中小企業M&Aで活用するファンドの種類や活用ポイント

ファンドは投資家から集めた資金で企業の成長や事業承継をサポートする仕組みです。本記事では、中小企業のM&Aでファンドを活用する際のメリットやデメリット、事例、留意事項についてわかりやすく解説します。譲渡を検討中のオーナー経営者にも役立つ内容です。

目次

  1. ファンドとは何か
  2. ファンドが譲受企業となる主なタイプ
  3. ファンドに譲渡するメリット
  4. ファンドに譲渡するデメリット
  5. ファンドの投資対象となる企業
  6. ファンドを活用する際の留意事項
  7. 事業承継や再編におけるファンド活用の背景
  8. ファンドへの会社売却事例
  9. まとめ

ファンドとは何か

ファンドとは、投資家から集めた資金を専門家が運用し、利益を追求する仕組みを指します。投資信託などの公募型から、特定の投資家を対象とした私募型までさまざまな形態がありますが、M&Aの世界では未上場企業の株式や事業に投資する「PEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)」や「バイアウトファンド」がとくに注目を集めています。


一般的に、ファンドと呼ばれる組織が企業に譲受を実行する理由は、投資資金を投入して企業価値を高め、その企業を数年後に売却(エグジット)することで利益を獲得するためです。また、ファンドによる支援は単なる資金注入にとどまらず、経営ノウハウの提供や経営陣・従業員とのコミュニケーションを通じた事業成長の加速など、多岐にわたります。


近年は、バイアウトファンドとも呼ばれるファンドが日本国内の事業承継問題を解決する手段として積極的に活用されています。以前は大企業の子会社や大規模な事業を対象とするケースが主流でしたが、現在では中堅中小企業向けの中小規模ファンドも増え、さまざまな企業がファンドの投資対象となる可能性が高まっています。


加えて、ファンドは「企業の経営権を取得する投資家」としてのイメージだけでなく、事業再生や後継者不在への対応など、「企業が抱える課題解決を促進するパートナー」としての位置づけも強めています。

ファンドが譲受企業となる主なタイプ

ファンドとひと口にいっても、その運営方針や得意領域によっていくつかのタイプに分類されます。ここでは、代表的な5つのファンドタイプを整理するとともに、投資対象としての企業にどのように関わるかを概説します。

ベンチャーキャピタル(VC)

ベンチャーキャピタルは、新興ベンチャーやスタートアップなど、成長の可能性が高い企業に投資するファンドです。アーリーステージからエクスパンション期まで、企業の成長段階に応じた資金提供と経営アドバイスを行う点が特徴です。


投資先

革新的な技術やビジネスモデルを持つ企業


支援内容

資金提供、経営戦略立案、人材紹介など


エグジット

IPOや他企業への譲渡


VCの投資はリスクが高い一方、大きな成長が見込めればリターンも大きくなるため、スタートアップの活性化に重要な役割を果たしています。ただし、未上場企業の過半数株式を取得する形の「バイアウト」とは異なるケースが多く、中小企業の事業承継にはあまり用いられません。

バイアウトファンド

狭義のPEファンドとも呼ばれ、企業の過半数株式を取得して経営権を握り、経営の改善や再編を通じて企業価値を高めるファンドです。


投資先

安定した利益を上げている企業や事業承継問題を抱える企業


投資手法

LBO(レバレッジド・バイアウト)やMBO(マネジメント・バイアウト)など


バリューアップ戦略

コスト削減や新規事業の立ち上げ、M&Aによる事業拡大


エグジット

数年後に他の企業やファンドへの売却、あるいはIPO


バイアウトファンドは、後継者不在に悩む中小企業の事業承継手段として近年存在感を増しています。経営陣の刷新だけでなく、既存のオーナー経営者が一定期間残留し、ファンドと協力して企業の価値をさらに高める手法もよく見られます。

企業再生ファンド

経営が悪化した企業を再生し、再び利益体質へと導くことを目的とするファンドです。


投資対象

債務超過や財務が不安定な企業


再生手法

債務整理、不採算事業の切り離し、新規事業の立ち上げなど


経営支援

資金注入、経営人材の派遣、再生計画の策定と実行


エグジット

再生後に売却、もしくは他社との統合


企業再生ファンドの活用は、倒産の危機にある企業にとって最後のチャンスとも言えます。適切なノウハウと資金を投入することで、雇用維持や地域経済への影響を最小限に抑えながら再生を実現できる点が大きなメリットです。

MBOファンド

MBO(マネジメント・バイアウト)とは、企業の経営陣が自らの企業を買い取る手法を指し、これを支援するファンドをMBOファンドと呼びます。


主な目的

オーナー経営者の引退や独立、親会社からの事業切り離しなど


支援内容

買収資金の提供、ガバナンス体制の構築支援、経営戦略策定など


メリット

経営陣が引き続き経営を主導できる、従業員の雇用維持


エグジット

数年後のIPOや戦略的パートナーへの再譲渡


近年は、オーナーの意思を尊重しつつ企業を存続させたいという要望に応え、MBOファンドが大きな注目を集めています。

ディストレスファンド

経営不振や破綻に近い状態にある企業や不良債権に投資し、企業価値の向上を狙う高リスク・高リターン型のファンドです。


投資対象

倒産寸前の企業、金融機関が抱える不良債権など


投資戦略

深刻に割り引かれた株式や債券を購入し、再建を通じて大幅な利益を狙う


リスク

失敗すれば投資額の大半を失う可能性


エグジット

再建後の株式売却、資産売却による債権回収


ディストレスファンドの存在は、一般の投資家が手を出しにくい厳しい状況下の企業に対しても、再生の道を提供する点で大きな意義を持っています。


以上のように、ファンドには多岐にわたるタイプが存在します。どのファンドがどのような企業を対象とし、どのように企業価値を高めるかはファンドの運営方針や投資家の期待、経営陣との相性などによって変わるため、自社の課題や目的に合ったファンドを選ぶことが重要です。

ファンドに譲渡するメリット

中堅中小企業がファンドに会社を譲渡する際には、以下のような多彩なメリットが見込めます。

事業承継問題の解決

後継者不在率が高い中小企業では、ファンドによる譲受が事業承継の有力な選択肢となり得ます。


後継者不在の解消

ファンドが受け皿となることで、企業と従業員の雇用が守られます。


経営ノウハウの導入

ファンドには経営のプロフェッショナルが在籍し、成長戦略を共に描くことができます。


スムーズな経営権移転

オーナー経営者が段階的に退くことも可能で、創業者の想いを引き継ぎながら企業発展を期待できます。

資金調達と企業信用力の向上

ファンドは豊富な資金力を背景に出資を行うため、企業の財務基盤を大きく強化できます。


大規模資金の確保

既存の金融機関融資に依存せず、一度にまとまった資金を手にすることが可能です。


自己資本比率の改善

ファンドからの出資で自己資本比率が向上し、金融機関への信用度が増します。


無形資産の評価

ノウハウや特許といった無形資産を正当に評価してもらえる点が魅力です。

事業拡大と経営ノウハウ獲得

ファンドは、投資先企業が成長しなければ投資リターンを得られません。そのため積極的なサポートを提供します。


事業拡大支援

新規事業の立ち上げやM&Aによる事業ポートフォリオの拡充を後押しします。


販路拡大

ファンドやファンド出資者が持つネットワークを活用し、新規顧客の獲得や海外進出を検討できます。


経営ノウハウの移転

多くの投資経験を持つファンドから学ぶことで、組織管理や数値管理のレベルを高められます。

ファンドの無色透明さ

事業会社への譲渡では、ブランド名や経営方針が大きく変わってしまうことがありますが、ファンドでは中立性が保たれやすいという利点があります。


ブランドイメージの維持

競合企業に譲渡する場合と比べ、既存のブランド価値を損ないにくいです。


経営の自由度

ファンドは重要戦略には関与しますが、日常業務には一定の裁量を残してくれるケースが多いです。


柔軟な出口戦略

ファンドは将来的に別のパートナーへの売却も視野に入れるため、企業がさらなる選択肢を得やすくなります。

経営危機からの脱出

企業再生ファンドやディストレスファンドを活用すれば、財務的・経営的に苦境にある企業も再生を目指すことができます。


緊急資金注入

倒産の危機を回避し、再建策を模索する時間を確保できます。


事業再構築の支援

不採算事業の整理などを通じて、企業の競争力を引き上げるプランを実行できます。


信用回復

ファンドの支援を受けることで金融機関や取引先の信頼を取り戻すきっかけになる場合があります。

ファンドに譲渡するデメリット

ファンドへの譲渡は多くのメリットをもたらす一方で、下記のようなデメリットやリスクも考慮しなければなりません。

人員削減や事業縮小のリスク

ファンドは投資リターンの最大化を追求するため、必要と判断した場合には大胆なコスト削減を行います。


リストラの可能性

収益改善のため、人員削減や部署統合などが推し進められる場合があります。


事業の整理

コア以外の事業を縮小または切り離すことで、従来のサービスや製品をやめざるを得ないことがあります。


従業員モチベーションの低下

リストラ計画が表面化すると、優秀な人材が先に流出してしまうリスクがあります。

企業文化の変化による従業員の離職

ファンドによってもたらされる経営スタイルや評価基準の変化は、従業員にとって大きな戸惑いになることがあります。


経営スタイルの大幅転換

数値管理を中心に業務を進める文化が導入されると、旧来の企業風土と衝突する恐れがあります。


コミュニケーション不足

新経営陣との意思疎通がうまく図れず、不満や不信感が生まれる可能性があります。


評価制度の変化

成果主義が徹底されることで、年功序列を重視してきた組織では軋轢が生じる場合があります。

事業シナジー創出の課題

ファンドは投資家であり、事業会社同士のM&Aのように明確な技術シナジーや販路融合が生まれにくいという面があります。


業界知識の不足

ファンド側が対象業界のノウハウを十分に持たないケースでは、深い革新策を期待しにくいです。


短期的視点

投資期間が3~5年程度と限られている場合、長期的な研究開発や施策を実行する余裕が生まれにくいです。


ファンド側のエグジット前提

将来の売却を意識した経営方針となるため、経営陣が本来のビジョンに注力しづらい可能性もあります。

ファンドの投資対象となる企業

ファンドに企業を譲渡する際は、ファンド側が投資対象と考える企業の特性を理解しておくことが大切です。ファンドは「企業の株式を取得して、その企業価値を高め、最終的に株式を売却して利益を得る」ことを目的としますが、その際にどのような企業が好まれるかは、各ファンドの運用方針や規模などによって異なります。

安定的に利益が出ている企業

多くのファンドは、投資後に企業価値を高めると同時にリスクを最小化するため、すでに安定した利益を上げている企業を好む傾向があります。具体的には次のような特徴が挙げられます。


  • 黒字経営が続いており、主力事業の収益が安定している
  • 今後も事業が拡大する見込みがある
  • 業界内で一定のシェアを獲得している

後継者不在のオーナー企業

日本では中小企業の後継者不在率が高く、円滑な事業承継が大きな課題です。近年、ファンドは事業承継の受け皿として積極的に活用されており、次のようなケースが代表的です。


  • オーナー経営者が高齢化して引退を検討している
  • 社内や親族内に後継者が見つからない
  • ファンドと共同で経営を進めた後、最終的に再度株式を売却する「二段階エグジット」の活用


こうしたオーナー企業に対しては、事業承継と企業価値向上を同時に実現するためのノウハウと資金を提供できる点でファンドが注目されています。

大企業のノンコア事業や子会社

企業グループが本業を強化したい場合、ノンコア領域の子会社や事業部門を売却し、経営資源を集中させることがあります。ファンドはこうしたカーブアウト案件の受け皿となり、独立後の企業が自立運営できるよう体制を整えていきます。


  • ノンコア子会社や事業部の切り出しを受け皿として買収
  • 独立後の事業展開を資金面・経営面でサポート
  • 数年後に別のファンドや事業会社に売却(エグジット)


この手法により、大企業側は収益改善やコア事業への集中が図れ、売却された事業側も自社の強みを活かして成長できる土壌が整いやすくなります。

経営不振や再生が必要な企業

再生ファンドやディストレスファンドは、業績が傾き債務超過に陥りそうな企業に投資して再建を目指します。


  • 債務の整理や金融機関への交渉
  • 不採算事業の切り離し
  • 事業の建て直しや経営陣の再編


リスクは高いものの、立ち直る余地がある企業を安価で取得し、大幅な企業価値向上を狙うのが大きな特徴です。再生が実現すれば、地域経済や雇用の維持にもつながるため、社会的な意義も強い投資形態となっています。

EBITDAがある程度確保できる企業

ファンドの投資規模はさまざまですが、一般的には年商やEBITDA(利払い・税引前利益)が一定以上ある企業を好むケースが多いです。以前は「最低でもEBITDAが数億円ないとファンドの投資対象にならない」と言われることもありましたが、現在ではEBITDAが1億円に満たない中小企業へ投資するファンドも増えており、より幅広い企業が対象となっています。

ファンドを活用する際の留意事項

ファンドへ会社を譲渡する場合、デメリットやリスクを回避しつつメリットを最大化するため、複数のポイントをしっかり確認しておく必要があります。ここでは特に重要な2つの項目を中心に解説します。

ファンドの成長実績と手法の精査

まずは候補となるファンドが過去にどのような企業へ投資し、どのような成功例や失敗例を積み重ねてきたかを調べることが大切です。


過去の投資実績

投資先企業の成長率や事業再編の具体的成果を数値で把握する


専門分野

特定の業界や事業規模に強みを持つファンドかどうかを確認する


成長手法

コスト削減重視、M&Aによる事業拡大重視などの基本方針


投資期間

ファンドにより3~5年、またはもう少し長期を想定しているケースもある


支援体制

経営人材の派遣やマーケティングサポート、人材育成のプログラムなど


これらを総合的に検討することで、単なる「資金提供者」というイメージにとどまらず、自社の実情や目指す方向性に合ったファンドかどうかを判断できます。

適切な承継者と事業の知識の確認

後継者不在企業の場合は、ファンドがどのように経営トップを選ぶのか、既存経営陣とどの程度協力しながらバトンを渡すのかが成否を左右します。


後継社長やキーマンの選定

ファンド側がどのような基準で経営者を選ぶか


業界知識の理解度

経営支援チームや投資担当者が該当業界に詳しいかどうか


組織文化への配慮

従業員のモチベーションを保つためにファンドがどのような施策を講じるか


顧客基盤の継承

既存顧客との関係を維持する方策や、取引条件の変化への対応


承継者候補が経営理念や企業文化を尊重しながら、必要な変革を進める意志と能力を兼ね備えているかを見極めることが重要です。また、技術力を有する企業の場合、ファンド側がその技術的強みに対する理解を深め、適切な投資や事業計画をサポートできるかも重要な判断材料です。

事業承継や再編におけるファンド活用の背景

中堅中小企業のM&A市場でファンドの存在感が高まっている背景には、いくつかの要因があります。

ファンドが増加した要因

過剰流動性の活用

 年金基金や金融機関など、大口投資家が高い利回りを求めてファンドに出資するケースが増えています。日本でも欧米でも、投資マネーの行き場を求める動きは今後も続くと予想されています。


中小規模ファンドの台頭

 かつては大手ファンドが数百億円~数千億円規模の案件を中心に手がけていましたが、独立系の中小ファンドが増えたことで、小規模の企業でもファンドの投資対象となりやすくなりました。EBITDAが1億円以下の企業であっても積極的に投資するファンドが登場し、選択肢が広がっています。


ファンド売却への抵抗感が薄れた

 以前は「ファンドに売却すると経営が大きく変わってしまう」という懸念が強かった一方、成功事例が着実に増えたことで、オーナー経営者もファンド譲渡への心理的ハードルを下げるようになりました。

中小企業とファンドのマッチングが拡大

日本のM&A件数は年間2万件ほどと推定されていますが、そのうちファンドが企業を買収するバイアウト投資は年間100社程度にとどまっています。ただし、事業承継ニーズや大手企業のカーブアウト案件の増加により、この数は今後さらに拡大が見込まれます。


  • 米国ではファンドによるバイアウト投資が年間3,000件以上行われており、日本との規模差を考慮しても日本のファンド市場はさらに成長余地があると言われています。
  • ファンドによるバイアウト投資が活発になるほど、オーナー経営者にとっての選択肢も増え、優れた専門家のサポートを受けやすくなります。


こうした背景から、「ファンドへの譲渡=事業承継の有力な選択肢」という図式が、中堅中小企業のオーナー経営者の間で定着しつつあるのです。

ファンドへの会社売却事例

実際にファンドを活用して成長や事業再編に成功した事例は数多くあります。以下に3つの事例を紹介します。

J-STAR社によるpaiza成長支援

背景

ITエンジニア向けサービス「paiza」を運営していたギノ株式会社は、2020年にJ-STAR社のMBO支援を受けることを選択しました。


J-STARの支援内容

 - 経営戦略の立案支援

 - 財務面の管理体制の強化

 - マーケティング戦略の再構築

 - 必要な人材採用と育成の協力


成果

 - 利用ユーザーの大幅増加

  • サービスラインナップの拡充
  • 売上高の成長加速とブランド力向上


成功要因

  • IT市場の成長性を捉えた適切な投資
  • 既存経営陣との良好な協力体制
  • 長期目線での経営改善と支援

日本投資ファンドによるアートジャパン社の経営改革

背景

ゴムパッドの製造・販売を手がけるアートジャパン株式会社は、代表取締役交代に伴う第三者への譲渡を検討していました。


投資ファンド選択の理由

経営改革の実行力と資金力を求め、「経営のプロ」である日本投資ファンドに売却することを決断しました。


支援内容

 - ファンド担当者の管理本部長就任

 - 新製品開発の推進とマーケティング強化

 - 社内コミュニケーションの活性化


  • 経営管理体制の透明性向上


成果

  • 新製品開発に成功し、前年比増の売上を継続
  • 従業員のモチベーションが上がり、組織風土が改善
  • 経営の数字管理が徹底され、無駄の削減に成功


成功要因

  • ファンドが主体的に経営に関与し、具体的な改善策を提示
  • 従業員との丁寧なコミュニケーションによる安心感の醸成
  • 成果に基づく評価制度の導入で組織全体の意欲を高めた

日本協創投資による金城重機の事業承継

背景

金城重機株式会社は創業社長の引退を控え、後継者不在の状態でした。


ファンドのサポート内容

  • 後継社長の選定と育成
  • 管理体制の再構築
  • 目標管理や評価制度の見直し
  • 従業員との丁寧な情報共有


成果

  • スムーズな経営権移転が実現し、従業員の離職が minimal
  • 予算達成時の賞与などインセンティブ制度の整備
  • 自主的な業務改善が進み、売上増に貢献


成功要因

  • ファンドによる適切なリーダー人材のアサイン
  • 企業理念を尊重しながら新しい経営手法を導入
  • 従業員の不安を解消するコミュニケーションと成果還元


これらの事例が示すように、ファンドは「投資による収益獲得」のみを目的とするのではなく、長期的な企業価値向上や事業承継の円滑化、経営再編など、企業が抱える幅広い課題を解決するパートナーとしての役割を果たすことが期待できます。

まとめ

ファンドへのM&A(譲渡)は、後継者不在や資金調達、経営改善などの課題を一度に解決し得る有力な手段です。近年は中小規模ファンドも増加し、多様な企業がファンドの投資対象となっています。一方で、短期的なリストラや企業文化の変化といったリスクもあり、ファンドの選定や交渉次第で結果が大きく変わります。自社の状況や将来像を十分に整理し、専門家の助言を受けながら最適なファンドと連携を図ることが、事業の継続と成長を両立させる鍵となるでしょう。

著者|土屋 賢治 マネージャー

大手住宅メーカーにて用地の取得・開発業務、法人営業に従事。その後、総合商社の鉄鋼部門にて国内外の流通に携わる傍ら、鉄鋼メーカーの事業再生に携わる。外資系大手金融機関を経て、みつきグループに参画

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