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電気工事 M&A徹底解説:業界の課題解決と成長戦略

電気工事業界でM&Aが注目されています。人材不足や後継者問題の解決、事業拡大など、様々な目的で活用されるM&Aの特徴や事例、仲介会社の選び方までを詳しく解説します。

目次

  1. 電気工事会社の定義と役割
  2. 電気工事業界の現状分析
  3. 電気工事会社が直面する経営課題
  4. 電気工事業界におけるM&Aの傾向
  5. 電気工事会社のM&Aがもたらすメリット
  6. 電気工事会社のM&A仲介会社選定のポイント
  7. 電気工事業界におけるM&A実例紹介
  8. まとめ

電気工事会社の定義と役割

電気工事会社は、私たちの生活に欠かせない電気設備の設置や保守を担う重要な存在です。一般住宅やマンション、オフィスビルなど、さまざまな建築物における電気工事を請け負っています。国土交通省の定義によれば、電気工事とは「発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事」を指します。

総務省の日本標準産業分類では、電気工事業は建設業の中の設備工事業に分類されています。この分類により、電気工事会社の業務範囲や法的位置づけが明確になっています。

電気工事会社の種類

電気工事会社は、主に以下の2つに分類されます。

一般電気工事業 

主な業務

  • 送電線・配電線工事、電気設備工事など

具体的な工事例

  • 送電線・配電線の敷設(地中線工事を含む)
  • 電気鉄道やケーブルカーの電線路工事
  • 発電所の電気設備工事
  • 変電所や開閉所の設備工事

電気配線工事業 

主な業務

  • 電灯照明や電力機器の設備工事、配線工事など

具体的な工事例 

  • 建築物内外の電灯照明・電力機器の配線工事
  • 屋外照明やアーケードの配線工事
  • 一般電気使用施設の自家用受変電設備工事
  • ネオン広告塔や電気看板の設備工事

これらの分類により、電気工事会社の専門性や得意分野が明確になり、顧客のニーズに合わせた適切な業者選定が可能となります。

電気工事会社の主な特徴

電気工事会社には、他の業種とは異なるいくつかの特徴があります。

労働集約型事業 

  • 施工・監督業務は有資格者のみが行えるため、人件費比率が高くなります。
  • 技術者の確保と育成が経営上の重要課題となります。

技術革新への迅速な対応 

  • 再生可能エネルギー発電やHEMS(Home Energy Management System)など、新技術の導入が急速に進んでいます。
  • 継続的な技術研鑽が求められ、最新の知識や技術を習得する必要があります。

景気変動の影響を受けやすい 

  • 建設業界の動向に連動して、受注高が大きく変動する傾向があります。
  • 経済情勢や政策変更に敏感な業界であり、先を見据えた経営戦略が重要です。

これらの特徴を理解し、適切に対応することが、電気工事会社の持続的な成長と発展につながります。技術力の向上と人材育成、そして景気変動に耐えうる安定した経営基盤の構築が、今後の電気工事会社にとって重要な課題となるでしょう。

電気工事業界の現状分析

電気工事業界は、社会インフラの重要な一部を担う一方で、さまざまな課題に直面しています。業界の現状を正確に把握することは、今後の事業戦略を立てる上で非常に重要です。

電気工事業界の市場動向

電気工事業界の市場規模は、建設業界全体の動向と密接に関連しています。2022年度の設備工事(電気・電設)業界の主要20社の受注高は、1兆8,422億円に達しました。これは前年比11.4%増であり、2年連続の増加となりました。

しかし、この数字を楽観的に捉えるのは早計です。この増加傾向は、新型コロナウイルス感染症の影響で2020年度に大きく落ち込んだ受注高からの回復を反映したものと考えられます。コロナ禍による建設工事の中止や延期が、電気工事業界の受注高に大きな影響を与えたことは記憶に新しいところです。

このように、電気工事業界は外部環境の変化に敏感であり、経済情勢や社会情勢の変動が業界全体の景気に直接影響を与えます。そのため、市場動向を常に注視し、柔軟な経営戦略を立てることが求められます。

2024年と2025年に向けた業界の課題

電気工事業界は、近い将来に2つの大きな課題に直面することが予想されています。

2024年問題 

内容

  • 建設業や運送業で猶予されていた「残業上限規制」(原則月45時間・年360時間まで)が2024年4月から適用されます。

影響

  • 労働時間管理の厳格化により、人員配置や業務効率化の見直しが必要となります。

対策

  • 働き方改革関連法への完全対応が求められ、違反した場合は罰則の対象となります。


2025年問題 

背景

  • 団塊の世代約800万人が75歳を超え、全国的な人口減少が予測されています。

課題

  • 社会インフラと民間建築物の老朽化による保守・修理需要の増加
  • 熟練工の大規模な退職に伴う労働力不足の深刻化 
  • 建設事業許可を持つ事業者数の減少(1999年の約60万者から2021年末には約47万者に減少)


これらの課題に対応するためには、以下のような取り組みが必要となります。

  • 業務プロセスの効率化と自動化の推進
  • 若手人材の積極的な採用と育成
  • 高齢者の活用や女性の参画促進など、多様な人材の確保
  • 技術革新への投資と新技術の導入
  • 他社とのM&Aや業務提携による経営基盤の強化

電気工事業界は、これらの課題に適切に対応することで、持続可能な成長を実現し、社会インフラの維持・発展に貢献することができます。2024年と2025年に向けて、早急な対策立案と実行が求められています。

電気工事会社が直面する経営課題

電気工事会社は、業界全体の課題に加えて、個々の企業レベルでもさまざまな経営課題に直面しています。これらの課題を適切に把握し、対策を講じることが、持続可能な経営を実現する上で重要です。

深刻化する後継者不足の問題

多くの電気工事会社、特に中小企業において、後継者不足が深刻な問題となっています。

主な原因

  • 親族内に適切な後継者候補がいない
  • 子どもが事業を引き継ぐ意思がない
  • 事業承継の準備や計画が不十分

影響

  • 「黒字廃業」の増加
     利益を出している企業が後継者不在のために廃業するケースが増えています。

  • 技術やノウハウの喪失
     長年培ってきた専門的な技術や業界ネットワークが失われる可能性があります。

  • 地域経済への影響
     地域に根ざした企業の廃業は、地域経済の衰退にもつながります。

後継者問題の解決には、早期からの事業承継計画の策定や、従業員承継、M&Aなどの選択肢を検討することが重要です。

人材確保と高齢化への対応

電気工事業界全体で人材不足が深刻化しており、同時に従業員の高齢化も進んでいます。

人材不足の現状
経済産業省の予測によると、2045年には第3種電気主任技術者が4,000人、第2種電気工事士が3,000人不足する見込みです。


原因 

若者の建設業離れ
  • 労働条件や職場環境のイメージが良くないことが一因です。
高い離職率
  • 給与水準や労働環境に対する不満から、若手従業員の離職率が高くなっています。
技術の継承不足
  • 熟練技術者の退職により、技術やノウハウの継承が難しくなっています。

対策 

労働環境の改善
  • 働き方改革の推進や福利厚生の充実
キャリアパスの明確化
  • 若手社員のモチベーション向上につながる明確な昇進・昇給制度の整備
技術研修の充実
  • 最新技術の習得機会を提供し、若手の育成を強化
女性や外国人材の活用
  • 多様な人材の採用と育成

競争力強化の必要性

技術革新のスピードが速い電気工事業界では、競争力の維持・強化が常に求められます。

競争力低下の要因

技術力の不足
  • 最新技術への対応が遅れることで、競合他社に後れを取る可能性があります。
人材の流出
  • 熟練技術者の退職や若手の離職により、技術力が低下する恐れがあります。
設備投資の遅れ
  • 新しい設備や技術への投資が遅れると、効率性や品質面で競争力が低下します。

競争力強化のための施策

継続的な技術研鑽
  • 最新技術の習得や資格取得の支援
異業種との連携
  • IoTやAIなど、他業種の技術を積極的に取り入れる
M&Aの活用
  • 不足している技術や人材を補完するために、M&Aを戦略的に活用する
顧客ニーズへの迅速な対応
  • 市場調査や顧客フィードバックを活用した商品・サービスの開発

これらの課題に適切に対応することで、電気工事会社は持続可能な成長を実現し、激しい競争環境下でも生き残ることができます。経営者は長期的な視点を持ち、戦略的に課題解決に取り組むことが求められます。

電気工事業界におけるM&Aの傾向

電気工事業界では、さまざまな経営課題の解決策としてM&Aが注目されています。業界特有の課題に対応するため、M&Aの活用方法にも特徴的な傾向が見られます。

人材・後継者問題解決のためのM&A

人材不足と後継者問題は、電気工事業界における最も深刻な課題の一つです。これらの問題解決のために、M&Aが積極的に活用されています。

事業承継型M&A 

目的

  • 後継者不在による廃業を回避し、事業を存続させる

特徴

  • 親族内に適切な後継者がいない場合に選択されます
  • 従業員承継が難しい中小企業で多く見られます

メリット

  • 事業の継続性が確保されます
  • 従業員の雇用が守られます
  • 長年培った技術やノウハウが失われずに済みます


人材確保のためのM&A 

目的

  • 有資格者や経験豊富な技術者を一度に獲得する

特徴 

  • 人材不足に悩む企業が、人材が豊富な企業を買収するケースが多いです
  • 短期間で事業エリアの拡大や取引先の増加を図る際に有効です

メリット

  • 即戦力となる人材を効率的に確保できます
  • 買収先の企業文化や技術ノウハウも同時に獲得できます

異業種・他業種との連携によるM&A

電気工事業界では、業界の枠を超えた異業種・他業種とのM&Aも増加しています。これは、事業の多角化や新たな成長機会の創出を目指す動きと言えます。

多角化戦略としてのM&A 

目的

  • 新規事業への参入や事業領域の拡大

事例

  • 再生可能エネルギー事業者の買収による環境関連事業への参入
  • IoT関連企業との統合によるスマートホーム事業の強化

メリット

  • 新たな収益源の確保ができます
  • 既存事業とのシナジー効果が期待できます
  • 市場環境の変化に対する耐性が高まります


技術融合を目的としたM&A 

目的

  • 最新技術の獲得や技術力の強化

特徴

  • IT企業やAI関連企業との連携が増加しています
  • スマートグリッドやエネルギーマネジメントシステム関連の技術獲得を目指すケースが多いです

メリット 

  • 自社で開発するよりも短期間で新技術を獲得できます
  • 技術者の確保と育成を同時に実現できます
  • 競争力の迅速な強化につながります

地域拡大を目的としたM&A 

目的

  • 新たな地域への進出や既存エリアの強化

特徴 

  • 地方の中小電気工事会社を大手企業が買収するケースが多いです
  • 地域密着型のサービス提供を目指す企業に有効な戦略です

メリット

  • 地域ネットワークや顧客基盤を一度に獲得できます
  • 地域特性に応じたサービス展開が可能になります
  • スケールメリットを活かしたコスト削減が期待できます

電気工事業界におけるM&Aは、単なる規模の拡大だけでなく、経営課題の解決や新たな成長機会の創出など、多様な目的で活用されています。

電気工事会社のM&Aがもたらすメリット

電気工事会社におけるM&Aは、事業売り手(売り手)と事業買い手(買い手)の双方にさまざまなメリットをもたらします。これらのメリットを理解することで、M&Aを戦略的に活用し、企業価値の向上につなげることができます。

事業売り手が得られる利点

事業売り手、特に中小の電気工事会社にとって、M&Aは事業継続の有効な選択肢となります。

事業継続の実現 

後継者問題の解決

  • 適切な後継者がいない場合でも、事業を存続させることができます。

従業員の雇用維持

  • 買い手に従業員の雇用を引き継いでもらうことで、従業員の生活を守ることができます。

技術・ノウハウの継承

  • 長年培ってきた技術やノウハウを次世代に引き継ぐことができます。

経営者の引退後の生活保障 

譲渡対価の確保

  • 適切な企業価値評価に基づいて、事業譲渡の対価を得ることができます。

退職金の確保

  • M&Aによる譲渡対価を、経営者自身の退職金として活用できます。

事業の発展機会 

経営資源の補完

  • 買い手の経営資源を活用することで、自社の弱みを補完できます。

新規事業への挑戦

  • 買い手のリソースを活用して、新たな事業展開の可能性が広がります。

負債の解消 

財務体質の改善

  • M&Aによる資金調達で、既存の負債を解消できる可能性があります。

経営リスクの軽減

  • 個人保証の解除など、経営者個人の負担を軽減できることがあります。

事業買い手にとっての魅力

事業買い手にとっても、M&Aは成長戦略を加速させる有効な手段となります。

人材の確保 

即戦力の獲得

  • 有資格者や熟練技術者を一度に確保することができます。

技術力の向上

  • 売り手の技術やノウハウを自社に取り込むことで、技術力を強化できます。

事業規模の拡大 

市場シェアの拡大

  • 既存の顧客基盤や取引先を引き継ぐことで、短期間で事業規模を拡大できます。

地域展開の促進

  • 新たな地域への進出や既存エリアの強化が可能になります。

新規事業への参入 

多角化の実現

  • 異業種のM&Aにより、新たな事業領域への参入が容易になります。

リスク分散

  • 複数の事業を持つことで、経営リスクを分散させることができます。

コスト削減とシナジー効果 

重複業務の統合

  • 管理部門の統合などにより、業務効率化とコスト削減が実現できます。

設備の共同利用

  • 高額な設備や機器を共同利用することで、投資効率を高められます。

技術の相互補完

  • 両社の技術を組み合わせることで、新たな価値創造が可能になります。

競争力の強化 

技術力の向上

  • 売り手の優れた技術やノウハウを獲得することで、競争力を高められます。

顧客基盤の拡大

  • 新たな顧客層や地域にアプローチする機会が得られます。

財務体質の改善 

キャッシュフローの改善

  • 収益性の高い事業を取得することで、財務状況を改善できる可能性があります。

税務上のメリット

  • のれん償却や繰越欠損金の活用など、税務面でのメリットを得られる場合があります。

電気工事会社のM&Aは、売り手・買い手双方にとって、さまざまなメリットをもたらす可能性があります。しかし、これらのメリットを最大限に引き出すためには、綿密な事前調査と適切なM&A戦略の立案が不可欠です。

電気工事会社のM&A仲介会社選定のポイント

M&Aを成功させるためには、専門的な知識と経験を持つM&A仲介会社のサポートが不可欠です。電気工事会社が最適なM&A仲介会社を選ぶ際には、以下のポイントに注目することが重要です。

電気工事業界に精通した実績

電気工事業界特有の課題や動向を理解している仲介会社を選ぶことが、スムーズなM&Aプロセスにつながります。

重要ポイント

  • 電気工事業界でのM&A実績の数と質
  • 業界特有の法規制や資格制度への理解
  • 電気工事会社の企業価値評価の経験

メリット

  • 業界の特性を考慮した適切なアドバイスが得られます。
  • 潜在的な買収先や売却先の情報を豊富に持っている可能性が高くなります。
  • 業界特有のリスクや機会を的確に把握できます。

自社規模に適したM&A案件の経験

M&A仲介会社には、得意とする企業規模があります。自社の規模に合った実績を持つ仲介会社を選ぶことが重要です。

重要ポイント

  1. 自社と同規模のM&A案件の実績数
  2. 取り扱う案件の平均的な金額規模
  3. 中小企業のM&A経験(中小企業の場合)

メリット 

  • 自社に適した交渉相手を見つけやすくなります。
  • 規模に応じた適切な交渉戦略を立てられます。
  • 企業規模によって異なる課題やリスクに対処できます。

専門家チームの充実度

M&Aには多岐にわたる専門知識が必要です。様々な分野の専門家が在籍している仲介会社を選ぶことで、包括的なサポートが期待できます。

重要ポイント

  1. M&Aアドバイザーの資格保有状況(M&Aスペシャリスト、エキスパートなど)
  2. 弁護士、税理士、公認会計士の在籍状況
  3. 電気工事業界に精通した専門家の有無

メリット 

  • 法務、税務、財務など多角的な観点からアドバイスが得られます。
  • 複雑な契約交渉や価値評価を適切に行えます。
  • 業界特有の課題に対して、専門的な解決策を提案してもらえます。

その他の選定ポイント

コミュニケーション能力 

  • 自社の要望や状況を的確に理解し、わかりやすく説明できる能力が重要です。
  • 定期的な進捗報告や相談会議の実施など、情報共有の体制が整っているかを確認しましょう。

フィー構造の透明性 

  • 成功報酬型、固定報酬型、またはそれらの組み合わせなど、フィー構造を明確に提示してくれる仲介会社を選びま
    しょう。
  • 追加費用の可能性についても事前に確認することが大切です。

ネットワークの広さ 

  • 幅広い業界とのつながりを持つ仲介会社は、多様な買収先や売却先の候補を提案できる可能性が高くなります。
  • 地域密着型の仲介会社の場合、地元の情報に強いというメリットがあります。


アフターフォロー体制 

  • M&A成立後の統合プロセスまでサポートしてくれる仲介会社を選ぶと、長期的な成功につながりやすくなります。
  • PMI(Post Merger Integration)支援の経験や体制を確認しましょう。


適切なM&A仲介会社を選ぶことは、M&Aの成功確率を高める重要な要素です。電気工事会社の経営者は、これらのポイントを考慮しながら、自社の状況と目的に最も適した仲介会社を慎重に選定することが大切です。

電気工事業界におけるM&A実例紹介

電気工事業界では、さまざまな目的でM&Aが活用されています。ここでは、実際に行われたM&Aの事例を紹介し、その目的や効果について解説します。これらの事例を参考にすることで、自社のM&A戦略立案に役立つ洞察が得られるでしょう。

フジクラエンジニアリングのケーススタディ

フジクラエンジニアリングは、電力会社や通信事業者を主要顧客とし、電力設備・通信設備の設計、加工などを請け負う企業です。この事例では、フジクラエンジニアリングがきんでんの完全子会社となるM&Aを実施しました。

M&Aの目的 

  1. 経営資源の相互補完
  2. 再生可能エネルギー事業の拡大
  3. 通信関連工事事業の強化

期待される効果

  • きんでんの電力インフラ設備に関する強みとフジクラエンジニアリングの通信設備ノウハウの融合
  • 両社の技術力を活かした新規事業の開発
  • スケールメリットを活かしたコスト削減

このM&Aにより、両社は相互の強みを活かしつつ、成長が見込まれる再生可能エネルギー市場や5G関連の通信インフラ市場での競争力強化を図ることができます。

親和電気の事業統合事例

この事例では、建設機械レンタルや発電機・受変電機器などの販売、レンタル事業を営むサスコが、電気工事や電気設備、資材の販売を行う親和電気を連結子会社化しました。

M&Aの目的 

  1. 発電機レンタル事業における新規需要の創出
  2. グループの成長戦略の達成
  3. 中長期的な企業価値の向上

期待される効果

  • サスコの発電機レンタル事業と親和電気の電気工事事業のシナジー効果
  • 顧客基盤の拡大と新規サービスの開発
  • 両社の技術ノウハウの融合による競争力強化

このM&Aは、関連事業を持つ企業同士の統合による相乗効果を狙ったものと言えます。サスコにとっては新たな需要の創出につながり、親和電気にとっては大手企業の傘下に入ることで経営基盤の強化が期待できます。

中央電機工事の買収事例

この事例では、ガス供給事業、住宅販売・リフォーム、空調・衛生設備工事業などを手掛ける株式会社TOKAIが、電気設備工事業を営む中央電機工事の全株式を取得し、子会社化しました。

M&Aの目的

  1. 中京圏での事業拡大
  2. 電気工事分野での技術力獲得
  3. 総合的な設備工事サービスの提供

期待される効果

  • TOKAIグループの中京圏における事業基盤の強化
  • 電気工事の技術者確保による人材不足問題の解消
  • 顧客に対するワンストップサービスの実現

このM&Aは、地域展開と事業領域の拡大を同時に実現する戦略的な取り組みと言えます。TOKAIにとっては新たな地域での事業拡大とサービスラインナップの拡充につながり、中央電機工事にとっては大手企業グループの一員となることで、経営の安定化と成長機会の獲得が期待できます。

M&Aの特徴

これらの事例から、電気工事業界におけるM&Aの特徴として以下の点が挙げられます。

  1. 技術力の補完や強化を目的としたM&Aが多い
  2. 地域展開や事業領域の拡大を狙ったM&Aが行われている
  3. 関連事業を持つ企業同士の統合によるシナジー効果を期待したM&Aが見られる
  4. 人材確保や技術者不足の解消を目的としたM&Aが増加している

電気工事会社がM&Aを検討する際は、これらの事例を参考にしつつ、自社の経営課題や成長戦略に合致した方法を選択することが重要です。また、M&A後の統合プロセスや社内文化の融合にも十分な注意を払い、期待される効果を最大限に引き出すことが成功への鍵となります。

まとめ

電気工事業界におけるM&Aは、人材不足や後継者問題の解決、事業拡大、新規事業への参入など、様々な経営課題に対する有効な戦略として注目されています。業界特有の課題に対応するため、技術力の補完や地域展開を目的としたM&Aが多く見られます。

電気工事会社の経営者は、自社の状況と目的を十分に分析し、M&Aを経営戦略の一つとして積極的に検討することで、持続可能な成長と競争力の強化を実現できる可能性があります。

著者|土屋 賢治 マネージャー

大手住宅メーカーにて用地の取得・開発業務、法人営業に従事。その後、総合商社の鉄鋼部門にて国内外の流通に携わる傍ら、鉄鋼メーカーの事業再生に携わる。外資系大手金融機関を経て、みつきグループに参画

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