SES業界のM&A動向や譲渡・譲受のメリット、注意点を詳しく解説します。人材確保や事業拡大のための戦略、高値売却のポイントなど、実践的な情報を網羅。成功事例も交えて、SES企業のM&A戦略立案に役立つ内容をお届けします。
目次
SES(System Engineering Service)は、システムエンジニアリングサービスの略称で、IT業界で広く利用されているビジネスモデルの一つです。このサービスの特徴は、クライアント企業のプロジェクトや業務に対して、システムエンジニアを派遣する形態を取ることです。
SESの主な特徴は以下の通りです。
1. エンジニアの派遣:クライアント企業の現場に常駐してシステム開発や保守、運用などの業務を行います。
2. 雇用形態:エンジニアはSES企業に雇用されており、クライアント企業との直接の雇用関係はありません。
3. 業務指示:エンジニアは、SES企業の指示に基づいて業務を遂行します。クライアント企業からの直接的な指示系統は原則としてありません。
4. 柔軟な人材供給:プロジェクトの規模や期間に応じて、必要なスキルを持つエンジニアを柔軟に供給できます。
SESは、企業がIT人材を柔軟に確保できる手段として、特にシステム開発や技術サポートが必要な分野で広く活用されています。クライアント企業にとっては、正社員として雇用するよりも柔軟に人材を活用でき、SES企業にとっては安定した収益源となるビジネスモデルです。
▶目次ページ:業種別M&A(様々な業界でのM&A)
SES業界は、デジタル化の加速やIT投資の増加に伴い、市場規模を拡大し続けています。新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、業界全体としては成長傾向にあります。
1. 5Gの本格普及:次世代通信規格の導入に伴う新たなシステム開発需要
2. DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展:企業のデジタル化推進によるIT人材需要の増加
3. IT投資の活発化:業務効率化やシステム安定化を目的とした企業のIT投資増加
これらの要因により、SES業界には明るい見通しがあると言えます。
一方で、SES業界は以下のような課題も抱えています。
1. 人材不足:
o IT業界全体で慢性的な人手不足が続いています。
o 技術の進歩が速く、最新のスキルを持つエンジニアの確保が困難です。
o 今後もこの傾向は加速すると予想されています。
2. 多重下請け構造:
o クライアントから元請け企業へ委託された業務が、2次請け、3次請けと多層的に再委託されるケースが多くみられ
ます。
o この構造により、以下のような問題が生じています。
これらの課題に対処するため、SES業界では人材育成の強化や、取引構造の見直しなどの取り組みが進められています。また、後述するM&A(合併・買収)も、これらの課題解決の一つの手段として注目されています。
SES業界では、近年M&A(合併・買収)の動きが活発化しています。この背景には、業界の成長に伴う競争激化や、前述した人材不足などの課題があります。
SES企業がM&Aを選択する主な理由としては、以下のようなものが挙げられます。
1. 事業規模の拡大
2. 新たな技術や専門分野の獲得
3. 地理的展開の促進
4. 競争力の強化
IT業界全体で人材不足が深刻化する中、SES企業にとって優秀なエンジニアの確保は最重要課題の一つとなっています。そのため、M&Aによって効率的に人材を獲得しようとする動きが増えています。
M&Aによる人材確保のメリット:
• 即戦力となる人材を一度に獲得できる
• 新たな技術分野のスキルを持つ人材を効率的に確保できる
• 人材育成にかかる時間とコストを削減できる
このような背景から、優秀なエンジニアを多く抱える企業は、M&Aの対象として高い評価を受ける傾向にあります。
SES業界では、同業他社同士のM&Aが増加しています。この傾向には以下のような理由があります。
1. 人材不足の解消:
o 両社のエンジニアリソースを統合することで、人材不足の問題に対処できる
2. 多重下請け構造の改善:
o 同業他社との統合により、下請け構造を簡素化できる可能性がある
3. ノウハウや技術の共有:
o 両社が持つ専門知識や技術を効率的に共有し、サービスの質を向上させることができる
4. サービス体制の強化:
o 統合によりサービス提供能力が向上し、より大規模なプロジェクトにも対応可能になる
5. 経営基盤の強化:
o 規模の拡大により、経営の安定性や信用力の向上が期待できる
同業他社とのM&Aは、これらのメリットを比較的短期間で実現できる可能性が高いため、SES業界で注目されています。ただし、企業文化の違いや統合後の組織運営など、慎重に検討すべき課題も存在します。
SES企業がM&Aで売り手(売却側)となる場合、以下のようなメリットが考えられます。
近年、SES業界でも後継者不足が問題となっています。M&Aは、この課題に対する有効な解決策の一つとなります。
事業承継におけるM&Aのメリット:
1. 後継者が見つからない場合の選択肢:
o 適切な後継者がいない場合でも、事業を継続させることができる
2. エンジニアの雇用維持:
o 譲渡先企業で従業員の雇用が継続されることが多い
3. 技術やノウハウの継承:
o 長年培ってきた技術やノウハウを失うことなく、次世代に引き継ぐことができる
4. 取引先との関係維持:
o 事業が継続されることで、既存の取引先との関係を維持できる可能性が高い
M&Aによる事業承継は、創業者の想いや企業価値を守りながら、事業を存続させる方法として注目されています。
M&Aによる事業譲渡は、売り手にとって経済的なメリットをもたらす可能性があります。
譲渡利益に関するポイント:
1. まとまった資金の獲得:
o 企業価値に基づいた譲渡対価を受け取ることができる
2. 資金の活用機会:
o 獲得した資金を新規事業の立ち上げや投資に充てることができる
3. 負債の返済:
o 企業に負債がある場合、譲渡資金で返済することが可能
4. 個人資産の形成:
o オーナー経営者の場合、個人の資産形成にもつながる
ただし、譲渡利益の額は企業の財務状況や業績、将来性などによって大きく異なります。また、税務上の取り扱いにも注意が必要です。
M&Aによる譲渡は、単なる廃業と比較して金銭的なメリットが大きい傾向にあります。ただし、適切な企業価値評価や交渉が重要となるため、専門家のサポートを受けることが推奨されます。
M&Aを通じて、買い手企業は以下のような人材面でのメリットを得ることができます。
1. 即戦力の獲得:
o 経験豊富なシステムエンジニアを一度に採用できます。
o 自社での人材育成にかかる時間とコストを大幅に削減できます。
2. 専門スキルの拡充:
o 特定の技術や業界に精通したエンジニアを確保できます。
o 自社にない専門性を短期間で獲得することが可能です。
3. プロジェクト対応力の向上:
o 人材の増加により、より多くの案件や大規模プロジェクトに対応できるようになります。
o 多様なスキルセットを持つ人材を確保することで、幅広い顧客ニーズに応えられます。
4. 人材不足の解消:
o IT業界全体で深刻な人材不足の中、効率的に人材を確保できます。
o 採用活動にかかるコストと時間を節約できます。
M&Aによる事業拡大には、以下のようなメリットがあります。
1. 市場シェアの拡大:
o 売り手の顧客基盤を引き継ぐことで、短期間で市場シェアを拡大できます。
o 新規顧客獲得のコストを抑えながら、事業規模を拡大できます。
2. 新規事業領域への参入:
o 売り手が持つ技術や専門性を活用し、新たな事業分野に進出できます。
o 既存事業とのシナジー効果を生み出す可能性があります。
3. 地理的展開:
o 異なる地域で事業を展開している企業を買収することで、地理的なカバレッジを拡大できます。
o 地方都市や海外への展開を加速させることができます。
4. 競争力の強化:
o 規模の拡大により、より大型のプロジェクトや複雑な案件にも対応可能になります。
o 経営資源の統合により、コスト競争力を高めることができます。
5. ブランド力の向上:
o 売り手のブランド力や評判を活用することで、自社の認知度や信頼性を高められる可能性があります。
6. 財務基盤の強化:
o 規模の拡大により、金融機関からの信用力が向上し、資金調達が容易になる可能性があります。
M&Aによる事業拡大は、内部成長よりも迅速に規模を拡大し、市場でのポジションを強化する手段として有効です。ただし、統合後の組織運営や文化の融合など、慎重に取り組むべき課題も存在します。
1. 慎重な譲渡先の選定:
o 従業員の処遇や取引先との関係を考慮し、信頼できる譲渡先を選ぶことが重要です。
o 企業理念や文化の親和性も検討すべきポイントです。
2. 適切な企業価値評価:
o 財務状況だけでなく、人材の質や顧客基盤なども含めた総合的な評価が必要です。
o 第三者の専門家による客観的な評価を受けることが推奨されます。
3. 十分な準備期間の確保:
o M&Aのプロセスは時間がかかるため、余裕を持ったスケジュール設定が重要です。
o 社内体制の整備や必要書類の準備などを計画的に進める必要があります。
4. 情報管理の徹底:
o M&Aの検討段階での情報漏洩は、従業員の動揺や取引先との関係悪化につながる可能性があります。
o 適切な情報管理と開示のタイミングに注意が必要です。
5. 税務上の影響の把握:
o M&Aに伴う税務上の影響を事前に把握し、適切な対策を講じる必要があります。
o 税理士など専門家のアドバイスを受けることが重要です。
1. 徹底したデューデリジェンス:
o 売り手の財務状況、法務リスク、人材の質などを詳細に調査する必要があります。
o 特に、エンジニアのスキルや顧客との契約内容の確認は重要です。
2. シナジー効果の見極め:
o M&Aによって得られる相乗効果を具体的に検討し、定量化することが重要です。
o 過大な期待は避け、現実的な統合計画を立てる必要があります。
3. 統合後の組織設計:
o 両社の組織構造や人事制度の違いを考慮し、統合後の組織設計を慎重に行う必要があります。
o 従業員のモチベーション維持にも配慮が必要です。
4. コンプライアンスの確認:
o 売り手のコンプライアンス体制を確認し、問題がある場合は速やかな改善策を検討する必要があります。
o 特に、労務管理や情報セキュリティに関する確認は重要です。
5. PMI(Post Merger Integration)の計画:
o M&A成立後の統合プロセスを事前に計画し、円滑な統合を図る必要があります。
o 文化の融合や業務プロセスの統一などに十分な時間と労力をかける必要があります。
これらの注意点に留意しながら、慎重にM&Aを進めることで、成功の可能性を高めることができます。
SES企業がM&Aで高値売却を実現するためには、以下のポイントに注力することが重要です。
デューデリジェンス(買収監査・企業調査)は、M&Aの成否を左右する重要なプロセスです。高値売却を目指すSES企業は、以下の点に注意して準備を進める必要があります。
1. 財務情報の整備:
o 過去数年分の決算書、月次の財務諸表を正確に作成し、整理しておきます。
o 売上や利益の推移、主要顧客との取引状況などを明確に示せるようにします。
2. 人材情報の整理:
o エンジニアのスキルマトリックス、資格保有状況、プロジェクト実績などを整理します。
o 離職率や採用実績なども重要な情報となります。
3. 顧客情報の管理:
o 主要顧客との契約内容、取引実績、将来の案件見込みなどを整理します。
o 顧客満足度調査結果があれば、それも有用な情報となります。
4. 法務リスクの洗い出し:
o 係争中の案件や潜在的な法的リスクがある場合、事前に対処しておきます。
o 知的財産権の管理状況も確認しておく必要があります。
5. 内部統制やコンプライアンス体制の整備:
o 社内規程や業務フローを整備し、適切な管理体制を構築します。
o 情報セキュリティ対策の状況も重要なポイントとなります。
デューデリジェンスの準備を徹底することで、買い手の信頼を得やすくなり、企業価値の適正な評価につながります。
SES企業の価値は、そのエンジニア人材の質に大きく依存します。高値売却を実現するためには、以下のような取り組みが効果的です。
1. 人材採用の強化:
o 優秀なエンジニアを継続的に採用し、人材の層を厚くします。
o 新卒採用と中途採用のバランスを取り、多様な人材を確保します。
2. 社内教育制度の充実:
o 技術研修やスキルアップ支援制度を整備し、エンジニアの成長を促進します。
o 資格取得支援や先端技術の学習機会を提供します。
3. キャリアパスの明確化:
o エンジニアが長期的にキャリアを描けるよう、明確なキャリアパスを提示します。
o 技術職と管理職の双方のパスを用意し、個々の適性に合わせた成長を支援します。
4. 働きやすい環境の整備:
o フレックスタイム制やリモートワークなど、柔軟な働き方を導入します。
o ワークライフバランスを重視した制度設計を行います。
5. 高度専門人材の確保:
o AI、クラウド、セキュリティなど、先端技術に精通した人材を積極的に採用します。
o 業界経験豊富なベテランエンジニアの確保も重要です。
6. プロジェクトマネジメント能力の向上:
o PM資格取得の支援や、マネジメントスキル向上のための研修を実施します。
o 大規模プロジェクトの管理能力を持つ人材を育成します。
優秀なエンジニアを多く抱える企業は、M&Aの際に高い評価を受けやすくなります。人材の質と量の両面で強みを持つことが、高値売却につながる重要なポイントとなります。
SES企業のM&A価格は、様々な要因によって決定されますが、一般的には以下のような方法で算出されることが多いです。
o 企業の純資産(総資産から負債を引いた額)を基礎とします。
o SES企業の場合、人的資産が重要なため、この方式だけでは適切な評価が難しい場合があります。
o 将来の予想利益を現在価値に割り引いて算出します。
o 一般的に、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)の3〜5倍程度が目安とされることが多いです。
o 同業他社の株価や財務指標を参考に、相対的な価値を算出します。
o 上場しているSES企業の指標が参考になります。
o 将来のフリーキャッシュフローを予測し、現在価値に割り引いて企業価値を算出します。
o より精緻な評価が可能ですが、将来予測の難しさがあります。
SES企業の場合、以下の要因が価格に大きく影響する傾向があります。
• エンジニアの質と数:高スキルのエンジニアを多く抱える企業は高評価
• 顧客基盤:大手企業との安定的な取引関係がある場合は高評価
• 成長性:売上や利益の成長率が高い企業は高評価
• 特殊技術:AI、クラウド、セキュリティなどの先端技術に強みがある場合は高評価
一般的な相場としては、純資産額に営業利益の3〜5年分を加えた額が目安となることが多いですが、個別の状況によって大きく異なる可能性があります。
SES業界では近年、多くのM&Aが実施されています。ここでは、具体的な成功事例を紹介します。
2023年4月に実施されたこのM&Aは、SES業界における事業拡大と人材確保の好例といえます。
取引の概要:
• アイフリークモバイル:買い手(買収側)
• エスティーエーグループ:売り手(売却側)
• 取引内容:エスティーエーグループの事業の一部をアイフリークモバイルが譲り受けた
このM&Aによる主なメリット:
1. 人的リソースの拡充:
o アイフリークモバイルは、エスティーエーグループが持つ優秀なエンジニアを確保できました。
o これにより、即戦力となる人材を効率的に獲得することができました。
2. 事業規模の拡大:
o アイフリークモバイルは、エスティーエーグループの顧客基盤も引き継ぐことで、事業規模を拡大しました。
o 新たな顧客層へのアプローチが可能になりました。
3. 技術力の向上:
o 両社の技術やノウハウを統合することで、より高度なサービス提供が可能になりました。
このM&Aの具体的な譲渡価格は公開されていませんが、両社にとって戦略的に重要な取引だったと考えられます。
2020年4月に実施されたこのM&Aは、大手企業による中堅SES企業の買収の好例です。
取引の概要:
• 夢真ホールディングス:買い手(買収側)
• アローインフォメーション:売り手(売却側)
• 取引内容:アローインフォメーションが夢真ホールディングスの子会社となった
このM&Aによる主なメリット:
1. 夢真ホールディングス側のメリット:
o 育成力の強化:アローインフォメーションの人材育成ノウハウを活用
o 販路拡大:アローインフォメーションの顧客基盤を活用し、新たな市場に進出
o サービスラインナップの拡充:アローインフォメーションの得意分野を取り込むことで、提供サービスの幅を広げた
2. アローインフォメーション側のメリット:
o 事業成長の加速:大手企業グループの一員となることで、より大規模なプロジェクトへの参画が可能に
o 経営基盤の安定:親会社のバックアップにより、安定した経営が可能に
o リソースの拡大:グループ全体のリソースを活用し、より多様な案件に対応可能に
この事例は、大手企業と中堅企業のシナジーを生かしたM&Aの成功例として注目されています。両社の強みを組み合わせることで、市場での競争力を高めることに成功しています。
これらの事例から、SES業界におけるM&Aの成功のポイントとして以下が挙げられます。
1. 明確な戦略的意図を持つこと
2. 両社の強みを生かせるシナジー効果を見極めること
3. 人材の質と顧客基盤を重視すること
4. 統合後の組織運営を慎重に計画すること
M&Aを成功させるためには、これらのポイントを踏まえつつ、個々の状況に応じた細やかな対応が必要となります。
SES企業のM&Aを成功させるためには、専門家のサポートが不可欠です。M&Aは複雑なプロセスを伴い、法務、財務、税務など多岐にわたる専門知識が必要となるためです。
M&Aの相談先としては、主に以下の選択肢があります。
1. M&A仲介会社:
o M&Aに特化したサービスを提供する専門企業です。
o 買い手・売り手のマッチングから、交渉、手続まで一貫してサポートしてくれます。
o SES業界に精通した仲介会社を選ぶことが重要です。
2. 金融機関:
o 銀行や証券会社のM&A部門が相談窓口となります。
o 豊富な顧客ネットワークを活用したマッチングが期待できます。
o ただし、SES業界に特化したサービスは限られる可能性があります。
3. 会計事務所・税理士事務所:
o 財務・税務面での専門的なアドバイスが得られます。
o 特に、M&Aに伴う税務処理や財務デューデリジェンスに強みがあります。
4. 法律事務所:
o 契約書の作成や法的リスクの評価など、法務面でのサポートが得られます。
o IT法務に精通した弁護士を選ぶことが望ましいです。
5. 経営コンサルティング会社:
o 戦略立案から PMI(Post Merger Integration)まで、幅広いサポートが期待できます。
o IT業界に詳しいコンサルタントを選ぶことが重要です。
専門家を選ぶ際のポイント:
• SES業界やIT業界での実績があること
• 中立的な立場で助言できること
• コミュニケーション力が高く、相談しやすいこと
• 費用体系が明確であること
• チームとして総合的なサポートが可能であること
M&Aの各段階で適切な専門家のサポートを受けることで、リスクを最小限に抑えつつ、最大限の効果を得ることができます。特に、SES業界特有の課題(人材の評価、技術トレンドの理解など)に対応できる専門家を選ぶことが、M&A成功の鍵となります。
SES業界におけるM&Aは、人材不足や事業承継、競争力強化などの課題に対する有効な解決策として注目されています。成功のためには、人材の質や顧客基盤、技術力などを適切に評価し、シナジー効果を最大化することが重要です。また、デューデリジェンスの徹底や、統合後の組織運営の計画など、慎重なプロセス管理も必要です。専門家のサポートを受けながら、戦略的にM&Aを進めることで、SES企業の持続的な成長と業界全体の発展につながることが期待されます。
著者|竹川 満 マネージャー
野村證券にて、法人・個人富裕層の資産運用を支援した後、本社企画部署では全支店の営業支援・全国の顧客の運用支援、新商品の導入等に携わる。みつきグループでは、教育機関への経営支援等に従事