【M&A提案書】作成のポイントと失敗例を徹底解説!成功への近道

M&A提案書の種類や作成方法について詳しく解説します。企業概要書(IM)と提携提案書の違いや、それぞれの作成ポイント、よくある失敗例などを紹介。M&Aを成功に導くための提案書作成のコツをお伝えします。

目次

  1. M&A提案書の基本概念
  2. 売り手が作成する企業概要書(IM)のポイント
  3. 買い手が作成する提携提案書のコツ
  4. まとめ

M&A提案書の基本概念

M&A(合併・買収)を成功に導くためには、適切な提案書の作成が不可欠です。M&A提案書は、企業間の情報交換を円滑に進め、シナジー効果の高い取引を実現するための重要なツールです。

M&A提案書は、取引の当事者間でやり取りされる文書で、企業の詳細情報や取引の目的、期待される効果などを明確に伝えるものです。適切に作成された提案書は、M&Aプロセスを効率化し、双方の企業にとって有益な取引を促進します。

M&A提案書の主な種類

M&A提案書には主に2種類あります。

1. 企業概要書(IM:インフォメーション・メモランダム) 

 o 売り手が作成し、買い手に提供する文書

 o 売り手の詳細な情報を含む

2. 提携提案書 

 o 買い手が作成し、売り手に提出する文書

 o M&Aの提案内容や期待される効果を説明する

これらの提案書は、M&Aプロセスの異なる段階で使用され、それぞれ重要な役割を果たします。適切に作成された提案書は、取引の成功確率を高め、スムーズな交渉を可能にします。

売り手が作成する企業概要書(IM)のポイント

企業概要書(IM)は、売り手の詳細情報を買い手に伝えるための重要な文書です。適切に作成されたIMは、買い手の意思決定を助け、M&Aプロセスを円滑に進めるのに役立ちます。

企業概要書(IM)作成の手順

企業概要書(IM)を作成する際は、以下の手順を踏むことが重要です。

1. 秘密保持契約の締結

2. 情報収集と業界調査の実施

3. 概算の企業価値評価

4. IMの作成

IMを作成する上で重要なポイントは以下の3点です。

売り手の業界分析を徹底的に行う

売り手の情報資料を十分に収集する

売り手の情報をわかりやすくまとめる

これらのポイントを押さえることで、買い手にとって魅力的で、検討しやすいIMを作成することができます。

企業概要書(IM)に含めるべき主要内容

効果的な企業概要書(IM)には、以下の主要項目を含めるべきです。

1. 企業概要 

 o 企業名、住所、代表者名、従業員数

 o 会社の沿革

 o 保有する知的財産情報

2. 事業内容 

 o 開発・製造する商品・サービスの詳細

 o 主要取引先と取引の流れ

 o 企業のコアコンピタンス(中核的競争力)

3. 財務状況 

 o 損益計算書と貸借対照表

 o 金融機関からの借入状況と返済状況

 o 簿外資産・負債の有無

 o 所有資産の時価評価を反映した時価純資産

4. M&Aによる譲渡理由 

 o 譲渡を検討するに至った経緯と理由

 o 譲渡のタイミングについての説明

5. 将来の事業計画 

 o 現在進行中の事業計画の概要

 o 今後の成長戦略や展望

これらの情報を適切に盛り込むことで、買い手は企業の価値を正確に評価し、M&Aの検討を効率的に進めることができます。また、想定される株式価値や事業価値をIMに含めることで、買い手の反応を早期に把握し、その後のプロセスをスムーズに進行させることも可能です。

買い手が作成する提携提案書のコツ

提携提案書は、買い手が売り手に対してM&Aを提案するための重要な文書です。効果的な提携提案書を作成することで、売り手の関心を引き、交渉を有利に進めることができます。

提携提案書作成の手順

提携提案書を作成する際は、以下の手順を踏むことが重要です。

1. 秘密保持契約の締結

2. 情報収集と業界調査の実施

3. 売り手の詳細分析

4. 提携提案書の作成

提携提案書を作成する際は、売り手が提携を検討するために必要な情報を漏れなく記載することが重要です。

提携提案書に盛り込むべき主な内容

効果的な提携提案書には、以下の主要項目を含めるべきです。

1. 企業概要 

 o 経営理念や経営方針

 o 買い手の資金力、営業基盤、経営ノウハウ

2. M&Aの提案理由 

 o 具体的な提案理由と譲受の根拠

 o 売り手の希少性や必要性の説明

3. M&Aの戦略目標 

 o 事業買収後の戦略

 o 想定されるシナジー効果

4. M&A実施後の売り手の位置づけ 

 o 売り手のグループ内での役割

 o 想定される営業体制の変更点

これらの情報を適切に盛り込むことで、売り手に対して魅力的な提案を行うことができます。特に、買い手でなければ実現できないようなシナジー効果を提示することで、売り手の前向きな検討を促すことができます。

提携提案書作成時の失敗例

提携提案書作成時によくある失敗例として、以下のようなケースがあります。

M&Aの目的が不明確な提案書になってしまう

戦略的な目的やM&A後の売り手の位置づけが欠落している

売り手の情報収集が不十分で、十分な分析ができていない

これらの失敗を避けるためには、売り手の情報を十分に収集・分析し、明確な戦略と目的を持って提案書を作成することが重要です。 

まとめ

M&A提案書は、企業間の情報交換と交渉を円滑に進めるための重要なツールです。企業概要書(IM)と提携提案書の2種類があり、それぞれ適切な内容と構成で作成することが重要です。専門家のサポートを受けることで、より効果的な提案書を作成し、M&Aの成功につなげることができます。

著者|竹川 満 マネージャー

野村證券にて、法人・個人富裕層の資産運用を支援した後、本社企画部署では全支店の営業支援・全国の顧客の運用支援、新商品の導入等に携わる。みつきグループでは、教育機関への経営支援等に従事

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