企業の成長や事業継承のためにM&Aを検討する際、「M&Aマッチングサイト」の活用がおすすめです。M&Aサイトを利用することで、効率的にM&Aの手続を進めることができ、さらに様々な相談も可能になることがあります。
本記事では、M&Aサイトの特徴やメリット・デメリットを詳しく説明し、おすすめのサイトを5つ紹介します。
目次
現在、様々なM&Aマッチングサイトが提供されています。ここでは、おすすめの5つのサイトを紹介しましょう。
M&Aサクシードは、完全審査制で法人向けのM&Aサイトです。非専任制のため、他のプラットフォームとの併用が可能です。飲食、宿泊、美容、薬局、物流など、多様な業種のM&A案件が公募されています。
(特徴)
・会員制度による審査を通じて、売り手と買い手双方の情報の確かさを保証
・サイトの利用やマッチングに関しては、運営元の専属スタッフが全面的な支援体制を整えている
BATONZバトンズ)は、日本最大のM&Aのためのマッチングサイトとして知られています。このサイトは、豊富な登録者数を誇り、売り手と買い手の双方にとって最適な場を提供しています。加えて、専門のサポートチームと多様な取引支援ツールが整っているため、M&Aの経験が浅い方々も安心して利用できる環境が整っています。
(特徴)
・国内で最も多い登録者数を持つ売り手、買い手のネットワーク
・平均して約3ヶ月という短期間での成約が可能
・専門スタッフによるサポートを無料で受けられる
TRANBI(トランビ)は、日本で初めてユーザーが投稿する形式のM&Aマッチングプラットフォームです。このサイトには、売上高1億円未満の小さな企業から、さらに小規模な個人経営の事業や居抜き物件などの不動産関連の売却希望が多数掲載されています。
(特徴)
・日本で唯一のユーザーが投稿するタイプのM&Aマッチングサービス
・掲載されている販売案件の大部分(約80%)が売上高1億円未満の小企業で、個人経営者からの案件も豊富
・新規事業開発や事業拡大を支援する様々なサービスを提供
MAfolovaは、大手人材仲介会社「エン・ジャパン」が運営するM&Aサイトです。匿名性が高く、詳細情報は機密保持契約を締結した後にやりとりが可能なため、安心して利用できます。専門のM&Aアドバイザーが買い手に候補企業を紹介する仕組みになっています。
大手会計事務所であるデロイトトーマツグループが運営するM&AマッチングサイトであるM&Aプラスは、専門性が高く信頼できる点が特徴です。ファイナンシャルアドバイザーによる無料のM&Aサポートや、オンライン講座、企業概要書の作成代行など、充実したオプションサポート体制が整っています。
M&Aマッチングサイトを利用することで、多くのメリットが享受できます。以下では、その利用時に得られるメリットについて説明します。
M&Aサイトは、多くの場合、他のサービスと比較して低コストで利用できるのが嬉しいポイントです。たとえM&Aの交渉が難航し、長期化しても、費用を抑えやすいのが魅力的です。
M&Aマッチングサイトは、M&Aに明確な目的を持っている場合、利用がしやすいと言われています。目的を示すことで、ニーズに適合した相手からアプローチが期待でき、交渉がスムーズに進行します。条件に見合った相手が見つからないケースや、M&Aを計画する企業・個人と出会うことが難しい場合にも、M&Aマッチングサイトを活用することがおすすめです。
M&Aサイトでは、仲介業者を介さずに自社だけで直接相手と連絡を取ることができます。そのため、条件にマッチしていれば、迅速にM&Aを実現することが可能です。スピード重視でM&Aを進める際には、M&Aマッチングサイトの活用が有効です。
M&Aマッチングサイトを利用する際には、デメリットに気を付けることが大切です。ここでは、M&Aマッチングサイトの利用に伴うデメリットについて説明していきます。
• 交渉で不利になるケースも存在
• M&Aサイトによってサポートが異なる
• 情報が拡散されるリスクも懸念される
売り手がM&Aにおける初心者である場合、交渉のノウハウが不足しているため、買い叩かれるケースが存在します。また、交渉から契約までのスピードが速いことから、流される形で不利な条件を受け入れることがあるかもしれません。交渉で不利な立場に立たされないよう、M&A仲介会社を活用し、事前に対策を立てることが重要です。
各M&Aマッチングサイトでは、サポート体制が異なります。そのため、サポートが必要な際に相談できない事があります。また、M&Aサイトで会計士や税理士の紹介がある場合でも、迅速な支援が受けられないことがあります。事前にM&Aマッチングサイトのサポート体制を確認し、安心して利用できるかどうかをチェックすることがポイントです。
M&Aマッチングサイト上では、譲渡情報が簡単に閲覧されることがあります。企業名は公開されない場合が多いですが、特定しやすい情報が含まれていると情報が広がるリスクが考えられます。情報が拡散してしまうと、M&A計画が取引先に漏れてしまい、その後のビジネスに影響が出ることがあります。
では、どのようなM&Aマッチングサイトを選ぶべきでしょうか。ここでは、M&Aマッチングサイト選びのポイントについて説明していきます。
• 実績のあるM&Aサイトを選ぶ
• 利用者数が多いM&Aサイトを選ぶ
M&Aマッチングサイトの実績を基準に選ぶ方法も1つです。成約数を参考にして、高い成約率を持つM&Aマッチングサイトを選ぶことが、契約締結に向けて有益です。
多くのユーザーが利用しているM&Aマッチングサイトほど、取引相手とのマッチング確率が上がります。利用者数を比較し、多くのユーザーがいるM&Aマッチングサイトを選ぶことが良いでしょう。
各M&Aマッチングサイトは、独自の得意分野や業界を持っています。自社の業種に適したM&Aマッチングサイトを選ぶことで、目的にぴったりの相手を見つけやすくなります。
スムーズなM&Aマッチングサイトの利用のために、基本的な活用方法を理解しておくことが重要です。以下で、M&Aマッチングサイトの活用方法を詳しく解説します。
M&Aマッチングサイトに登録する前に、M&Aの交渉を進めるための準備が必要です。開示すべき情報の整理や、概要スケジュールの作成、具体的な目的・成果の設定を行いましょう。また、外部サービスの利用や人材の確保も検討することが求められます。どのような準備が必要か判断できない場合は、M&A仲介会社への相談も1つの選択肢です。
多くのM&Aマッチングサイトが存在するため、自社のニーズに適したサービスを比較・選定することが重要です。実際にサービスを利用してみて初めてわかることもあるため、複数のサイトに積極的に登録しましょう。使い心地やサービス内容を総合的に評価し、メインで活用するM&Aマッチングサイトを選んでください。
M&Aマッチングサイトに登録した後は、サイト内で交渉相手を探します。ある程度の時間をかけて慎重に相手を選ぶことが重要です。焦って交渉に進むと、条件に合わない相手と契約してしまうリスクがあります。最初の目的を忘れずに、条件に合致した相手と交渉しましょう。
M&Aマッチングサイトを利用する際には、いくつかの注意点があります。以下で、M&Aマッチングサイト利用時に留意すべきポイントを詳しく説明します。
M&Aマッチングサイトを利用する際、そのサイトがどのようなサポートやフォローを提供してくれるのかを事前に理解しておくことが不可欠です。何らかのトラブルが発生した場合、解決までの時間が長引くと、M&Aの成功に影響が及びます。したがって、サポートやフォローが十分に提供されていないM&Aマッチングサイトは、できるだけ選ばないように注意しましょう。
M&Aマッチングサイトの利用においては、適切な交渉相手を見つけ出すまでに時間を費やすことが一般的です。そのため、余裕を持ったスケジュールでM&Aマッチングサイトを計画的に活用することが大切です。確かに、短期間で成約に至るケースも存在しますが、それはあくまで例外であり、時間がかかる可能性をきちんと考慮することが重要です。
M&Aを計画する際には、M&Aマッチングサイトの利用も検討してみると良いでしょう。M&Aマッチングサイトを上手く活用することで、相手方との交渉がスムーズに進み、自社の条件に合った相手を効率的に見つけることができます。
著者|竹川 満 マネージャー
野村證券にて、法人・個人富裕層の資産運用を支援した後、本社企画部署では全支店の営業支援・全国の顧客の運用支援、新商品の導入等に携わる。みつきグループでは、教育機関への経営支援等に従事