益相反の問題を緩和できます。

2. 少数株主の利益保護: 

 o 特別委員会が取引条件の妥当性を検討することで、少数株主の利益が不当に害されることを防ぎます。

3. 取締役の善管注意義務の履行: 

 o 特別委員会の意見を尊重することで、取締役が善管注意義務を果たしたことの証左となります。

4. 訴訟リスクの低減: 

 o 適切な特別委員会の設置と運営は、M&A後の株主代表訴訟等のリスクを低減する効果があります。

5. 取引の透明性・客観性の向上: 

 o 第三者による検討プロセスを経ることで、M&A取引の透明性と客観性が高まります。

特別委員会の設置は法的に義務付けられてはいませんが、2019年6月28日に経済産業省が公表した「公正なM&Aの在り方に関する指針」においても、その重要性が強調されています。

特別委員会を効果的に機能させるためには、以下の点に留意する必要があります:

1. 独立性の確保: 

 o 委員は、M&A取引の当事者から独立した者(独立社外取締役や外部専門家など)で構成されるべきです。

2. 早期の設置: 

 o M&A検討の初期段階から特別委員会を設置し、交渉プロセス全体に関与させることが望ましいです。

3. 実質的な権限付与: 

 o 特別委員会に対して、取引条件の交渉や代替案の検討など、実質的な権限を付与することが重要です。

4. 十分な情報提供: 

 o 特別委員会が適切な判断を行えるよう、必要な情報を十分に提供する必要があります。

5. 専門家の活用: 

 o 必要に応じて、特別委員会が独自の財務・法務アドバイザーを選任できるようにすべきです。

6. 特別委員会の意見の尊重: 

 o 取締役会は、特別委員会の意見を最大限尊重すべきです。

特別委員会の適切な設置と運営は、M&A取引の公正性を高め、株主や市場からの信頼を得るために重要な役割を果たします。ただし、形式的な設置にとどまらず、実質的に機能する特別委員会とすることが肝要です。

M&A実行におけるコンサルティング会社の機能

M&Aは複雑なプロセスを伴う取引であり、多岐にわたる専門知識が必要となります。そのため、M&Aの実行にあたっては、コンサルティング会社の支援を受けることが一般的です。コンサルティング会社は、M&Aの各段階で重要な役割を果たします。

1. 戦略立案段階: 

 o M&Aの目的明確化支援

 o 市場分析と候補先の選定

 o バリュエーション(企業価値評価)

2. 交渉段階: 

 o 初期的な接触と交渉の支援

 o デューデリジェンスの実施と調整

 o 取引ストラクチャーの提案

3. 実行段階: 

 o 契約書作成支援

 o クロージングに向けた各種手続の調整

 o 規制当局への対応支援

4. PMI(Post Merger Integration)段階: 

 o 統合計画の策定支援

 o シナジー効果の実現に向けたアドバイス

 o 組織・人事面での統合支援

コンサルティング会社は、これらの各段階において、法務、財務、税務、人事など多岐にわたる専門知識を提供し、M&Aの成功確率を高める役割を果たします。特に中小企業のM&Aでは、社内にM&Aの専門知識やリソースが不足していることが多いため、コンサルティング会社の支援が重要となります。

M&Aに関する法律は複雑で、かつ頻繁に改正されるため、最新の法改正や判例の動向を踏まえた専門的なアドバイスが不可欠です。コンサルティング会社は、これらの最新情報を踏まえた適切なアドバイスを提供し、法的リスクを軽減します。

まとめ

M&Aと会社法は密接に関連しており、M&Aの各段階で会社法の規定を適切に理解し、遵守することが重要です。また、会社法以外にも労働契約承継法、独占禁止法、金融商品取引法、法人税法など、様々な法律がM&Aに関係しています。これらの法律を総合的に理解し、適切に対応することで、法的リスクを最小限に抑えつつ、効果的なM&Aを実現することができます。特別委員会の設置やコンサルティング会社の活用は、M&Aの公正性と成功確率を高める重要な手段となります。M&Aを検討する際は、これらの点を十分に考慮し、専門家のサポートを受けながら慎重に進めることが肝要です。

著者|土屋 賢治 マネージャー

大手住宅メーカーにて用地の取得・開発業務、法人営業に従事。その後、総合商社の鉄鋼部門にて国内外の流通に携わる傍ら、鉄鋼メーカーの事業再生に携わる。外資系大手金融機関を経て、みつきグループに参画

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